紙の本
平均年収443万円の日本社会。
2022/12/05 08:22
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おじゃもんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新型コロナウイルスが広がってから、色々な社会問題が目に付く様になった。
と、思っている時に書店でこの本が目に入り購入しました。
題名の「年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活」は、厳しい現実ですね。
筆者は、2021年の国の調査に基づき話しに入って行く。
国税庁の「民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均年収が443万円。
平均年齢は46.9歳で、ちょうど就職氷河期世代と重なると指摘。
正社員の平均年収は508万円で、正社員以外の平均年収は198万円になり。
就職氷河期世代を中心に非正規雇用が進み、「中間層」の崩壊が起こっていると指摘。
第1部では、平均年収世代の方々の取材を。
第2部では、平均年収以下の方々の取材を。
それぞれ一人称で、本人の語り口を出来るだけ再現。
第3部では、就職氷河期世代の当事者の筆者が。
非正規雇用を経験して、同世代を追って20年かけての取材で分かった。
現状と問題点を含めた全体像を、丁寧に解説して雇用問題の悪化を懸念。
さて、「平均年収でも、生活が崩れて行く」と言う現実の社会構成。
「経済対策」や「雇用対策」を先送りにして行く、この国の政策の問題。
「コロナショック」と「失われた30年」が引き起こす、この国の未来は明るいのでしょうか??。
色々考えさせられる一冊でした。
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放置した期間が長いので、長期での取り組みを打ち出さないと
2022/12/07 18:32
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、就職氷河期に社会に出て、就職活動で苦しみ、経営の厳しい新聞社の経済記者となり、取材で企業が正規社員を減らし、非正規を増やすことで利益を出すことを公言する企業に違和感を覚え、中間層が崩壊している問題を追い続けていた方がまとめたものである。
目次を見ると、
はじめに
第1部 平均年収でもつらいよ
第2部 平均年収以下はもっとつらいよ
第3部 この30年、日本社会に何が起きたのか?
おわりに となる。
本書の題名が「年収443万円」だが、国税庁が発表する「民間給与実態統計調査」で、2021年の給与所得者の平均年収をそのまま取り上げている。平均年齢は46.9歳なので、若い人の給与ではないことは明らかであろう。正社員は500万円を超え、非正規社員は200万円を切っている。
国際競争が厳しく、資本主義社会である限り当然という見方があるかもしれないが、この30年余り、日本経済は成長せず、アベノミクスの成果と言えば、横ばいで食い止めたというところでよしとするのでいいのだろうか。やはり、違うと言わざるを得ない。この30年で、世界経済は一定の発展がみられ、所得も上昇しているので、差がつけられてばかり。
第1部で取り上げられた例を見ると、共働きで世帯年収1,000万円でも厳しい。過去、企業の福利厚生がそれなりの水準であり、預金利息も多かったので、比較すれば経済的に厳しくなっている。
第2部で、さらに低所得層に焦点を当てて具体例を取り上げている。現実に詳しい方は別として、多くの方が共通認識を持つには必要な取り上げ方であろう。特に、高度成長期を過ごした高齢者から見れば、現実が認識しづらいかもしれないので、読み込んでほしい。
第3部で、著者の原体験、丹羽宇一郎さんの中間層が崩壊すれば、日本は沈没するという危機感と危機感のない日本政府や大企業、格差を拡大していることへの鈍感さがある。結婚する人が減り、子どもを産むことができない状況が続き、人口減が本格な状況になっている。就職氷河期の世代も50代に近づき、高齢になっても無年金か低年金、生活保護に流れ込むのは必定と言われている。遅きに失したが、付加価値の高いものづくりや収入を増やすことが重要という。GDPの半分以上を占める個人消費を伸ばさないと経済復活がないことが事実であろう。ぜひ、一読されたい。
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この現実はいつまでか。
2023/02/21 17:52
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投稿者:ジャスミン茶 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本衰退論が巷で流行っている。僕はまだ学生であるのでこういった論調には好感を持てないし、信じたくもない。しかしこの本によってこうした状況に現実味が増してくる。これまで経済政策で政府に頼ってきた面があったが、この先はアナキズム的な個人個人の相互扶助関係が重視される時代になるかもしれないと思った。
