ボルトはやぎより遅い
2022/11/01 14:40
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウサイン・ボルトは野生のヤギよりも走力で劣り、リスよりは速い、でも、そこそこに健康な人間の大部分はリスよりは速く走れないらしい、まあ、人間の体型って走るのに向いてないのは何となくわかる
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この本は、運動にまつわる神話や思い込みについて、実際はどうなのか、著者の専門である進化生物学の見地から検証したものだ。
まず大前提として、「人間は運動するように進化してきた」という神話があるが、実際は、不必要な運動は避けるように進化してきたのだそうだ。
パートⅠでは、「座ることは不健康である」「8時間以上の睡眠は不健康である」といった神話に対して検証している。
パートⅡではスピード、力強さ、パワーについて、人間がいかに弱い存在か、ウエイトトレーニングの必要性、人間にとってスポーツとは?が書いてある。
下巻へ続く
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「運動は健康に役立つのか」
「そもそも人間に運動は必要なのか」
人類の歴史からみる運動との関りを紐解く考察はとても刺激的で面白い。
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なんでわざわざお金払ってジムで運動するかな?それってほんとに楽しい?みたいな疑問に向き合ってくれた本。
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読んでから時間が経ったので、
かなりデフォルメして覚えているが、
初期の人類がまだ火を
使えていなかった頃、
集団で生きていた彼らは
肉食獣(最高速度40キロ時)
に怯えていたはずだが、
生き延びるために
どれくらい速く走って逃げることを目指せば
よかったのか、のクイズが
超面白かった。
こたえ:
同時に逃げている
隣の人間より速ければok
これには笑った(^^)
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「人間は運動するように進化してきたわけではない。むしろ逆に、運動に費やされるリソースをなるべく節約し、生殖や個体維持のために取り置くように進化してきたはずだ。それなのに、運動が健康のため推奨されるのは一体なぜなのか」。毎日のように何かしらの運動をしている僕だが、言われてみれば確かに不思議な話に思える。我々は盲目的に「運動は体によい」と信じ込んでいるが、もし本当に運動が自然選択上有利な戦略だというなら、なぜ世界がアスリートで溢れないのだろうか。
本書では、ランニング界に革命をもたらした著名本「ボーン・トゥ・ラン」にも登場する著者が、この意外な逆説を各種エビデンスを用いて小気味良く解きほぐしていく。自身のフィールドワークによる直の体験談も各所に散りばめられており、またユーモアたっぷりの文体も魅力的で飽きさせない。上下巻の構成で少々冗長ではあるが、冒頭で謎かけのように掲げられる「マントラ」──「『運動の生理学』は進化に、『行動としての運動』は人類学に、それぞれ照らして見なければ筋が通らない」が徐々に解き明かされていく過程はなかなかに読み応えがある。
パートⅠは「身体的に不活発な状態」がどのようなものかを考察する。著者によれば、「不活発=不健康」というドグマの背後にはジャン=ジャック・ルソー以来の「自然人理論」がある。これは、自然の「野蛮な」状態で暮らすことこそが人間本来の姿である、と主張するもので、西欧社会で運動不足を諸病の根源とみなす態度はこれに起源するという。しかし、現代の「野蛮な」狩猟民族たちの多くをみると、むしろ一日の大半を我々と同じように不活発な状態で過ごしている。この矛盾を説明するのが自然選択上の「トレードオフ」、すなわち限られたエネルギーを生殖や個体維持などのための生産活動と、不必要な身体活動とのどちらに振り向けた方が生存上有利か、と言う問題だ。当然ながら前者により多くのエネルギーを取り置いた方が優遇されるため、本来人間は運動を避けるように進化してきたのだという。
そして、座ること自体に問題があるのではなく、sedentaryなライフスタイルが伴いやすい別の問題、すなわち肥満やそれに伴う慢性炎症、筋肉の減少こそが問題なのだと指摘する。
睡眠については、短いながらも最新の科学的知見がコンパクトにまとめられている。主に運動と睡眠の質に関するトピックが多いが、個人的には世界中の非工業化社会の人々が、我々が通常そうするのとは逆に、周囲の騒音や光などを全く遮断することなく睡眠をとることが多いという事実に目を開かされた。最近、焚き火や波、雨の音などを睡眠導入時に流すアプリ等を目にするが、そういった刺激がむしろストレスのない睡眠に繋がるという事実が裏付けになっているということだろう。
パートⅡは身体活動のうち主にスピードとパワーにフォーカスが当てられる。スピードと持久力のトレードオフを、細胞レベルの代謝機構で説明する部分はやや入り組んでいるが、運動開始からの時間経過で稼働する代謝機構が交代することがよくわかる説明になっている。また、筋肉増強による力強さとスピードのパワーオフから、過去の人類にとては筋肉が必ずしも長所でなかったことの指摘も面白い。
なお、人間の成体が他の霊長類に比べ非攻撃的に進化したことの説明として、リチャード・ランガムの「反応的攻撃性/能動的攻撃性」の概念を持ち出しているが、これは個人的には説得力あるもののようには思えなかった。現代人は前者が弱く後者が強いとしているが、行動経済学者のダニエル・カーネマンによれば、脊髄反射的・短絡的・近視眼的な思考様式「システム1」は我々現代人の脳にも根強く残っている。また集団内での協力姿勢を強めるため「自己家畜化」により自ら能動的攻撃性を弱めるよう進化した、というが、協力姿勢がそこまでの選択圧として本当に機能したかは検討の余地がありそうだし、「遊び」を覚えた人類がスポーツで攻撃性を抑えたというのもやや出来すぎた説明に思えた。
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美味しいものを食べ運動が億劫になる年末年始だからこそ読んだ本。
「人間は運動するように進化してきたのではない」が著者ダニエル・リーバーマンの主張。だからといって運動が不要なのか?と反射してしまうかもしれないがさにあらず。
発見も再確認もあった。以下、気になった表現。
健康のために運動する、という概念が生まれたのは現代。
人は休むようにできている。
怠ける事は大切である。
座る事は本来想定していないが、それが新しい病気の原因にもなっている。
・睡眠チェックするため
P136
自分の睡眠に満足しているか?
