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<目次>
第1部 近世
第1章 もともとの江戸・東京
第2章 地形を活かした江戸と江戸城
第3章 上水と地形
第4章 地震・水害・大火と地形
第2部 近現代
第5章 江戸を受け継いだ東京
第6章 鉄道発展の時代
第7章 人口増加とインフラの整備
第8章 多摩の工業と住宅
<内容>
タイトルに偽りがあるわけではないが、著者は東京都水道局の人。第1部第3章のような部分が本筋。確かに地形と上水の筋は一致するようで、その地図もなかなか面白い。ただ近現代はあまり地形の話は出てこない。人文地理学の教科書のようになっているのが残念。戦前の軍部基地の地形との関係や戦後のニュータウンと地形改変の様子などを突っ込んでほしかった。
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江戸東京の都市の発展を追う本を買うと、不思議と東京都水道局の方にぶち当たりますね……。この本の著者も水道局の方ですが、水道局にいると高低差を意識するので自然に地形を意識するのかしら。
面白いのは前半の江戸時代。水道だけでなく天下普請での河川改修や八丁堀の港湾なども地形を絡めて説明しています。港湾では、日本橋から宝町の間の昭和通りのあたりって、櫛状に埠頭が沢山突き出した地形だったのが驚きでした。
後半の明治以降は機械動力で地形を乗り越えてしまうせいか、地形とのかかわりが薄い東京発展史に思えました。
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いわゆる江戸の発展と、現在の東京が地理的に成立する過程を当時の地図や写真を挟みながら説明している。
同様なものは、江戸か東京のどちらかなので、江戸の普請から連なる環状線を見ると感慨深い。
星5は付けすぎかもしれないが、碌に感想も書かず低評価なのはいただけない。
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TOKYOウォークという都内を20㎞ぐらい歩くイベントがあります。ちょいちょい参加して思うのは東京の地形の面白さ、です。平らなコースでずっと歩きやすいと思っていると、意外に高低差があって坂の上り下りが連続したり。そして川の流れ、商店街の通り、お寺のある場所、広い公園、線路の配置…それぞれが地形と連環してる?と感じて手にした新書です。勘で選んだ本ですが、かなり堪能しました。去年読んだ本で陣内秀信「水都 東京」というリバーサイドから見た東京という面白い新書がありましたが、本書はそれとはちょっと違う水の流れから見た東京です。水が流れる、水を流す、ポンプの無い江戸時代は必然的に自然の高低差を計算することになり、それは江戸の地形を活かすことになり、その活かし方が江戸から東京まで変わらず残っているという指摘です。今、この瞬間の情報としてのGoogleマップではなく、何枚も地図を重ねて見えてくる土地の物語が浮かび上がります。実際、新書には珍しく赤いライン(著者の強調ライン・発見ライン)が入った地図が何枚も挿入され、ビジュアルでも見ごたえありました。それが2020年のオリンピック・パラリンピックの会場問題にまで繋がり東京の発展史として、あるいは首都問題の未来予想として知的刺激を受けました。この視点、どこから?と思って最後まで読み進めると、著者が30年以上東京都水道局に努める現役の中央支社長であることがわかり、そこもびっくりです。ディープな専門家がそこからジェネラルな全体を見上げる(地図だから俯瞰するか…)面白さにやられてしまいました。