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デビュー作に続くニューヒロイン沢村依理子のふたたびの登場「数学の女王」読む前はこれってファンタジー物なのかと思ってしまったがいやしかし読んでこの題名の深い意味がわかりました。意外や意外爆弾がで出てくるミステリー複雑な心理戦も出てくる傑作です。そして想像だにしなかった意外な犯人あなたぜひ読んで興奮して下さい。
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事件や謎そのものは
こぢんまりとしていて
犯人やその動機にも
とくに驚かされることはなく
全体的にフツーって感じなんだけど
先の想像がついても
最後までしっかりと
読まされてしまうから不思議。
ただ事件だけを追うのではなく
登場する人物たちの
人となりや背景、つながりを丁寧に
きちんと描こうとしているからかも?
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『北緯43度のコールドケース』で乱歩賞を受賞しデビューされた伏尾さんの2作目。前作と同じく北海道を舞台にし、博士号を持つ警察官・沢村依理子を主人公とした警察小説だ。
正直なところ前作はあまり記憶がなくて、沢村を取り巻くメンバーもよくわからなかった。あまり好意的なレビューも上げていなかった。ところが本作はどうだ。大学で起きた爆弾騒動を沢村が班長となって捜査する。基本的にはこの大きな流れから逸れることはない。多少横道に逸れることがあっても物語の邪魔にはならない。文章のうまさは前作でも感じたが、ストーリーテリングは大きく進化していると唸った。
キャラクターの書き分けも巧みで、ステレオタイプだなあと思わせながら実はさらに裏があるという深さ。デビュー2作目とは思えない余裕すら感じてしまった。
難を言えばタイトルだろうか。詳しくは書けないがあまりにも大きなヒントとなっている気がする。
刊行日 2023/01/23、NetGalleyにて読了。
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どの登場人物にも共感してしまう。
人の特性をデフォルメして分割すると、こうなるのか。そしてその一番混沌目を逸らしたいところをこの犯人が背負ってるんだ……その、どうしようもない狂気の果てにさえ、共感してしまった。
充分なものを持っているのに、報われなさにばかり目がいき、過去にしか自分の存在意義を求められない愚かさ。それを否定できない。その愚かさに、何度も自分自身も囚われそうになったことがあるからだ。
人の中に巣食う理屈の通じない愚かさと、逆境の中にあって腐りそうでもギリギリのラインで前を向いて進む折れなさとの対比が、とても魅力的だった。
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博士号を持つエリートなのにノンキャリ刑事という異色の警察官沢村依理子シリーズ第二弾。
大学構内で起こった爆弾事件、狙われたのは学長。この事件の捜査のため捜査一課に突然異動になり、しかも班長に任命された沢村と、彼女の下で動くことになった部下たちの交錯する思いを横軸に、大学創設時の学長任命に関する不可解な動きを縦軸に物語が進む。この絡み具合が絶妙。
誰が何のために起こした爆発事件なのか。「数学」という学問の「研究者」たちの思考を想像していく沢村の、彼女でさえ躓くジェンダーというバイアス。それでも壁を崩すほころびを見つけたのはやはり沢村が沢村であったからこそ。このシリーズ、沢村の成長小説としても楽しみすぎる。
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学問の世界は凡人にはわからないと言ってしまえばそれまでだけど、1人の女性をあそこまで追い詰め、孤独にする世界はなんなのだろうと思う反面、なんて独りよがりで傲慢な人だろうとも思う。
犯人は三島ではなく息子かと思ったのに、まさかの妻とは。
警察の諸事情も描かれて、公安の身勝手さも面白くミステリーとしても警察小説としても面白かった。
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Amazonの紹介より
「私には、研究が全てだった」
人生を奪われた天才は、あらゆるものを憎み、最も残酷な復讐を企てた。
第67回江戸川乱歩賞受賞作『北緯43度のコールドケース』のシリーズ2作目!
