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すべて読んだわけではないので、星はつけないでおく。
『この世の喜びよ』
主人公が「あなた」と二人称で書かれているので、自分が主人公になったように読むことを強制されているように感じた。
主人公は二人の娘の子育てを終えた母親で、現在の職場での人々との関わりの中で、かつて子育てに奔走していた時期を思い出したり、遠くなった若さをたぐりよせたりしている。
子育て経験のない私にはそれを「あなた」と言われても、ピンとこない。全然感情移入ができなかった。
私にとっては退屈な話だった。
『マイホーム』
出だしで双子が一歳半と出てきて読むのをやめてしまった。
私の双子も生きていればそれくらいなので、読むのがつらいなと思った。
『キャンプ』
叔父さんが高校の同級生たちとキャンプに行く。みんな子連れなのに自分だけ子どもがいないのはバランスが悪いから、と連れてこられた小学四年生の甥が主人公。
子どもたちはそれぞれに年齢が違い、お互いに名前も認識していないけど、そのキャンプの中で共に行動する。
死骸が出てきたり、小雨が降ったり、明るい雰囲気のキャンプではないが、淡々と描かれる風景が目の前に浮かぶようだった。
特に思い出の品を燃やすシーンは印象的。
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これが純文学。これが芥川賞。何気ない日々の、何気ない行動、何気ない思考。そこにある難解な感情だったり、雑多な感情だったり、何気ない幸せだったり。
相変わらず僕には難しいジャンルだけど、少しでも、この空気を感じられたのは良かった。
(余談ですが)「あなたは」で語られる文体が混乱を呼ぶ、笑
これも文学!
わかるようになりたい。
それも文学。
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著者が詩人なだけあって、独特でつらつらとした難易度高めな文体。
表作よりも「マイホーム」「キャンプ」の方が好みだったので、短編の方が読みやすいかも?
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「あなた」=穂賀さん を見る「私」
ショッピングセンター二階 喪服売り場 仕事着で通勤 いつもバレッタをしている
向かいのゲームセンター
今は小学校教師と大学生の 娘二人が 小さいころ通った
多田さん=ゲームセンターで働く23歳 一人暮らし
二階の古いフードコート
中三の少女 ジュースこぼす 弟が一歳 サッカー辞めた 家はすぐ近く
夫は単身赴任 娘のうち、姉が家出 妹と、姉の彼氏のいる名古屋まで迎えに
娘と三人でスーパー銭湯に入る
クリスマスイブを少女と二人で過ごす
ゲームセンターのおじいさんからもらったメダルでゲームの後、
パンバイキングの店に
少女の皮膚の炎症で言い争い
フードコートで少女を見かける。 話をしたいから。
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芥川賞受賞作なので純文学なんだよね。
私にはやっぱり少し難しい。
主人公を「あなた」で書いているものは初めて読んだ。慣れるまでちょっと苦労した。
第三者の目線で書いているということ?
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ショッピングモール内の喪服売り場で働く女性の日常を描いた作品で、同じ喪服売り場で働く同僚、モール内のゲーセンで働く人や、フードコートにいつもいる中学生の女の子など、そういう人達との交流が凄く日常感を演出してました。主人公の女性の感性みたいなのが本当に繊細に丁寧に描かれていて、このくらい感性が豊かなら自分も人生もっと楽しいだろうな〜とか思いつつ、楽しく読めました。
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短編集3篇
表題作はショッピングセンターの喪服売り場で働く少しくたびれた私の語りで、日々の出来事と過去との取り止めのない心の動きを描いている。
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主体的に子供を育てたことのある人にはひどく共感出来る作品なのではないかと思いました。
逆を言えば育てたことのない人、(育児に参加しなかった男性も含む)若い世代の人には伝わりにくい作品かと思います。
私も2人の娘を育てて、自分のことをして生きていくだけでも大変な世の中で、娘たちの安全や暑さ寒さも考慮して、完璧ではなくても自分の思いつく限り娘たちのことを思って一生懸命育ててきたけどそれでも遠慮なく傷付く言葉を投げられたり、思いやりのない態度を取られたことがあります。
