【良い子じゃこの世界は生きにくいから、悪に染まろう】
2023/12/21 19:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えびし - この投稿者のレビュー一覧を見る
歪んだ進学校に復讐を果たす物語。
皆が前ならえして、秩序正しく維持しようとする世界。
そこには個人の意志は介在せず、大人が作り出した常識で縛れた哀れな子羊達がいる。
唯々諾々と従えば、それなりの安寧と幸福を手に入れる事が出来る。
歪んだ価値観が蔓延る進学校で、退学させられる前に復讐を果たそうと目論む胡桃。
選ばれた蓮は、二人で叛逆の日々を過ごす。ルールもモラルも知った事か。
罪を重ね、悪に堕ちてく中で己を見出す。
はみ出し者だからこそ送れる暗い青春の煌めきが輝くのだ。
投稿元:
レビューを見る
学力差別による暴言や人格否定が常態化した学校で、精神的に傷ついた連と胡桃が出会い、学校に対する復讐を始めるお話。
教師への「反感」を覚え、頭の中で「復讐」した人は多いと思う。
本作は、この点に対する共感性を付いて来る作品で、独特の仄暗い面白さのある作品でした。
田中さんやサッカー部部長などの生徒との接触を通じた連の心情の移ろいが、本作の特異性をより浮き彫りにしていて、中々に良かったです。
復讐ネタも、次どんなネタが出てくるのか、実行している際にバレないのかなど、ドキドキ感がありました。
投稿元:
レビューを見る
懐かしい青臭さを思い出させてくれる作品。
中学生の時『ぼくらシリーズ』にハマっていた。抑圧された少年少女が、学校や社会の理不尽に正面から反抗する、そんな話。不満があってもなにもできない、自分のもやもやを吹き飛ばしてくれた。
本作も同種だと思う。絶対的制度に対する反逆という夢のような話だ。
大人になり、社会人になった今、昔のようなもやもやはない。自分が変わったのか、はたまた社会が変わったのか。多分どちらもだと思う。
社会は、マイノリティが主張しやすく、また個人の意見が尊重されやすくなった。
ただそれだけではなく、自分の中で折り合いが付けられるようになったのだと思う。多少理不尽でも、「これは仕方が無いことだ」「これは自分がやりたいことだ」と自分を納得させる。そして本当にやりたくないことを上手く回避する力も身につけた。だから今、もやもやは無いのかもしれない。
『《大人》になるとは、妥協を知ることである』というような言葉をどこかで見かけた。良くも悪くも社会に折り合いを付けられるようになった私は、きっとちゃんと《大人》になれたのだろう。
でもこういう作品に触れると、世に反抗するんだという気概に満ち溢れた、あの青臭く懐かしい感覚が蘇ってきて、なんだか無性に、寂しくなるのだ。
投稿元:
レビューを見る
第18回MF文庫Jライトノベル新人賞 優秀賞受賞作です。
腐習のある学校でそれに立ち向かい、革命を起こしていく主人公とヒロインのお話です。
面白かったですね。
内容がリアルというか、学校に限らず「こういうのある」と思える展開があります。
それを2人が崩していき、理不尽に立ち向かっていく。
それが面白いんですよね。
それでいてヒロインが可愛い。
彼女にも抱えるものがあり、そこには信念があります。
それが主人公の抱くものと共鳴し、世直しならぬ学校直しをします。
つい応援したくなりますね。
彼らの成功と学校を変えていく様子がとても面白いところです。