強くてかっこいいのに等身大、警察小説の新ヒロインふたたび。博士号を持つ異色のノンキャリ警察官・沢村依理子は、道警本部の警務部に異動となる。
とある出来事で監察官室に目をつけられている沢村は、これは報復人事ではないかと疑う。
そんな中、新札幌に新設されたばかりの北日本科学大学で爆破事件が発生。
これを機に沢村は突然捜査一課に異動となるが、ただし警務部付ーー果たしてこの人事の意味とは。
一方、爆破事件はいつまで経っても進展がない。まさか北海道でテロ事件が起こったのか。
公安との駆け引きの中で進めていく捜査、しかも沢村は突然班長を任されることに。
新天地でまだぎこちない沢村は、新参者の班長に対して心中複雑な班員たちをどうまとめていくのか。
なかなか実態がつかめない爆破事件の犯人の目的ーーそれは、女性研究者として博士課程まで進み、アカハラによって恋人を亡くすという経験をした沢村だからこそたどり着けるものだった。
博士号を持つ刑事という異色の経歴で、前作も読みました。なんとなくしか憶えていなかったのですが、作品内では前作の内容にも触れていて、ちょっとずつ甦ってきました。
この作品から初めての方も大丈夫なように描かれていると思います。
一つの爆弾事件をきっかけに男社会で生きる女性の苦悩が浮き彫りになっていきます。
それぞれの現場で体験する男社会の中での女性の苦悩が、言葉では言い表せないくらい、大変であることを文章を通じて感じました。
警察に限らず、大学の教授界はたまた、どこの業界でも通用すると思い、男女平等の社会はまだまだ遠いということを感じさせました。
同性だからわかること、異性だからわからないことなど改めて相手を理解することの難しさやハラスメントがもたらす影響を痛感しました。
個人的には「ジェンダーバイアス」といった言葉を初めて耳にしたのですが、自分もそういった思想は該当するなと思いました。
例えば、下の名前が「〇美」と表示されていた時、女性を想像するのですが、昔の男性の中には「〇美」の方もいて、実際に会った時には驚いた記憶があります。
思い込みが招く相手へのイメージ。自分にとっては虚像を作ってしまうのですが、あまり思い込まないことが大切だと思いました。
その思い込み過ぎが招いた今回の事件。色々考えさせられました。
事件の展開としては、なんとなくこうなのでは・・といった展開でした。ただ主人公の沢村が大活躍しています。大学院生の経歴や苦い過去を持っているからこそ、事件の解決へと導いていて、苦難はありましたが、刑事として輝いているように感じました。
警察と公安の対立も描かれていて、それぞれの現場で働く苦悩が滲み出ていました。
ちなみに題名が「数学の女王」ということで、読んだ後に感じたのが、ものすごく事件のヒントになっているなと思いました。
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前作「北緯43度のコールドケース」に続く沢村依理子シリーズ第2弾の今作品、今回はまた新しいチームで爆破事件に挑むことになるのだが…色んな要素がたくさんつまった読み応えのある作品で最後まで楽しめました。
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読みたかった本なので、古本屋で見つけて即買い。
北緯43度のコールドケースの続編と知らずに読んだので、バックボーンがよくわからなくて前半は読みにくかった。特に、警察内部の説明の部分が長くて鬱陶しくなってしまった。
後半はだいぶテンポよく読めたけど、その分展開も読みやすかった。ジェンダーバイアスも含めてよくある展開かなぁと。
正直北緯〜はそこまで読まなくてもいいかなと思う。
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江戸川乱歩賞受賞作のシリーズにあたる2作目。前作ではごちゃついた面が見られたが本作はすっきりとして読みやすさは格段に上がっている。異色の女性警察官の沢村は今作でも立ち位置に悩みながら彼女でしかたどり着けない思考で事件を紐解いてく。冒頭の爆破事件から半ばまではゆったりと進むのだが、容疑者が固まってくるとスピードが増して面白い。ただストーリーラインが分かりやすすぎて伏線なども簡単すぎるのが気になった点。逆にジェンダーバイアスを取り入れ、男女格差の問題を警察小説に持ち込んだ点は興味深く進化を感じさせられた
