紙の本
本格YAミステリ
2022/10/02 19:18
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
特異性のある12歳の少年が、巨大観覧車から忽然と消えたいとこの謎に迫る本格YAミステリ。解決までのロジックに違和感が全くない。少年の大好きな気象学の知識を用いて気持ちを気象にたとえるシーンがとても印象的で好き
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
謎と家族とティーンエイジャー。
どこの家庭でもあるような親と子のぶつかり合い、兄弟間のもやもやから、障がいを持つ本人と周囲の気持ちやら、なぞ解きなしでも読み応え十分。
でも、その謎までよく考えられていて、とても楽しかったです。
紙の本
ロンドンの名所を舞台にしたミステリ
2023/06/07 16:13
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
図書館に行くと、絵本などが置かれている児童向けのコーナーとは別に
「YA作品」が並ぶコーナーがあったりする。
「YA」、すなわちヤングアダルトで、文学上では児童文学と文学一般の間、
12歳から18歳までの読者を対象に書かれた文学を指すことが多い。
もちろん、作品に年齢的な枷を設ける必要はないから、一応の目安とすべきだろう。
YA作品にも当然いい作品があって、YAだからといって一般読者を遠ざけるべきではない。
シヴォーン・ダウドさんの『ロンドン・アイの謎』もおそらく書籍区分としては、
YA作品に分類されるのだろうが、
大人が読んでも面白いミステリといっていい。
「ロンドン・アイ」という英国ロンドンにある観覧車のこと。
よく映画などでテムズ川そばに映っているから見たことがある人も多いと思う。
写真でみると、大きなカプセルがついていて、これには25人が搭乗できるという。
この物語は、このカプセルに乗ったはずの少年が忽然と消えてしまうところから始まる。
観覧車は一周するのに30分、その間に人が消えてしまうことなんてあるだろうか。
その謎に挑むのが、この物語の主人公である12歳のテッド。
テッドはすこし「ほかの人とはちがう」(作品では「症候群」としか書かれていない)が、
気象学の知識は専門家並み。
そんな彼が姉のカットとともに、事件の謎を解いていく。
イギリスの児童文学の歴史とミステリの変遷が、うまく融合した作品といっていい。
この作者シヴォーン・ダウドさんはこの作品を発表したわずか2か月後、
乳がんで47歳で逝去したのは残念というしかない。
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CL 2022.8.9-2022.8.11
YA向けらしく平易でわかりやすい文章ですごく読みやすいのに、内容はとても深い。ミステリとしてもよくできている。
大人は子どもの話をよく聞きましょう、と思った。
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観覧車に乗ったいとこが消えた? 子供たちの奮闘と成長に涙… じわっと心温まる物語 #ロンドン・アイの謎
ロンドンに住む主人公テッドは、姉カットと両親と暮らす少年。ある日家族のもとに、いとこと叔母が泊まりに来ることになった。
家族皆でロンドンを観光にでると、いとこは観覧車ロンドン・アイに一人で乗ることになったが、30分後に降りてきたゴンドラにいとこの姿はなかった。
姉弟は行方不明になったいとこを見つけようと、街を奔走するが…
はぁー、メッチャいい話やった…感涙
今年もっとも人にオススメしたい作品かもしれん。
もうね、全国の図書館に置きたいです。そして中学生の夏休みの課題図書にしたい。単なるいいお話、説教臭い話だけじゃなくて、物語やミステリーとしても高品質なんですよ。だから子供たちも絶対楽しく読めます。
そして年頃の子供たちをもつ親たちも、みんな読みましょう。
マジでいい話ですから。
本作の一番良いところは、登場人物の子供たちの成長ぶり素敵すぎるんです。
つらい現実、人間関係の悩み、ストレスを抱えているのは大人たちだけでなく、子供たちも一緒です。決して広くはない世界ではあるけども、彼らは思い悩み苦しんで、一歩踏み出す勇気を踏み出していくんです。カッコいい!
