紙の本
心が痛い
2024/03/14 12:56
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分はこどもと向き合ってこれただろうか。
こどもの可能性をつぶしてしまってないだろうか。
わかり会える日は来るだろうか。
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第16回小説現代長編新人賞、受賞作発表
サイトより転載
https://tree-novel.com/works/episode/e8d90e8338776623b84e935e03760ff0.html?fbclid=IwAR2nOTlHSGruvuw3NYHyXd-gCGvd4ZOWUJFfPDkxwKBsMVM9kDxcMwCN7SE
受賞作紹介
「レペゼン母」 宇野碧
梗概
山間の町で梅農園を営む六十四歳の明子には、一人の息子・雄大がいる。
夫が死んでから女手一つで育ててきたが、学校からの呼び出しや二度の離婚に借金など、雄大には手を焼かされた挙句、彼は三人目の妻の沙羅を残して家を飛び出した。
あれから三年。沙羅のことを実の娘のように思い仲良く暮らしていたが、沙羅はまだどこか明子に遠慮がち。もっと頼ってくれていいのに……そう思っていたある日、沙羅から「ラップバトルに出たい」と打ち明けられる。大会当日、今までにないほど緊張している沙羅をフォローすべく、明子は大会についていくため初めて梅仕事を休むことに。
しかし結果は沙羅の惨敗。初戦で、大阪のサイファーのボス・鬼道楽に負けてしまう。男ばかりの世界の中で、沙羅は圧倒的にアウェイだった。
リベンジすべく二度目の大会に臨む沙羅だが、なんと初戦でまたも鬼道楽と対決することに。前回のトラウマを思い出し、足がすくむ沙羅。覚悟を決めた明子は義理の娘の仇を討つべくマイクを握る。
さらに何の因果か、息子の雄大が香川でラップバトルに出場していることを知る。幼い頃から不満はあった──お互いに。雄大と戦うべく、明子は大会に出ることを決意する。
すれ違い、もつれてきた母と息子の関係が時を超えてほぐれていく。ヒップホップで繫ぎ直す親子の絆が胸に迫る、前代未聞の痛快ラップバトル小説。
著者略歴
宇野碧(うの・あおい)
1983年神戸市出身。大阪外国語大学外国語学部卒。放浪生活を経て、現在は和歌山県在住。旅、本、食を愛する。
受賞の言葉
ボサボサの髪で、カピカピのごはん粒をくっつけたトレーナーを着ていた小学生のころ私の聖地は、区立図書館だった。
自分の生きる世界は、意地の悪い担任のいる学校でもなく、両親がケンカばかりしている家でもなく、ここだと思っていた。図書館にいる私はあらゆる場所と時代の物語にアクセスする権利があり、その中で飛び回る自由がある。力がみなぎっていて、世界の中心にいた。
新卒で入った会社を半年で辞めた時。
「決めた。私は小説を書く」と日記帳に書いたことを覚えている。
「書いていく道がどれだけ厳しくて、密林の中で迷ったり断崖絶壁にさしかかることがあっても、這ってでも進もう。その道の上にいるだけで、人生を怖がらなくてすむから」。
あれから十四年もかかったけれど、やっと見晴らしの良い場所に来れた。
受賞という翼をいただいて、これから離陸しようとしているこの場所からは、小学生の私も、満身創痍でまだ山を登っている私も見える。
彼女たちに私が教えられることは、「そっち行った方がショートカットやで」でも「正しい道はそっちちゃうで」でもない。
その密林にも、断崖絶壁にも、ぜんぶ意味が���るということ。
自分は醜くてちっぽけだと思い込まされている人に。
自分は世界の片隅に押し込められて、無力で消えてなくなりたいと思っている人に。
あなたは、本当は力がみなぎっていて美しいんだ、世界の中心にいて自由なんだと、「ほんとうのことを、ふと吹く風のように伝えてくれる物語を書いていきたい。
そのための翼と声をいただいたことに、感謝します。
書くことは私にとって祈りの手段であり、すべての人が自分にとっての祈りになることをやっていれば、世界はもっといいところになる。
ナイーブかもしれないけれど、そう信じている。
(追記)
受賞のお知らせをもらう前日。
「聖地」巡礼のため、子供の頃住んでいた町を訪れた。区立図書館の前まで行って、「え?」と思わず声をあげた。
日曜日なのになぜか閉まっていて、よく見ると張り紙がしてある。
【現在の開館時間 水・木・金の14~17時のみ】
やる気のない聖地やな!
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タイトルと黄色い表紙に惹かれて読む。
最初はなんて不出来な息子なんだろうと母目線で読んでいたが、沙羅などの他の人物を通してこの親子を見ていくと息子だけが問題なのではないことが分かってくる。息子の理解をラップを通して深めるのが面白かった。
ラップのリズム感はもちろん、方言のリズム感も良い。
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いい母親じゃなかったし、ぶつかって、傷つけたことも傷つけられたこともたくさんあったけど、生まれ変わってもまたこの子の母親でありたいって思ってる。
自分の息子のことを思いながら、ラスト50ページ、号泣しながら読んだ。
自分が一番愛しているものからの愛が返ってこないのが一番つらい。子どもが成人しちゃうと、幼かった日々が妙に噛み締めて感じられるもの。
まあ、母親じゃないとわかんない感覚かもしれんけど。
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面白かった!
ラップとかあんまり興味がない方にもオススメ!