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平均的な年収の人たちの暮らしや、それよりはるかに低い年収の人たちのリアルな生活、本音を書いた本。
政治家はこれを読むべき。
どうして、少子化が起こっているのか、いま何が必要なのか、この一冊で十分わかるだろう。
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タイトルにある年収の倍程度の世帯年収の人たちの話が前半にあり、後半でそれより低い年収の人たちの話が登場するが、図表は巻末にしか出てこないので、文章部分だけでは金額の指標がわかりにくい気もした。
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年収443万というのは高いのか?それで普通の生活が送れるのか?という問いのもとにまとめられたと思われ、作者としては「平均年収がこんなでは今の日本で満足に暮らすなどできない」と結論づけたかったのだと思うけれど、評価にも賛否両論あるとおり、結論に至るには弱く、かといって、いや大丈夫だよ、とも言えない中途半端な印象になっている。
しかし、それもまた現実なのだと思う。
今はなんとかなってるし、満足とはいかずとも生活できてるけどね、という層が大きく、小さな不安と不満を抱えているけれど現状を変えるほどでもない人が多いから、日本は変わらないのではないかと思わせられた。
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良い。
日本は、貧富の差が大きくなってきており、貧しいと分類される人が増えている。政治、社会に問題はある。
マクドナルド、スタバに行くのが幸せの尺度なのか。違和感がある。お金がある範囲で暮らす。衣食住が足りてれば良しとしたいが。もっと賢く生きたい。
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現在の経済の状況を伝えている。発行が2022年の11月ということもあり、コロナ後の経済状況を踏まえた記述がされている。現場の方々の取材をもとに、事例を書いてあり、その取材があったからこそ実感をもって伝えている。
アクションプラン
・経済についてもっと知りたい。
・将来のことを考えると、自分も節約をしたい。
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リアルだけど、お金がないお金がないとネガティブな心情ばかり綴られていて社会や周りのせいにしているだけ。自分で努力しようとしない人はいつまでたっても負のループから抜け出せないんだなという教訓になった。
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【年収443万円〜安すぎる国の絶望的な生活〜】
2022.12.31
(きっかけ)
日本の平均年収の生活と自分の生活とでどのくらいの違いがあるのか?が気になったため
(目次)
第一部 平均年収でも辛いよ
☆年収500万円(世帯年収900万円前後)
・子供を2人育てようと思うと教育費に不安がある。
・子供の「やりたい」をやらせてあげれない可能性がある。
第二部 平均年収以下はもっとつらいよ
☆年収300万円(世帯年収500万円)
・共働きでもトントン
第三部 この30年、日本社会に何が起きたのか?
・就職氷河期
・リーマンショック
・コロナウィルス
政府の対策(非正規雇用者、女性の働き方に対する対策)が、会社の経費削減のため、悪用され雇用の促進につながっていない。
(感想)
会社を存続させる為には、非正規雇用者を雇って経費を削減することは分からなくもないが…
会社の中で人材を育てる、他のところから優秀な人材を引き抜かなければ、会社の中が空洞化してしまい、会社の存続も危険な状態になるのでは?っと感じました。
夫婦が正社員の共働きでも、子供を育てると考えるとトントンとのことなので、食料品は半額シールのものを買う等の工夫が必要。
#読書
#読書記録
#読書好きな人と繋がりたい
#年収443万円安すぎる国の絶望的な生活
#お家時間
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年収443万円かぁ
贅沢しなければ普通に暮らせるのでは?
いいなぁ、それだけあったら嬉しいだろうなぁ
この本はTwitterで何度もタイムラインに流れてきた
私がそのたびに考えたのは上記だった
書名を見るかぎり、世間一般が考える年収443万円は安すぎるらしい
えー高望みなんじゃない?
その感覚覆してくれんのかな
そう期待して、この本を手に取った
結婚しても両方が年収443万円あれば
2馬力なら何とかなりそう
奥さん働くの嫌ですか?
子どもがいたら年収800万でも……キツイのか??
第2章の平均以下の方々の悩みに関しては理解できる
でも、第1章の方々に関してはやはり高望みしてるなぁ
人間の欲は際限がなく、少なくともそれは必要最低限度はクリアしているのでは?という印象
私はそれより少ない年収でも毎月数万の貯金はしつつ、必要最低限度の文化的な生活は送れていると思うのだが……???
