紙の本
人の心に寄り添うような作品集
2022/11/20 11:21
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
前短編集に続く「軌道春秋」シリーズ2になる。鉄道が物語の流れに、何らかの形で関係するが、それが必ずしも、単なる端役ではなく、存在感を残す。他人から見れば他愛のないことでも、ギリギリのところで踏みとどまっている人には、大きな救いになるものがある。それぞれの物語の登場人物たちは、その人生に喜び、哀しみ、寂しさ、失意を抱え込み、生き抜いていくのだ。ラストの「背中を押すひと」は、いい作品です。
紙の本
さすが高田郁さん
2022/10/19 12:39
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
高田郁がふるさと銀河線軌道春秋の第二弾として、鉄道に関連した9個の短編を収録した作品。
父と喧嘩し家を飛び出し、実家に戻らなかった息子。ある日、妹が訪ねてきて父が末期のすい臓がんであることを告げる。息子は実家に戻り父と向き合って話をする。息子は父の思いを知る・・・・・。
高田さんの作品の創作力には脱帽です。短編でこれほどのクオリティが出せるとは。みおつくし、商い世傳のような長編のシリーズを期待しています。
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大分県にある日田彦山線・夜明駅など、鉄道を舞台に困難や悲しみに直面する人びとが再生する姿を描いた9編から成る短編集。
印象に残ったのは「ミニシアター」と表題作「駅の名は夜明」、それにラストの「背中を押す人」。
「ミニシアター」は猫を持ち込んで乗車した老女に迷惑していた乗客、それに車掌までもが悲しい境遇の老女に同情し粋な計らいをする話。ユーモアもたっぷり盛り込まれ、他の作品と一線を画している。テレビドラマを見ているような気分になった。
「駅の名は夜明」は、パーキンソン病に認知症が加わった妻を介護する夫、自らも慢性心不全を患い、九州へ無理心中の旅に出る。人生を終わらせるのにふさわしい静かな駅に降り立つが、「夜明」という駅の名前と妻の「おうちに帰ろう。ふたりで」の言葉に気持ちを切り替える。
「背中を押す人」は、将来の進路のことで父と喧嘩し、母を突き飛ばして、家を飛び出した男が主人公。妹から父が末期の膵臓がんだと知らされ、実家に帰る。ありがちな設定ではあるが、ラストで父子の情愛を見せつけられるシーンは秀逸だ。
この他、父親の工場が倒産し苦労してきた一人暮らしの読書好きな女性が自殺しようとした作家を助け、一緒になる「約束」も波乱の展開の末に感動を呼ぶ力作だった。
全体的に不安や苦労を抱える人に寄り添い、その気持ちを和らげる話になっており、著者の優しさあふれる作風が滲み出ていた。
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髙田郁先生らしい、優しい9編からなる短編集。
しんみりくる話も好きだけど、一番好きだったのはコメディタッチの「ミニシアター」。優しさの連鎖というか、1つの車両に乗り合わせた人たちの思いやりが詰まった話。好き!
あと「黄昏時のモカ」のおばあちゃんの度胸。「亡き夫との約束を叶える慰霊の旅で、詐欺に遭うのもまた一興。それも旅の醍醐味だわ」って強い。笑
そして「途中下車」。生きてりゃ本当にキツイことがあるんだけど。
「目的地に行くために必要な途中下車もあるさ。疲れたら、降りていいんだよ(中略)次の列車は必ず来るからね」が今の自分の状況にハマってぐぅ~っときた。
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トラムに乗って/黄昏時のモカ/途中下車
子どもの世界 大人の事情/駅の名は夜明/夜明けの鐘/
ミニシアター/約束/背中を押す人
鉄道に絡んだ物語たち。様々な想いがその先の希望に少しでもつながって行きますように……
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ふるさと銀河線に続く、短編集。こちらも、それぞれに人間模様があり、面白かった。特に、最後の「背中を押すひと」は、感動した。また頑張ってみようとまさに背中を押してもらったような感じだった。あとがきから、この作品が髙田さんの作家になるきっかけの作品ということで、あーなるほどと思った。きっと、自分にハマる作品があるはず。ぜひ読んでほしい。
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大好きな髙田郁さん。
子どもの世界 大人の事情 が心に残った。
思わずGoogleearthで駅を検索。
流氷、すごいだろうなあ。でも遠くて行けそうもない。
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面白い小説と言う類いの内容ではないが
ちょっとした感情のもつれから傷つけあったもの同士がゆっくりと氷が溶けるように
互いを許しあい求め会うようなそんな温かさが伝わって来た。どの章も暖かい内容だったが、特に「約束」では二人の感情の描写が
残酷なまでに描かれてイルミネーションように感じた。
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高田郁さんのおっかけです(笑)
時代小説もいいけど、これもよかったな
鉄道を軸にした9編
どれも好きだけど
「ミニシアター」がほっこり、いいなあ
「夜明け」という駅、大分県にあるんですね
高台にある無人駅とか
行けないから想像を膨らませる
≪ 日がのぼる 今は夜明けの 暗がりに ≫
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安定の読後感やなぁ。
うちの父親も90才を超えて弱々しくなってんのやけど、最後の「背中を押す人」みたいに、親父に優しくなれへんな。
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『ふるさと銀河線』に続く軌道春秋。ウィーンのトラムから、北海道、九州のローカル線、そして首都圏の私鉄沿線での人間模様を描く作品だが、今回は「鉄分」は少なめだ。漫画の原作ということで、登場人物に一癖二癖あるものの、総じてみんな良い人で、最後まで依怙地で嫌な人はいない。そのあたりは著者らしいが……。
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軌道春秋の続編です。
今回は「再生」がテーマになっているように感じました。
心に傷を負った人たちが出会う人や風景。
一度は諦めようと思った道へ、再び一歩を踏み出すまでの9つの物語。
とても心に沁みました。
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「トラムに乗って」と「黄昏時のモカ」、「途中下車」と「子どもの世界 大人の事情」、「駅の名は夜明」と「夜明の鐘」は、それぞれ共通の登場人物が出てきて、関連性を持たせる構成になっているのが面白い。
基本的にちょっと出来過ぎかなと感じるところもありましたが、本書のタイトルにもなっている「駅の名は夜明」は、どんな結末になるのだろうかとちょっとドキドキしました。
「ミニシアター」は猫にまつわるほっこりとした笑える内容でした。
全編にわたり仄かな希望に満ちている短編集でした。
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軌道春秋の第二弾
短編9つ…ちょっと悲しい話が多かったな(/ _ ; )
タイトルになっている「夜明」駅が実在しているとは知らなかった。
どの話も30ページ程ですが、切ないけど暖かいその後が見える…そんな作品でした。
人生色々あるよね、頑張っていきましょうよ。
そんな気持ちになる一冊です(^ ^)
高田郁さんの文章は読みやすく心にスッと入り込んでくる心地良さがあるなぁ♪
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鉄道を舞台に困難や悲しみに直面する人たちの再生を描く九つの物語。大ベストセラー『ふるさと銀河線 軌道春秋』の感動が蘇る。
生きていくことがとても窮屈な時代。コロナ禍で余計に社会全体がギスギスしていったような気がする。現代社会に不足気味な心の絆を思い出せてくれるような作品集。