1日中、居眠りせずに起きているか?
夜中の2時から4時の間眠っているか?
夜間に目が覚める時間を30分以下か?
6時間から8時間睡眠時間が取れているか?
・語源から考えることはものごとの捉えかたの再定義に有益である
P13
exercise という言葉は、ラテン語のexerceo (働く、訓練する、練習する)と言う動詞に依頼するが、中世に使われ始めた時、この言葉には工作などの重労働と言う意味合いがあった。exercise という言葉は、スキルや健康を向上させるために練習すると言う意味で長く使われてきたがto be exercisedと受け身で使われると悩まされる。イライラする。何か不安になるという意味にもなる。
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【感想】
感想は下巻にまとめた。
https://booklog.jp/users/suibyoalche/archives/1/B0BDF7S2SL
【まとめ】
1 運動は万能薬ではない
私たちは運動するように進化してきたわけではない。
今日、運動のもっとも一般的な定義は、「健康やフィットネスのための自発的な身体活動」ということになっている。だがそれは最近の現象だ。狩猟採集や農耕にいそしんでいた、さほど遠くない私たちの祖先は、十分な食料を得るために毎日何時間も体を動かさなければならなかった。
健康のために運動するという概念は現代のものである。同時に、運動とは逆説的なものだ。健康的でありながら異常に身体を消耗させ、本来無料でありながら高度に商品化され、喜びと健康の源でありながら、不快感、罪悪感、反感を抱かせる。
運動に関して私たちが抱いている信念や態度の多くは神話にすぎない。誤解のないように付け加えると、私は運動が有益でないとか、あなたがこれまでに読んできた運動に関する話がすべて間違っているとか言っているわけではない。とはいえ、現代の産業化された運動に対するアプローチは、身体活動に関する進化論的・人類学的な視点を無視あるいは誤って解釈しており、誤解、過大評価、誤った論理、散見する誤り、そして許しがたい責任転嫁により損なわれている。
最も問題なのが、「人間は運動をするために生まれてきた」「運動するのは正常なことだ」という思い込みであり、これが運動をしない人を不当に非難し、混乱や疑念を広める原因となっている。
2 私たちは運動するように進化してはいない
進化的に「正常な」人間の運動習慣についてほんとうに知りたいのであれば、現代の欧米人だけに焦点を当てるのではなく、狩猟採集民について学ぶべきだ。
狩猟採集民のハッザ族のもとに筆者が訪れて印象に残ったのは、皆が座ってばかりいたことである。ハッザ族の男女は野営地にいるときは、ほとんどの場合、地べたに座って話をしたり子供の世話をしたりしながら軽い雑用をこなしているか、ただブラブラしている。もちろん、ハッザ族の人々は、男性も女性も毎日のように狩りや食料調達のために灌木地帯に出かけてゆく。ハッザ族の平均的な成人は、1日に合計3時間40分を軽い活動に、合計2時間14分を中程度から激しい活動に費やしていた。この1日数時間の慌ただしさは、平均的な欧米人の約12倍の活動量になるものの、その労働量は、どんなに想像力をたくましくしても骨の折れる肉体労働とは言い難い。
狩猟採集民の行動こそが進化的に「正常な」のだと仮定した場合、アフリカ、アジア、アメリカ大陸の現代の採集集団を対象とした包括的な研究によると、かつての人間の典型的な労働時間は約7時間であり、その多くは軽度の活動に費やされ、活発な活動はせいぜい1時間程度だったということになる。ほとんどの狩猟採集民は適度なレベルの身体活動を行なっており、その多くは座ったままで行なわれている。
人々のエネルギー消費量を測定する指標である「身体活動レベル(PAL)」を用いた研究では、狩猟採集民のPALは男性平均1.9、女性平均1.8で、先進国の工場労働者や農民のPAL (1.8) とほぼ同じで、先進国の���スクワークの人々のPAL(1.6)より約15%高いことが分かった。言い換えれば、ほとんど運動をしない一般の人でも、1日1~2時間歩くだけで、狩猟採集民と同じくらいの身体活動ができることになるのだ。
3 怠惰に過ごすのは不自然か?
