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思春期に学校での悪口(虐め?)に悩み不登校となり青森の祖父の元を訪れ染め/織物を経験しながら今後の道を悩む美穂の生活を描く。
両親、祖父母其々悩みを抱えながら個々の考えで今後の美穂の道を導こうとするが、その中で美穂自身も悩み染め/織物の世界に没頭する。其々の道で離れて生活していた家族が最後は祖父の死、美穂への想いから気持ちが通じ合い其々新たな道を進む。
現在一般的な郷土を離れ東京で働く家族の生活の中での問題を疎遠となった青森の風土/伝統工芸に携わる人達のとの再会から相手を思いやる気持ちを思い出し再出発する内容は考えさせられた。
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岩手県が舞台ということもあって、宮沢賢治の「水仙月の四日」や「銀河鉄道の夜」の内容が挿入されていて、賢治ファンとしてはとてもよかった。
とくに一度離婚を考えていた夫婦が「ほんとうのさいわい」を求めて「どこまでもどこまでも一緒に行こう」と言った場面は素敵だった。
盛岡の風景がありありを見えてくるような描写が多くて、旅行に行ってみたいと思った。福田パン食べてみたい。
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素晴らしい
暖かい
同じような妹がいるがその時にかかる言葉を間違えたと後悔もした
本当に美しい
親の人間たるとかろも、一人一人のキャラもしっかりたっていたる
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自分が何が好きかわかるかというおじいちゃんの問い、最近になって私もやっと数個答えられるようになって。
美緒ちゃんがこの歳でたくさん悩んで悩んで悲しい気持ちにもなった中、自分の力でそれを見つけていく描写、おじいちゃんの優しい言葉や触れ合いに何度も何度も泣きました。。。
嫌いなものへの我慢は命を削るだけ。簡単なようでみんなが理解して行動できることじゃないからこそ、心がすり減っていく人が多いのかな。
親とのすれ違い、友達とのすれ違い、話しても分かり合えないこともあるけど、糸を紡ぐことやそれに関わる人たちを通して、美緒ちゃんも、周りの大人たちも自分の心の奥底に触れられるきっかけになったのかなと思う。
そして親も人間なんだな、と当たり前だけど忘れかけていたことを思い出しました。
親も子もあくまで他人であって分かり合えない部分もあって。ぶつかりあって離れてもまた糸のように紡いで繋がれた時に、血の繋がり以上のものを見つけられるのかと、、、
羊毛の触感、食べ物や花の匂い、景色の色、川の音や自然の音がすごく伝わってくる描写が多くて
ぺしゃんこになってた心が洗い終わった羊毛みたいにフワフワになるような物語でした。
ずっと大事にしたいし色んな世代の人に読んで欲しいです。
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高校生の女の子の成長物語かと思いましたが、家族のお話でもありました。家族の成長物語といってもいいかもしれません。
美しい情景とおじいちゃんの優しさに心が温かくなる本です。
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今年の読書初めにふさわしい一冊だった。家族3代に受け継がれる思いや伝統に自身の状況を重ねてウルウルする箇所が何回もあった。おじいちゃんの美緒に向けるまなざしの優しさ。でもそれはおじいちゃんが過去に苦い経験をしたからこそ持ち得たもの。また両親の不和のやりとりを読み、若い頃なら親への反発にただ同調していただけかもしれないが今なら親の気持ちにも寄り添えるなぁ。
また、数年前に仕事で盛岡に行ったことがあり場所のイメージができたことが物語に入り込めた大きな要因とも思う。その時はただ、さっと街を見るだけだったので改めて盛岡を満喫してみたい。
そしてホームスパンというものの存在を初めて知った。後世に残していきたい伝統のなせる賜物だと感じた。まだまだ知らない世界やモノはたくさんあるんだなあと改めて思った。
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自分が自分のことを弱いと思っていても、他人から見たら思わぬ強さを持っているかもしれないと思った。
この主人公はすごく強い子だと思った。
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不登校の高校2年生の美緒。盛岡でホームスパン工房をしている祖父の元で工房を手伝い羊毛にふれながら心を回復させていく。
ホームスパンの手作業による工程が本当に丁寧に描かれている。リアルすぎて、途中、ドキュメンタリーを読んでいるのかと軽く錯覚してしまうほど。
時代の流れとともに熟成し、育っていくホームスパン。糸を紡ぐ際、ほんの少しの力加減ですぐに糸が切れてしまう繊細さ。でも、切れたらまたそこから糸をよって紡ぎ直す。
「お互いに繋がりたいという意思があれば必ず繋がることができる。それは、人間関係や人の生き方と重なる部分がある。」そんな著者のメッセージをしっかりと感じることができました。
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Na図書館本
早くも今年読んだなかで一番かもしれない。
涙、至る所で琴線に触れて涙。
雲や光や自然の描写があまりに心にグッときて、美緒の気持ちと相まって、切なくなり涙。
めっちゃかっこいい祖父の台詞や上野のシーンからの、、、でまた涙。
繊細に描写された盛岡という街と、宮沢賢治に涙。
美緒の両親の身になって涙。
皆で肉食べるシーンで、それぞれの思いと、誰も何にもわるくないんだって涙。
私も羊毛の雲に飛び込んで包まれたい。
光を染め、風を織る布 ホームスパン。
この一冊に出逢えて感謝。