なんといっても主人公テッドが可愛いすぎる。もう息子にしたい、そして抱きしめたい! と、大げさに思ってしまうくらい魅力的です。
そして本書、ものすごく文章が丁寧かつ優しく書かれています。
子供たちの心情を深く深く表現している描写はお見事すぎるし、背景や情景描写も無駄なくシンプルで気品にあふれてます。自分もかつて無断で隣町に電車で出かけてしまった少年時代、真夏の大冒険を思い出してしまいました。
またミステリーとしても決して侮れません。少しずつ謎の解明を出したり出さなかったりする焦らしが効いているし、終盤の鮮やかな決着はしっかり本格ミステリーです。説明もロジカルで納得感がバチ高。ラストも超綺麗で読後感が最高でした。
こんな子供たちの冒険、成長、勇気を見ていると、大人もチャレンジをし続ることを忘れてはいけないと思いますね。そして人に優しくするという当たり前のことが、どれほど自分自身をも成長させるのかということを学びました。
本書の作者は、この作品の寄稿後に亡くなってしまったということでとても残念です。しかし魂を継ぐ別の作者が、同主人公で続編を書いているとのことで、必ず読もうと思います。
殺戮満載、イヤミス、どろどろのミステリーも大好きですが、こんなハートフルなミステリーも超大好きです。ぜひたくさんの皆さんに読んでほしい一冊でした。
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「怪物はささやく」の人だったのか。次作がないことが残念…と思いつつ読んでいたら他の人が引き継いだのがあるそうなので読もうと思います
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読み始めはテッドの言動に戸惑うけれど、読み進めるうちにどんどんテッドの事が好きになってくる。解説にある「児童文学」に驚く。作者が亡くなっていることが非常に残念。第二弾が待ち遠しい。
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少年テッドは、一緒に出掛けた観覧車「ロンドン・アイ」で従兄弟のサリムを見失い、サリムはそのまま行方不明となり、テッドがその謎を追うYAミステリ。
少し個性のあるテッドが、主に頭の中で推理を組み立てる運びが、シンプルだが無駄がなく簡潔なストーリーとなっており、最後に立て続けに論理的だが意外性のある展開が続き、非常に面白かった。
YA向けだが、人種差別や離婚といった現代的な課題もさらりと書かれているのは、さすが英国本場と思う。
作者が夭折されているのが残念だけど、続編一作が今後刊行予定とのことで、そこは楽しみ。
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良かった。青少年向けのミステリーみたいだが、大人でも充分楽しめた。主人公の少年のアスペルガー症候群らしき状況にも対応に好感もてた。
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南ロンドンに父母と姉と住む12歳の僕、テッド。母の妹のグロリアおばさんが息子のサリムとやってきた。大観覧車・ロンドンアイに乗りたい、というサリムの希望で乗りに行ったが、順番の長い列を待っていると、券があまった、といって親切なおじさんが券を1枚くれた。サリムに渡し、サリムは僕たちを残し乗ったが、回り終えてサリムは降りてこなかった!
サリムはどこに行ったのか? あたふたする大人たち。TVで情報を呼びかけるまでに。僕は仮説をたて姉と独自に探し始める。この仮説がおもしろい。自然消滅した、あるいは、タイムワープした、など思わずくくっと笑ってしまう。だが同世代の子供同士ならではの感覚ででサリムの心理を推理し、探し出してゆく。ここがこの小説の醍醐味だ。最後には子供も大人も、そして読者も、階段を一段上った心境になる。
テッドの父はビル解体業者。南ロンドンで一番高いビル、バーリントン・ハイツを近々解体することになっていて、そこは社会から排除された人々が住んでいる、とか、サリムの父はインド系で離婚しており、サリムの母はアメリカに職がみつかり移住する途中なこと、グロリア叔母さんは自由な生き方をしていて、「台風」とテッド一家からは呼ばれていること、サリムには親友がいたが、ともに「パキボーイ」と呼ばれていた、が、学校でやる劇「あらし」で先生にほめられる、などなど、書かれた当時のイギリスの子供や社会の様子がさりげなく描かれている。
大観覧車ロンドン・アイは20人乗りで、乗ってる最中に記念写真を撮る、サリムの乗ったカプセルには日本人観光客が載っていた、などの記述も。
2007発表
2022.7.15第1刷 図書館
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ビスト最優秀児童図書賞受賞作。
十二歳のテッドは、いとこのサリムの希望で、巨大な観覧車ロンドン・アイにのりにでかけた。
テッドと姉のカット、サリムの三人でチケット売り場の長い行列に並んでいたところ、見知らぬ男が話しかけてきて、自分のチケットを一枚ゆずってくれると言う。
テッドとカットは下で待っていることにして、サリムだけが、たくさんの乗客といっしょに大きな観覧車のカプセルに乘りこんでいった。
だが、一周しておりてきたカプセルに、サリムの姿はなかった。
サリムは閉ざされた場所からどうやって、なぜ消えてしまったのか?
