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【待望されてきた第三歌集がいよいよ】短歌界で最も輝かしい存在である大森静佳の歌はあらゆる人を魅了してやまない。「カミーユ」に続く第三歌集がいよいよ届く。
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世代が違う、なんせ息子と同世代なので親子ほどの違い、それに短歌には門外漢でもあり、理解できない歌も多くありました。
しかし、分からないながらも、静かだが美しく、時に意志の強さも感じられ、現代の短歌会を代表する歌人なのだと感じ入りました。
先日、90歳すぎていまなお矍鑠たるおば、ふだんからうち息子の歌や現代短歌がわからない、と言っているおばが、「現代短歌は歌と言うより詩のようなものね」といっていました。
この大森静佳さんの歌集もそう思って読めば、より楽しめるのかも、と思いました。
また、繰り返し読みたい歌集です。
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・さびしさの単位はいつもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて
・飛行機に生まれたかったと言うひとの額はしろいまま夕焼ける
・わが髪を撫でつつ力のない髪と言ったのは母 五月の庭で
・白髪のあなたを思い描くとき黒目の黒さばかりが浮かぶ
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読んでて度々涙がでた
感動の涙でも、悲しくて泣いてるのでもなくて
ただただ涙がでた
ひとことで表すなら、赤黒い血の塊
言葉としては敬遠されたり忌み嫌われるものだけれど、だれもが身体のなかに宿していて、でもふだん見ることもないしそんなものありませんていう顔をしてみんな生きている
それらを静かに意識させてくるというか、ぐ…と深いところに沈み込ませる力がある
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大森靜佳さん、NHK短歌での講師での柔和で上品な女性でファンだったところ、トークイベントでサインをもらってから更にファンです。
第3歌集『ヘクタール』、文芸春秋から歌集出版は異例とのこと。
今までは透明感のある王道で風格のある歌が多かったのだが今回は生活感の中にも繊細さと女性としての葛藤と痛みを伴う迫力があり、固唾をのんでページを進めた。小ページの題を読み返してさらに再読。好きな歌で付箋だらけ。少しだけご紹介。あとがきの短歌に対する深い思いに悲しさと美しさが広がる。
・さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて
本の題となっている、農地面積の単位を表す『ヘクタール』を使った歌はじわじわと体感される感情が伝わる。
・その声がわたしに穴をあけにくるかぞえきれないうつくしい穴
・一月のエスカレーターめくるめく泣きそうな手だとおもってしまう
・傷つけてしまったことに動悸して秋だろう歯を何度も磨く
・泣く前は顔がだんだん重くなる縄文時代がそうだったように
・産めば歌も変わるよと言いしひとびとをわれはゆるさず陶器のごとく
・何年も泣いていないという君が撮った桜のどれも逆光
・洗濯機に顔突っ込んで泣いた朝きーんと何かがほどけてゆくの
・寝室の埃を見つめているうちに寄り目になった、みたいな秋だ
・わたしから巨大な声が出るはずの夏だったのに朝顔のなか
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以下が特に好きな3首でした。
ジェルソミーナを理想の女と言ったひとが明日は山羊になりますように
会えた気がするのです、少し 手鏡をおなかに伏せて眠る夜更けは
産めば歌も変わるよと言いしひとびとをわれはゆるさず陶器のごとく
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大森静佳の三冊目の歌集。歌集としては珍しく大手の文藝春秋から出版されていることに驚いた。それだけ期待されているのだろう。それに応えて第四回塚本邦雄賞を受賞した。言葉同士がぶつかり、重なり、裏切る。その狭間からイメージがこぼれる。「鳥影はするどく空を斬りわたり結末が見えているからって何だ」「青空の深いところでほのひかる見たことのないあなたの乳歯」「さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて」「生まれると生きるの間に咲きそよぐねこじゃらしたち根こそぎ毟る」「約束はひとりっきりでもできること 虹よ おまえをずたずたにする」「人魚なのに溺れてしまうこんなにもつめたい水にそしてあなたに」「あなたより先に死にたしそののちのあなたの死後にふたたびを死ぬ」
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確か長濱ねるちゃんが好きな本だと何かで見たので読んでみました。
私には難しい事も多く、正直うーーーん、、、難しいなと思いました。
ですが好きな詩もありました。
その声がわたしに穴をあけにくる
数えきれないうつくしい穴
↑
好きな声とか癒される声とかずっと聞いていたい声とかありますよね。
その幸福感がこの詩で表現されているのでとても素敵だと思いました。
先に死ぬと信じてうたがわないきみが
ボタンを叩いて買う炭酸水
↑
おそらく自分よりも先に死ぬであろうあの人も当たり前のように何かを買ったり飲んだりして日常を過ごしています。
その行動を冷静に見たことはなかったので、この詩の影響で冷静に観察してみるとなんか面白くて滑稽で不思議だなと思いました。