主人公は母である明子。
母と息子がラップバトルで対決するっていう設定もぶっ飛んでて面白いし、親と子のあり方?というか、それぞれがやっぱり1個の人間なんだよなと再認識。
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王様のブランチで紹介されていて、面白そうだったので購入。すごくよかったです。文章がラップのようにテンポが良くて、買ったその日に一気に読み終わってしまいました。
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テーマがまず面白い。
実写化された方がラップのリズムがわかるから
より面白いと思う。
てか実写化されるだろ。これは。
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自分の体から産まれた人間でも、分かりあうのは大変だな、子育てって難しいのだろうなって思った。
明子が思い出す雄大がいつも幼少期なのが切ない。年を重ねてからは密ではなかった(密に向き合えなかった)ということ。
ヒップホップ全然聴かないけど、聴いたら意外とハマるのかもしれない。
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65歳明子の繰り出すラップについ吹き出してしまったくらい面白かった。音で聴けたらもっと楽しめるはず。ぜひドラマ化を望む。
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レペゼンという言葉は最近知ったが、ラップの世界に足を踏み入れなければきっと一生知らない言葉だろう。
他にも「アンサー」とか「フロウ」、「バイブス」など私も明子と一緒で目を白黒させるような言葉ばかりが飛び交う。
しかし、ラップバトルって凄い。相手をディスるというルールは好きではないけど、咄嗟に悪口を考えフロウに乗りながら韻を踏まなくてはならないのだ。頭の回転が早くなければ無理だろう。
明子はもともと口達者だからか、ラップが上手い(笑)
女であることや年齢が高齢なことはそれだけでディスりの対象になるらしいが、そんなことを屁ともしない姿は格好良かった。
さて、息子の雄大だが本当にどうしようもない奴だ。私は子どもを産んだことがないから分からないが、大変な思いをして産んだ息子が親の話も聞かず、犯罪を犯すような人間に育ったら悲しみや怒りを感じそうだ。それでも自分の子だと思うと、完全に縁を切ることはできないかもしれない。
ラップバトルという特殊な場で親子対決とは、家でやれよと思う人もいるかもしれない。実際、最後の親子対決はほとんど韻も踏めてないし、言い合っていることもそんなに珍しくない親子喧嘩の範疇ではある。
しかし、心にちょっと響いてきちゃうのだ。
明子の「わたしはおかんをやめる」にじーんと来てしまう。
相手を尊重することというのは、親子間においては難しいと私は思っている。
それでも「相手の言葉を聞く」ことを互いがどれくらい欲しているのかよく分かった。
明子と雄大は間違いなく、レペゼンおかんと息子である。
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夫亡き後、梅農園を切り盛りする明子。馬鹿息子雄大は妻の沙羅を置いて行方不明中。沙羅のラップバトル出場をキッカケに明子もラップの面白さにハマる。マイク片手に息子と喧嘩!家族の愛のラップバトル!
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思わずググったMCバトル。次々と見たラップバトル。刻むビート、投げるワード、かわすハート。
なんだこの熱は。一人と一人の勝負に飛び交うパンチライン。
梅農家のおかん。出奔したバカ息子。残された嫁の影響で始めたラップで、まさかのバトル。
いやぁ、このぶっとんだ設定もラップで突っ走る。このまま最後までこのノリでいくのか、と思いきや予想外に広がる「母なるもの」。振り返る過去。精いっぱい働いて精一杯子どもを育ててきたつもりだったのに。何が間違いだった、どこで間違えた。
自分で選んできたはずなのに、いつも「選ばされてきた」と言い訳してきた道。
母と息子のバトル。まさかこの流れで目がうるうとはっ!
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母と息子のラップバトル?!
はいもう面白い、はいもう優勝w
こんなん思いついた時点で勝確ですよ
出来レースですよ
話の中身ははっきり言って普通のお話
愛する旦那さんを早くに亡くしシングルマザーとなり仕事と育児にシャカリキになった母と何をやっても長続きしないダメ息子のすれ違い人生がお互いの本音をぶつけ合うことで…とうい捻りのない物語
ただそこにラップバトルを持ち込むとこんなに爽快な物語になるのか!
そして、母と息子っていうのが良かったよね
この関係性ってラップバトルに合ってるよ!間違いなく
は?何言うてはりますの?って思った人はとにかく読んでみてYO!(急にヒップホップ感出してきた)
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ドラマの脚本とかだったら良かったかもね
ラップと小説の相性って
あんまり良くないんじゃないかな
やっぱり、ラップの良さって
リズムと音で、
韻を踏んだりするところが醍醐味だと思うんだけど
イマイチ伝わらなかった
お話は普通、さくさく読みやすい
ただ、登場人物には、まったく感情移入できない
息子がクズすぎ
母親も甘やかすだけ
子供がいる母親だったら共感できんのかね?
わしゃ、無理じゃ!!
読めば、読むほど、
自分だけがつらい思いしてると思ってる
自己中人間
と
小説の人物にムキになるのもおかしいので
そこは許容して☆は3つ
あまり、まともな人間だとお話が始まらないしね
ただ、
もし、自分の周りに
この親子がいたら☆1つを叩きつけてやりたい
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なぜ親子は分かり合うのが大変なのか、微妙に思いがすれ違うのか?自分自身について考えてみても、親の関係も、子どもたちとの関係も、十分満足できると胸を張って言えるレベルでは無いと思う。ヒップホップバトルの制限がある中なら、
本音や、自分でも気づいてない感情、整理できてない想いが、思わず出ることがあるかもしれない。その辺りの感情が、興味深く表現されていると感じた。随所にヒップホップバトルのフレーズに、登場人物の想いを乗せ、小説作家というだけでなく、ヒップホップも使いこなす著者、只者ではない。