紙の本
樋口一葉の全く新しい評伝
2022/11/22 15:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナオタロウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
樋口一葉の評伝はあまたありますが、今までは半井桃水との恋愛などの評伝が多く、これまでに語られてこなかった「お金」と樋口一葉という観点から書かれた、全く新しい評伝です。生誕百五十年の本年に読むに相応しい読み応えがあります。
紙の本
それまでに紙幣の顔になった中でもっとも貧乏人だった人
2023/04/01 21:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「それまでに紙幣の顔になった中でもっとも貧乏人だった人」、「周りのさまざまな人たちから愛されている。思わず手を差し伸べたくなる」「宵越しの金を持たない」「竜泉寺への引越しが一葉の小説を花開かした」「奇跡の14か月、灯滅せんとして光を増す」、著者、伊藤氏による一葉に対する表現が面白い、一葉研究の大家、作家でもある和田芳恵氏が言いだしたといわれる、奇跡の14か月、あらためて、この期間に発表された作品群は「大つごもり」「にごりえ」「十三夜」「わかれ道」「たけくらべ」と、彼女の代表作ばかりだ、これらの作品は他の当時の女性作家では絶対に書けない、恋の話は他の上流家庭に育った女性作家には書けても貧乏を書くことができる作家は一葉だけだった、吉原がかける作家は一葉だけだったのだ、もっとこの人の作品が読みたかった
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不勉強で一葉が貧乏のどん底で結核で亡くなったと思っていました。
あにはからんや、借金魔で苦しくなると借金の生活で、結構まともな暮らしをしていたんだ。
正にカード地獄の真ん中を生きている人間のごとき生活だったんだ。
この本、値打ちあるね
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最後の章を残して返却。買いかな。
詳細年表(勉誠出版)もあり。
新刊書店で購入(2023/04/16)
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初の女性職業作家 樋口一葉。
本作を読むまで、どのように生きたのか知らなかった。
というか、知ろうと思わなかった。
親類縁者への借金が、どうして成り立つのか
不思議に思いながら読んでいると
P217 〈母はまだ『縁』の中で生きていた〉
質屋より知人から借りた方が恥ずかしくないという考え。
そして、女性は職業の選択肢のない厳しい時代。
改めて、大変なときを生きたと思う。
それでも、こころは貧しさに侵されていなかったのだろう。
ただただ、24歳で亡くなってしまったことは残念でならない。
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樋口一葉の作品って、最近までちゃんと読んだことがなかったのですが…(汗)、何ていうか「面白い」ひとだなあと。いや、本人にしてみれば面白がるなってなもんでしょうが。で、この本ですが、久しぶりに樋口一葉関連の本が読みたいと思っていたところだったので、やや時間がかかったものの読了。
誰だったか、「樋口一葉は短命だったから名が残っただけで、長生きしていたら忘れられていた」みたいなことを言っていた人がいたけれど(確かにそうかも、とは思うけれども)、長生きしたらしたで「面白い」ひとになっていたんじゃないかなあ。何だかんだ『たけくらべ』あたりは生き残りそうだし、そうなったら数年前の文豪ブームとかで「強かに生きぬいた作家」とかって紹介されたかも。それはそれで、見てみたかったなあ。
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赤貧日記とあり、貧乏という視点から見た樋口一葉というテーマはあるものの、実質的には樋口一葉の評伝に近い。日付単位で年表を付記するほどなので、かなり細やかな作業である。
一葉はとても賢い子どもだったらしく、父親もその才気を伸ばそうと学校に通わせる。当時、女子の小学校進学率は五割にも満たなかったらしいが、一葉は母親によって退学させられる。当然だが、一葉の幸福を願ってのことである。女子にとっての教養は幸福の邪魔である、というのが当時の常識であり、先進的であった父も渋々納得する。それは、無教養でも一心不乱に樋口家の幸福を支えた母への優しさでもあった。
ともあれ、一葉の幼少期は裕福であり、教養も身につけ、本も身近にあった。しかし、それは暗転する。兄の病死や父の事業失敗からの死、樋口家を背負うことになった一葉は、貧乏のなかに身をやつすことになりながら金を稼ぐことに躍起とならざるをえなくなる。
一葉の特殊性は、浮き沈みの激しい人生から芽生えたものであるのは疑いの余地がない。当時でも文章を書く女性はいたが、それは当然のことながら恵まれた富裕層として、庇護された人生を送っている女性たちである。
しかし、一葉は教養を身につけた女子として過ごしながらも、貧しさに襲われ一家を背負うことになるという、両極端な人生を歩む。これこそが一葉の強みであったという。
文章としては、著者のめりはりがついた筆致と、一葉本人の性格や人生が一致していて、おもしろく読めた。
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貧乏日記といえど、物語ではなく樋口一葉の日記から彼女の生活をたどる解説書。説明文に留まらず、ストーリー風な文章を挟み読みやすい。明治維新では武士を含め生活は以前より苦しくなった人々が多いことが苦しい。たけくらべを読みたくなった。