人間と同じ類人猿のゴリラが1日に移動する距離は、わずか1.6キロ程度にすぎない。チンパンジーの歩行距離も3〜5キロほどだ。人間は、仲間と比べてもはるかに多くのエネルギーを獲得して消費するよう進化した。
人が「安静」でいるためにはかなりコストがかかる。体重が82キロの男性の場合、安静でいるだけで1日約1700キロカロリーを消費する。活動的なひとでもインドアな人でも狩猟採集民でも、除脂肪体重1キログラムあたり毎日約30キロカロリーを消費している。一言でいうと、活動的な人でも、体を動かすよりも体を維持することにより多くのエネルギーを使っているのだ。
カロリーを消費する方法は5つしかない。体を成長させる、体を維持する、エネルギーを脂肪として蓄積する、体を動かす、繁殖する、だ。人類はこの5つの消費行動を前提に、より繁殖成功度が高くなるよう遺伝子を進化させてきた。自然選択の観点からすると、カロリーが限られている場合、必要のない身体活動から、繁殖またはその成功を最大化する機能にエネルギーを振り向けることは、たとえそのトレードオフにより健康が害されたり寿命が縮まったりするとしても、常に理にかなうことなのだ。
つまり一言で言えば、私たちは極力体を動かさないように進化してきたわけだ。より正確に言うと、私たちの体は、身体活動を含む非生産的な機能に対して、エネルギーを十分にではあるが過度には振り向けないように選択されてきたのである。貴重なエネルギーを、自由裁量である「運動」に浪費しないよう慎重になることは理にかなっているのだ。
4 座ることは不健康ではない
当然だが、座っている方が立っているよりも疲れにくく、よりエネルギーを消費しない。
平均的なアメリカ人が座って過ごしている時間は目覚めている時間の55〜75%を占める。睡眠時間を考慮すれば、1日9〜13時間ほどは体を動かさずに過ごしている。1965年から2009年の間に、アメリカ人が座って過ごす時間は43%増加したとの研究がある。
長時間座ったままでいることが健康に及ぼすと危惧されている影響は、大きく分けて三つある。まず一つ目は、座っているがために、やらないことが問題だ。つまり、椅子に座って快適に過ごす1時間は、運動やほかの何かを積極的に行なっていない1時間なのである。二つ目は、長時間座りっぱなしでいると、血液中の糖や脂肪が増えて、体に害を与えることだ。そして三つ目の、最も懸念される影響は、何時間も座り続けると、「炎症」として知られるプロセスにより、免疫系が体を攻撃しかねないことである。
大部分の脂肪は健康的なものだが、内臓脂肪細胞が膨張すると、炎症を誘発する大量のタンパク質が血液中に滲み出してくる。長時間座り続けることは活動不足を招き、血液中の脂肪や糖を細胞に蓄えてしまう。また、長時間座ったままだと筋肉の活動が停止したままになり、慢性炎症が引き起こされる可能性がある。
実のところ、脂肪細胞の肥大化、血液中��過剰な脂肪や糖、ストレス、そして不活発な筋肉という炎症を引き起こすメカニズムは、いずれも座ること自体が原因なのではない。むしろ、体を十分に動かさないことが原因なのである。だが通常それは、座っている時間が長いことを意味するため、両者が関連付けて語られるのは避けられない。
残念なことに、週に7時間以上の中強度または激しい運動をしている人でも、それ以外のときに座っていることが多いと、心血管疾患で死亡するリスクが50%高くなっていることが分かっている。座り過ぎはジム通いを打ち消すのだ。
では、良い座り方はなにか?コツは定期的に立ち上がることだ。30分に1回、ほんの短時間だけでも座りっぱなしを中断するだけで、糖、脂肪、悪玉コレステロールの血中濃度が低下する。座りながらもぞもぞ動くのもよく、たまに立ち上がってストレッチするのはかなり効果的だ。
注意点は、座るに比べて「立つ」のが健康とは言えないことだ。立つことは運動ではないし、立ち机に大きな健康的メリットがあるとお墨付きを与える研究は存在しない。さらに、12時間以上座っている人は、座っていない人に比べて死亡率が高い傾向にあることは多くの疫学調査で明らかになっているものの、仕事で座る時間(職業的座位行動)が長い人の死亡率が高いことを示す前向き研究はまだ行なわれていないことにも注意が必要だ。つまり、座っていることに関する恐ろしい統計は、仕事中ではなく余暇時間における座り方に基づくものなのだ。
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動物は無駄なエネルギーを保持しておくことを最善策として取るのに、人間はなぜエネルギーを意図的に消費する(無駄な)運動をするのか?との着眼点から話が進んでいく興味深い内容。