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舞台は英国、コーンウォール。海に向かってそそり立つ荒々しい海岸風景で有名な場所。
女性のペンになったとは思えないほど、情景描写が素晴らしい。
装丁でまずイメージする読者はどんどん、展開して行く心理のうねりに呑み込まれて行く。
英国で20Cに実際有った事件にヒントを得たとある。
舞台となった灯台も三人の男と家族たちも無論フィクション。
しかし、血が通った会話、盛り上がった肉に秘められたエネルギー、目線の動き、畳みかける会話の下に潜む言葉とは裏腹なよこしまな感情等々実感を伴って伝わってくる。
原題はランプライターズ。灯台守りの英語名は”ライトキーパー”
敢えてその名詞を用いずに、ランプライターズとした意図は消えた3人の男を巡る女たち、家族、それぞれが交互に何らかの「灯りを灯す存在であった」事を伝えんとした作者の想いからだろう。
読み終えるのに意外とかかった時間はゆっくり海を照らす灯台の灯りにも似た芒洋とした灯りを感じさせて終えたいい読書となった。
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おそらくはミステリーを期待したむきには、ちょっと肩透かしを覚えるかも。
しかし、純粋に文学的な世界を味わいたい人には、素敵な読み物である。
幾重もの物語が、全て信用できる語り手のよるものかは。
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多分今は存在しない灯台守に纏わる物語だが、3人が突然消えてしまうという事件をベースに、彼らの妻たちの行動、さらには灯台守たちの仕事の中身が、延々と記述されている.男たちの仕事についてはあまり面白い部分はなかったが、残された妻たちのやり取りが楽しめた.この事件を題材にしようとする作家が現れたが、あまに存在感がなかった.結局3人の行方は不明のままで何か尻切れトンボだったが、少し古い時代のイギリス人の生活を垣間見た感じだった.
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海の安全を守る灯台で昼も夜も働きながら、寝食を共にする3人の灯台守たち。閉塞された空間で、それぞれの心の中に押さえ込んでいたものが、少しずつ緩んでゆく。
忽然と消えてしまった3人の妻や恋人たちもまた、孤独や秘密を抱えていた。20年後、彼女たちは、作家の取材に少しずつ思いを語っていく。むしろ、語らずにはいられないのだった。
悲しい物語だけど、残された彼女たちはできるだけの光を灯すだろう。