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※
『北緯43度のコールドケース』続編。
前作を読んでいないため、主人公(沢村依理子)
へ向けられる周囲の目の冷たさの理由が
ストーリーの中で理解できないところが
ありましたが、それは次に前作を読む楽しみ
と思えました。
事件を捜査する流れや、主人公が置かれてる
立場を詳しく説明してるため、話の主軸になる
捜査の進みが遅く感じられ読んでいて少し
まどろっこしい印象がありました。
個人的にはもっとテンポ良く話が進み、
犯人や主人公の内面や葛藤の心情を深く
掘り下げて欲しかった気がします。
ーーーーー
大学院から警察官になった異例の経歴を持つ
主人公の沢村依理子は、キャリアかつ女性
ということもあり周囲から浮いてる存在。
新設された大学院大学で爆発事件が起き、
一課から別部署へ見せしめのように移動に
なった沢村に急遽捜査に加わるよう移動が
命じられる。
ジェンダーバイアスという思い込み、
性別の違いで開かれていない世界で苦しみ
思い悩む登場人物たちの悲劇。
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展開、謎解き、人物描写ともに悪くはないけど普通。爆弾、公安、数学と深堀りできる要素があるのにどれもサラッと書かれて終わってるため記憶に残る内容ではないのか。
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前作『北緯43度のコールドケース』では個人的な思い込みと違う展開で惹き込まれたので、今作はある程度見込んで読み始めた。結果的にやはり沢村依理子と新たな捜査チームに魅了されて大いに惹き込まれた。沢村の異色の経歴だからこその境遇や揺れ動く心情に、どこか人としての魅力を強く感じているのだと思う。
新札幌の新設大学で爆破事件が発生。テロ事件の疑いがあることから公安が捜査に乗り出す。なかなか事件解決の進展がない中、刑事と公安どちらが主導権を握るのか幹部によって検討される。
今回は組織間の旧態依然とした覇権争いや利害関係による不一致など、どこにもありそうなやり切れない状況が描かれている。人事の取り決めやチーム内の建前と本音など、このあたりを細かく伺い知れる描写などもあり、刑事たち各登場人物の人物像が膨らんでいく。バイアスがかかった思い込みは常に付き纏い、なかなか正しい選択ができないことは多々ある。思いがけず考え方が間違った方に行ってしまい、感情がそれにつられて元に戻れないことも多々ある。そんなことを思いながら、沢村依理子はまた苦悩と決断を繰り返して活躍してくれることを期待して、この次も読めることを楽しみに待っておこう。
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乱歩賞受賞後の初書き下ろし。受賞作よりもグッと人物描写が良くなった印象。あまりにもわかりやすい多すぎる伏線はどうかと思ったが、プロットの薄さをエリートノンキャリの主人公・沢村依理子の魅力と、数学に憑りつかれたギフテッド女性の哀しい半生のストーリが帳消しにしてくれている。語りの上手さは間違いないので、次の柚月裕子を狙える逸材。
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「北緯43度のコールドケース」続編。新設大学で起こった爆弾による爆破事件が発生。これはテロなのか、それとも個人的な恨みによる犯行なのか。テロなら公安案件、単なる殺人なら捜査一課の案件という確執の中で捜査を進める沢村たちは真相にたどり着くことができるのか。
ある意味タイトルでネタバレな印象もあるのですが。なるほど、才能があるのもしんどいのだな、と少し気の毒にもなってしまいました。天才の悲哀は、きっと凡人には分からないのでしょうが。分からない方が幸せなのかもしれません。
相変わらず疎外されつつ、それでも彼女の能力を頼みに思う人たちの期待に応えるべく奮闘する沢村には頼もしさを感じました。一方で充分な能力があるはずなのに、鬱屈した思いからあのようなことになってしまったあの人が少し切ないなあ。