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本当に雲みたいにふわふわで優しい温もりのある本だと思った。岩手盛岡のいろんなカフェやお店が出てきて、その都度どんな内装なのか頭で想像して、本当に自分がその店にいるような気がして楽しかった。読んでいくにつれて美緒の口数も増えて、最後は前よりいきいきしていたように思う。最後の太一の親離れのシーン、子どもはみんな大人になって親離れするものだけれど、美緒は急すぎたのかなと思った。太一は徐々に離れていっていたけど、美緒はいきなり家出した。だからマキとヒロシもいっぱいいっぱいになっちゃったのかなと思った。でも、美緒の家出がなければ最初のあまり会話もない薄暗い家庭のまま過ごしていたと思うから、最終的によかったと思う。
家族と生きる上で大切なものを改めて考えさせられた。表現豊かで、比喩がきれいな作品だった。
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去年の秋のなんなんさんのレビューに惹かれて「読みたい」に入れていた。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生の美緒が、祖父母からもらって大切にしていた赤いホームスパンのショールを巡って母親と口論になり、そのまま盛岡近郊の祖父の元へ家出してしまう…という出だし。
ひと月ほど前に、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2023年に行くべき52カ所」に「盛岡市」が選ばれた、というニュースを見た。
6年半前に訪れた時は競馬場に行くのが主目的だったので、1日だけ「でんでんむし」の一日フリー乗車券を買ってガイドブックに書いてあるところを巡っただけだったが、とても良い町でまた行ければなあと思っていたので、こちらも嬉しい気持ちになった。
盛岡市のホームページには『中心市街地に歴史的な建物と川や公園などの自然があり、まちを歩いて楽しめるところや、コーヒー店、わんこそばのほか、書店、ジャズ喫茶などの文化が根付くまちであることが評価され』とあるが、この物語の中でもそうした町の良さが随所に描かれていてGood。
町屋など行っていないところも多くあり、冷麺は食べたのだがじゃじゃ麺や福田パンも食べてみたい。「銀河鉄道の夜」も効果的に使われているし、やはりもう一度行ってみたいな。
祖父が手掛ける「ホームスパン」は、羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげるという“時を越える布”ということで、その手触りなど想像もつかないが、それを作るための複雑な工程も丁寧に描かれており、これにもまた興味を惹かれるものがあった。
そうした町や織物の魅力に溢れた物語だが、最初のほうは、自分の考えを伝えることが出来ず勝手に落ち込んでいく美緒にも、仕事にも家庭にも疲れて妻と子の間でウロウロする父・広志にも、頑張ることだけが全てと自分たちの考え方を押し付けてくる母・真紀と祖母にも、登場人物の誰にもあまり共感できずに読んでいた。
読み進む内に、それぞれの事情と心情が明らかになって来て、身内だからこそ許せない感情のもつれとそれを解きほぐすための少しずつ歩み寄りが描かれ、祖父の病気も絡んでくる展開に惹かれていった。
岩手の名の由来になったともいわれる『言はで思ふぞ、言ふにまされる』という言葉に触れてからは、やはり男たちの、とりわけ父・広志の心情に近しいものを感じて、『人生の半ばを過ぎて、どきどき呆然とする。自分の人生は家のローンと、子どもに教育をつけるだけで終わるのかと。なのに、それすらもうまくいってない……』という気持ちには、しんみり。
この本、働くとは何か、ものづくりとは何かということも問いかけているようで、広志が今の会社に入った動機に『日本の経済は、そういう誠実なものづくりで支えられていると思ったから』と語られているが、同じようなメーカーで働いていた者としてはそうなんだよなあという気持ち。
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人のきつい言い方に傷付きやすかったり、萎縮してしまう主人公にかなり共感しながら読みました。
逃げた先で織物と出会い成長していく主人公の姿とそれを見守るおじいさんの言葉にとても勇気をもらえます。何度でも読み返したくなるお話です。
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羊毛から糸を紡いで染めて織って服やショールに仕立てていく過程や登場人物が丁寧に描かれ
デザインや工芸に興味がなくても話に引き込まれてしまう。
宮下奈都の羊と鋼の森に通じるものがある。
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主人公美緒の「好きなことばっかりしてたら駄目にならない?苦手なことは鍛えて克服しないと...」
それに対する祖父の返しが
「大事なもののための我慢は自分を磨く。
ただつらいだけの我慢は命が削られていくだけだ」
主人公美緒の気持ちがすごくよくわかって、おじいちゃんの言葉に私も救われる気がした。
その美緒に「泣けばすむ。泣けば父親は言いなりになる。女を武器にしてる。」
そう非難せずにいられない母親の気持ちもわかる。
母娘の気持ち、どちらにも共感しきりでした。
続きが気になります。
続編ってないのかなぁ。
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2022年に読んだ数多くの本の中で1番大好きで大切な本です。
おじいちゃんの言葉一つ一つに、何度も何度も心を打たれました。
普段本に付箋などは貼りませんが、大切なページに付箋をして何度も読み返したいと思ったほどです。
友人にも貸しましたが、大絶賛しており、「自分で読み返したいから購入しようと思う」と言っておりました。
とても大切で温かい言葉で溢れている本です。