「推し」で科学を説けることに驚きました。
2022/09/21 15:59
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
今、好きな有名人を支持することを「推し」と表現することが多々ありますが、当書はその「推し」をする心理を科学的に説明した1冊です。
「推し」をテーマに、ここまでまじめに科学を説けることに驚きました。また、様々な分野での「推し」を紹介しており、著者が当書を楽しんで著している様子が見て取れるような、読んでいて楽しい1冊でした。
標題が適切ではない
2023/03/12 08:01
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投稿者:物語はごはん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「推し」についてプロジェクション・サイエンスの観点から考えてみた
ではなく
「プロジェクション・サイエンス」を推しに(少しだけ)絡めて説明してみた
が本書。つまり本論は副題。
学問として学びたい人の1冊目には向かないが、ある程度イメージができた人の強化にはよいかもしれない。推しについて知りたい人は他の本から当たるのが良い。
内容として、推しについての定義付け・考察よりも腐女子の二次創作についてにページを割いた印象がある。全体的にアテンドの一言がなくいきなり詳しい説明に入るため煩雑で、推しについてはあまり強く印象付けられるものではなかった(そもそも著者の中では数行で定義が終わる、既に片付いた問題なのだと感じた。キーワードは能動、お守り)。
プロジェクションについては目新しい事象ではなく、呼び名が与えられたのが近年であるということらしい。ちびまるこちゃんのエピソードを引用して虚投射について説明していた辺りはわかりやすかったのだが、その後のアブダクションの説明がやたらと熱が入って冗長な印象を受けた。著者自身が腐女子、少なくともオタクであるから語りたい気持ちが強く出たのかと邪推してしまう…。個人的には知名度があったとしても児童向けを題材に説明を試みた点に嫌悪感を抱いた(好む人がいるのは勝手だが、説明の題材にするとなると抵抗を感じる)。二次創作に明るくない人には余計に混乱させるだけだったのではないか。
「おわりに」で著者にとっての推しがプロジェクションである、と急に明かされるが、その一言でこれまでの全てが所謂オタクの早口語りのように感じられてしまい残念に思った(それは熱も入るし空回りもしようというものである……)。
※投稿にあたって確認したら、やはり腐女子に関する記述について難色を示されている方が…お気の毒に、あなたは何も悪くないです
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感想
推しを脳内で生成する。生き生きとした表象は脳内を脱出し、共有されコミュニティを形成する。独立したイメージは外部環境として相互作用を見せる。
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面白かった!
腐女子をやっていたこともあるし推しもいる身なので共感しながら読めた。
応援ひいては分け与えることの幸福と、プロダクションやそれに伴う物語は感覚として感じたことがあったものの言語化した事がなかったので実験の話と共に読めてとても勉強になった。
トラウマ的体験に対し、物語を作り出すことで解消や折り合いをつけようとする様は梶井基次郎の『桜の樹の下には』も思い出す。
物語は感情を変化させる術かもしれないと思いました。
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先日『応援消費――社会を動かす力』を手に取った時「推し消費」について何か知れるのかと期待したけれど趣が異なっており物足りなさを感じたところ、完全に「推し」の方向にかじを切った本はこれでは!?と見つけたのがこちらでした。
プロローグの著者本人の体験話から期待は高まったのですが、少々内容についていけなかったり、望まない内容の記載があり、読み進めるのが大変でした。
内容についていけないのは「プロジェクション」の説明が私の中で腹落ちせず終盤になりようやく形がぼんやりつかめてきた程度の理解力のこちらが悪いです。。
個人的に辞書で説明されて世間一般に認知されている意味以外の、研究者やある一定の輪の中の共有知識としての別の意味を理解するのがとても苦手なようです、私の脳は。
でも幸いなことに、「推し」は常に人生に存在してきたので経験からなんとなくこうかな?と概要をつかむことはできた気がします。
二次創作と研究は似ているという話は、とても納得できる面白いものでした。どちらの分野にも精通している著者自身の視点あってこその新しさと説得力がありました。
ですが、アンパンマンでBLのような妄想の話をされたのが結構ショックでした。そんな目で一切見ていないキャラクターで説明をされて、後味悪い思いをしています。腐女子の話がでてくると知らず購入したのでその話が出てきたことにも驚きましたが、いまや一般認知度も高いので軽く触れる程度かと思っていたら、がっつり例の題材にされていました。
完全にBL妄想を嫌う人間ではないので自分でもよくわからないですが、二次創作の限られた作品・CPは自発的に好む場合もあります。ですが基本妄想を介在させず原作ベースで読むことを好むので、時に腐女子の方の妄想を見たとき、どこからそんな考えが思い浮かぶのか!?と驚くとともに不思議で仕方ありません。
たくましい想像力で創造する行動力は見ていて好ましいのと、人の好き好きがあると思うのでわざわざその人のところに行って噛みついたり焼きマシュ送るとかせずスルーですが、こうして本を読んでいて出てくると得も言われぬ気持ちになりました。