子供の立場からすると親に不満を抱く部分もあると思うけど、親の立場や気持ちや苦労を若い娘が理解出来るはずもなく、なんと言っていいか分からないと思ってしまう「あなた」の気持ちが痛いほどわかりました。
「こんな目を向けてもそこにいてくれる人が私にも、若い時はいただろう、今そんな目をしても受け止めてくれる先はないだろう。」という文がとてもわかる。そして切ない。
自分の娘でもない若い娘さんにも真摯に向き合って自分の気持ちを伝えようと思う気持ち、それを喜びだと思える「あなた」の優しさに感動しました。
作者は同じ年代の子育てが一段落した女性かな、と思ったらまだ30代だそうでちょっとどういうこと???と驚いてます。
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文体に特徴があって、慣れるのに時間がかかる。まだ慣れていない。でも、慣れるとかそういうことか。
いつかもう一度読もう。他の作品も読んでみよう。
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芥川賞受賞で、題名「この世の喜びよ」にも惹かれて、期待して楽しみに読んだけれど、他の2作も含め良く理解出来なかった。
ショッピングセンターの喪服売場のパート、少女、ゲームセンター従業員などで、読解力がないのか、どこに賞を取るほど良いのかわからなかった。
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芥川賞受賞作ということで読んでみたのだけど、文体が独特過ぎた。芥川賞はたまに前衛的な作品が選ばれるけど、これもなかなかのクセが強い。
文章はずっと「あなた」の二人称で描かれる。なぜ、二人称なのか? これは、最後に何かに着地するのか?と思ったけれど、結局、読み終えても何もなかった。いや、深く読み込めば、分かるものなのか。
著者は詩で文壇デビューしているので、前衛的で抽象的過ぎて、読むのにエネルギーがいる。
3遍からなる中短編小説集だったが、表題の作品を読んでお腹いっぱいになった。
他の作品は普通の小説なのか、と思って『マイホーム』を読み始めたけど、やっぱりこちらも同じく独特。なぜ、詩出身の作家は、一文をやたらと長く、そして複雑に描くのだろうか。最果タヒもそうだったけど…
合う合わないが分かれる作品。私は申し訳ないけど、ちょっと合わなかった。
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喪服売り場で働く女性が主人公とあったが、斜め読みではよくわからなかった。芥川賞としての本であるが、これも少し厚い本であり、他の小説とのカップリングであった。
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初めて読む二人称は、最後まで読みにくかった。でも、子育ての後悔や懐かしさは共感することばかり。子育てが終わり、次の世代へと引き継がれていくんだなぁとしみじみ思った。この作品の何がすごいかって、作者はまだ30代だってこと
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読了。タイトルを味わいたく手に取ったが自分には合わず。一文のなかでの転換が多く、あなたという視点がわかりにくく読みづらい。表現として興味深いのみ。マイホームは割と好き。キャンプは所々が生々しく気持ち悪く感じてしまい生理的に無理。時間をおいて再読すれば感想は変わるだろうが再読したくない程苦手だった。
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たまたま見ていた夜のニュースで芥川賞受賞について取り上げていて、『この世の喜びよ』というタイトルと喪服売り場で働く女性と女子高生の物語という情報だけを得て、でもそれでものすごく読みたくなったから手に取った。
物語が「あなた」で進んでいくというから、もし感情移入できなかったらどうしようと思ったけどそれは大きな問題ではなかった。
表現はあまり見たことない感じだったけど、私の好きな語感だったので良かった。
劇的な何かがあるというわけではない、殺人があったり死別したりするわけではない。
日常の小さなこと、それを捉えようとしなければ忘れてしまうようなことを、すごく穏やかな春の陽射しみたいな表現で書き続けていく。
自分には妹がいるけど、母がこれを読んだらどう思うんだろうとか、自分が母になったときこれを読んだらどう感じるだろうとか、そういうことも読みながら考えた。というか、母という生き方が人生の選択肢に存在しうる人間なら誰しも同じこと考えてしまうんじゃないのか?
私はまだ母ではないし特に母になる予定もないのに、感動的なシーンでもないのに、突然大粒の涙が溢れて止まらなくなって、まだ出会ったことのない気持ちになった。あれは何だったんだろう……。
直感で惹かれた本でこんな感情になれるなんて、読書は最高だなと思えた1冊だった。