結局のところ先が見えない恐怖心が1番大きいんだろうなと感じた
子どもの将来のこと、いつ職を失うかわからないこと、介護のこと
将来何か起きたら、一気に転落する
セーフティネットが脆弱だから、それが必要以上の恐怖心を与え、普段からその恐怖ばかりを意識して生きるようになる
楽観的に生きていると言えば聞こえはいいが、
私はただ将来の不安から目を逸らして、そこに確実に存在する危険を見ないようにして生きてきたわけだ
そう考えると年収443万円……
年収443万円……
うーむ
自分の人生を保障することを考えたら
やっぱり足りないのかも
解決策が結局見出せなかったので☆1
問題として捉えられたのは良かった
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いつも思う。収入が低いことへの愚痴は、結局自分で選んだんだろう?と。
ただ、子どもがハンデを背負ってたり、親の介護が必要ならそう簡単にいかないのは理解出来る。
総じて言えるのは、節約と言う内向き思考は解決にはならず、収入増になるには今をどう生きるかという外向きになる必要が絶対だ。
年収500万の人が節約しても、年収1,000万円の人の貯蓄には到底及ばない。
偏った人選と、政策批判の解説は、最後に希望も持てず私は好きではない。
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前半部分は日本の平均年収443万円ぐらいの人の実際の生活状況が書かれていますが、共働きで世帯年収1000万円ぐらいの話で、率直な感想は「思っていた内容とズレているな」と思いました。
私は氷河期世代で確かに就職も苦労したし、ブラック企業に勤めて残業ばかりで疲れ果てていましたかが、かと言って1970年代の高度成長期やバブル時期を経験したかったのか?と言われると別にそうとは思いません。
技術の進歩のおかげもあり、今の日本では安くて幸せに暮らすことができるようになりました。
本書に「スタバのフラペチーノを我慢する」や、「お高い板チョコを買うのを我慢する」等の記載がありましたが、今やコンビニでどこでも作りたてのコーヒーや美味しいお菓子が安くで買える時代です。
お金がないからあれが出来ない、これが出来ないと言っているように見えますが、上を見ればキリがないと思います。政府に今後もあまり期待できないので、自助努力で幸せに生きる方法を模索することが懸命かと思いました。他人と比較して劣っているから不幸だとか思わず、自分にとっての幸せとは何なのかを考えるいいきっかけにはなりました。
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個人的な考えが掲載されているのか。正しく社会、経済を理解出来ていない内容がある。就職氷河期でも、ブラック企業でない会社は、沢山あったと思う。年金は、単なる保険であるし、障害者になった時に、貰えるので、払った方が良い。
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本書の内容だが、「知っておくべきだ!」という情報、加えて「現在の社会は何が“問題”?」と考える場合の入口や、鍵になる事柄が色々と示されていると思う。
題名に在るは「2021年の給与所得者の平均年収」であるそうだ。これを聞いて、「少し微妙な金額?」という程度に思った。
“微妙”と思ったのは、年間に「443万円」が使えるのなら、その収入を得ている本人が、仕事の上で問題が在るという程でもなく、例えば介護を要する身内が手近に在るというような課題も無く、子どもが在るのでもないような状態で、健康上の問題らしい問題も無い中、1人で収入の範囲の生活を送るのであれば「そんな感じか…」というように思える金額だ。が、往々にして在る状態、身内のこと、健康のこと、子どものことが在れば「多分、足りないであろう…」と思える金額だ。
そう思いながら本書を紐解き始めた。
本書ではこの「443万円」という収入の前後と見受けられる人達の様子のレポートが連なる。そして「443万円」という収入に届いていないと見受けられる人達の様子のレポートが在る。これは著者が取材して、方々で聴き取りをした話しを「1人称で語る文章」として綴ったモノになる。
人の数だけ、歓び、哀しみ、達成感、課題、安堵、不安、満足、不満、悩み等々の想いが溢れるのだと思うが、本書の人々の様子のレポートを読めば、「課題、不安、不満、悩み、哀しみ」が寧ろ溢れているというように感じざるを得なかった。
そのレポートの後、著者が抱き続けた問題意識と、レポートのような状況が生じて行く中での“問題”の指摘が為されている。読んでいて「30年間位の様子?何なんだ?!」という想いが込み上げざるを得なかった。
「世の中に必要である」とされるような、保育、看護、介護というような仕事に関して、“ブラック”と呼ばれる状況で働く人達の待遇は何時迄も改善されず、何時迄も業界の様子は向上していない。そういう特定業種に限らず、かなり幅広く“非正規雇用”が拡がり、何時迄も安定した勤務先や収入が得られない人が増え続けるばかりになっている。過去20年間程で、少し高収入な人達が増えている他方、低収入な人達も増えていて、“格差”が拡がり、克服し悪くなるばかりかもしれない状態になっている。或いは「中間的な」という人達の層、嘗て「総中流」という程度に表現されたような層というようなモノが「壊されてしまった?」というのが現況かもしれない訳だ。
そして本書では「何を如何やっても巧く行かず…」と「心が弱っている?」という層が意外に拡がってしまっていることも指摘されている。更に、そういうことも顧慮した就業支援のような取組が必要な筈であるとし、幾つかの好い感じの事例も紹介されていた。
極々個人的なことだが、自身のここまでの人生を少し振り返る。社会に出る少し前に「“新しい流れ”の最初になるか、“旧い流れ”の最後になるかという位置?」と漫然と思ったことが在った。結果的に?「“旧い流れ”の最後」という感じなのかもしれない。“新しい流れ”の必ずしも好ましくないような影響を免れたような様子だったかもしれない。と言って、凄く好かったのか否か、何となく判り悪いかもしれないとも思っている。が、現状では健康上の課題のようなモノが全く無いのでもないという中、「1人で収入の範囲の生活を送る」という様子で、とりあえず「“生”を謳歌」しているかもしれない様子だとは思っている。
極個人的な感覚については、それはそれとして、「問題が溢れている?」という様相、「長い間に傷口を広げるようなことばかりして来た?」という様相は知っておき、考える材料にすべきだと思う。そういう意味で本書に出くわして善かったと思っている。