pixivとかSNS投稿じゃないから注意書きもできないですもんね。こんなことになると思いませんでした。
自分がアイドルや映画作品、キャラクターなど「推し」がたくさんいること、それらを好きでいることがなぜなのか自身で考えたときに、「この世界を生きていくため」と思ったことがあります。
現実世界を生きていくために、英気を養う。
第六章からの話は胸に響くものでした。
好きな人にプロジェクションを受け止めてもらった思い出だけで生きていけそうなんて思えるくらいの幸福感を抱けたのは、それほど尊く嬉しいことなんだなと改めて気付けました。
ホモサピエンスの話は初めて聞く話で興味深く、装いやお守りの話はなるほど、となりましたし、失った人に対してのプロジェクションの話は心動かされるものでした。プロジェクション、認知科学という耳慣れないものも身近なところにありふれていることもわかり面白かった��ですが、途中の腐女子のくだりがもう少し濃度薄くても良かったのではないかとやはり気になってしまいます。
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プロジェクションという概念は、「大好きなもの(推し)の世界」と現実(自分)とを結び付け、いろいろなモノ、コト、ヒトを価値付けることで、見えないものが見えてくることというのが面白かった。
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書店で並び始めたときにはスルーしてたんだけど、その後、何度か書評で見かけるにつけ、だんだん気になってきて、どうとう入手・読了したもの。そもそも”推し”の文化にあまり興味がなく、翻って自分には関係のない世界と思ってたんだけど、ファン心理にも近いものがあると考えると、少し身近に思えてきた。自己を投射するとか、自身に逆投射されるとか、そのあたりを乱暴に考察すると、エンパシー能力にも通ずるものがあるのかな。
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ある人には見える、意味のある世界が自分には見えない、意味がない世界であったとき、ある人に見えた、意味のある世界を受けとめる。多様性を認め、他者と共有できる世界は人間の未来への希望。SDGsはじめ、対象から、いま、そこにゴールのないものを受け取り想いを馳せ、未来の自分に向けて行動に移せることは、人間の知性でした。
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流行に乗った安易な本かと思いきや、思いがけず深く広大な世界を垣間見させてくれた。「推す」とはすなわち「プロジェクション」(投影・投射)であり、二次創作や2.5次元、ぬい撮りなどもすべてこの心の働きで説明できる。そしてこのプロジェクションこそは、社会という「物語」を成り立たせている人間特有の現象である…。考えてみれば神話も宗教も貨幣も国家も法人も、人間の心が作り出したイメージの「投影」なのだから。「推し活」からこんな壮大な人類史がひもとけるとは思いもしなかった。
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プロジェクションとは作り出した意味、表象を世界に投影し、物理世界と心理世界に重ね合わせる心の働きを指している、という鈴木宏昭の定義が説明されていた。それだけではなく、ファンの心理も実験で紹介されていた。心理学以外の認知心理の概説本としては良い。
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「推し」=受け身的な愛好だけでなく能動的に何か行動してしまう対象
応援すると行動でも感情でも「推し」との一体感
プロジェクションと その共有
意味表象を世界に投影、物理世界と心理世界を重ね合わせる心の動き
妄想 アダプクション=最善の説明への推論
二次創作 科学理論の醸成
認知科学と人工知能
モデル 情報の流れの図示
推し=お守り 認知活動
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推しの存在を日々感じるオタクたちへ……
「推しの仮想イメソンを聴くと何故あんなに推しを感じてしまうのか?」
「実写化であれほど賛否が出るのは何故?」「ぬい活が人気なのはなぜ?」
「擬人化の原型まで愛せてしまうのはなぜ?」「二次創作が行われるのはなぜ?」
「KING OF PRISM」に"救われた”作者が、何故人が「推し」に救われているのかを認知科学の「プロジェクション」をもとに紐解きます。
アニメーション学科 4年
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プロジェクション=「作り出した意味、表象を世界に投射し、物理世界と心理世界に重ね合わせる心の働き」を紹介した入門書。
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「プロジェクション」という聞き慣れない言葉だけれど、推しを推す行為に重ねられると、すごく腹に落ちました。自分自身、二次創作もぬい撮りもコスプレもするので、「この行為すべて、プロジェクションなのか…」と思うと、面映い気持ちになりました。
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非常に身近な例を使って書かれているので、プロジェクションとは何か、大変分かりやすかった。自身の趣味(推し活)について、興味の対象について、新しい視点から俯瞰することが出来た。腐女子からノーベル賞まで話題も幅広い。