人の気持ちを理解するのは苦手だが、事実や物事の仕組みについて考えるのは得意で、気象学の知識は専門家並み。
「ほかの人とはちがう」、優秀な頭脳を持つ少年テッドが謎に挑む。
カーネギー賞受賞作家の清々しい謎解き長編ミステリ!
ー以上、単行本、うらすじより引用。
これは、特に少年少女に読んでもらいたいミステリーです。
12歳くらいの少年少女が大事にしているものが描かれていることはもちろん、主人公のテッドやいとこのサリムの心境は共感を呼ぶと思います。
そして語り手が12歳の少年テッドです。
謎解きも面白く、最後はハラハラします。
文学賞受賞作品だからといって、課題図書とかではなく、定番の怪人二十面相、アルセーヌ・ルパン、シャーロック・ホームズなどと一緒に、さりげなくこの本が置いてあったら、かなりかっこいいんじゃないかと思います。
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感想
はやみねかおるのような瑞々しい推理小説。街を駆けヒントをつかみ明晰な頭脳でつなぎ合わせる。ひじ掛け椅子から立ち上がり、絡まった糸をほぐす。
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久しぶりに読む、海外ミステリ。
ワクワク(ノ◕ヮ◕)ノ*.✧
主人公は12歳の少年テッド。
家族で出かけた、巨大観覧車ロンドン・アイ。
そのロンドン・アイに、一人で乗り込んだ従兄弟のサリム。
そして、30分後に降りて来るはずのサリムが…
消えた?!
テッドと姉のカットが、失踪事件の謎解きをしていきます。
優秀な頭脳を持つテッドと、行動力のあるカットが、最高のコンビネーションなの。
まぁ姉弟だから、「うるさい!」「ついてこないで!」とか色々あるんだけど。
テッドの推理が冴えていて、本当に気持ち良い。
何よりこの本を読んで良かったところは、事件を通して、子供たちの成長する姿です。
成長するのは子供たちだけじゃなくて、周りの大人たちも成長したんじゃないかな?
そんな登場人物たちの心情が、丁寧かつ簡潔に描かれています。
印象に残ったテッドの言葉をひとつ。
「こんなに静かなのに、なぜ誰もぼくの話を聞いてくれないんだろう」
子供の話に耳を貸さない大人の様子が、繰り返し描かれています。
私達大人が反省する部分ですね。
この作品、autumn522akiさんをはじめ、続々とブク友さん達がレビューを上げていて、すごく読みたかったんです。
やっと図書館の順番がきました♪
読後も爽快。
多くの人に読んでもらいたい作品です。
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ロンドンに住む12歳のテッドの家に、いとこのサリムがやってきた。観光名所のロンドン・アイに乗ろうとチケット売り場に並んでいると、知らない男から乗れなくなったからということでチケットを1枚だけもらう。テッドと姉のカットは、サリムがカプセルに乗るのを見送り、降りてくるまでカプセルを目で追っていたが、一周まわったカプセルからサリムは降りてこなかった。サリムは、どこへ行ってしまったのか。
テッドはアスペルガー症候群らしく、知識は豊富だが人との距離感などが苦手だったりする。姉のカットとサリムを探す。
謎解きとしては面白かったけれど、サリムが消えた理由が、少し子どもっぽ過ぎないかなぁ。
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完璧な探偵小説じゃないか!
すでに何度も、もしかしたら毎回書いているかもしれませんがブクログを利用していて良かった思うことのひとつは本作のような良質な児童書を読む機会が得られることにあります
児童書の棚、行かないもんな〜
探偵小説が成立する要件として全て手がかりは探偵に等しく読者にも提示されていなければならないということがありますが、本作はこの要件が完璧に満たされています
12歳の名探偵テッドとフェアな勝負ができます
同時に児童書に込められるべき日常から離れた「冒険」へのドキドキ、ワクワクもあったり
大人社会が押し付けてくる理不尽さも表現されています
ここはひとつ小学6年生に戻ったつもりで、大人たちにイライラしながら『ロンドンアイの謎』挑んでみても楽しいかもね