【全ては借り物で空っぽだった筈の私の心を埋める恋】
2024/05/02 19:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えびし - この投稿者のレビュー一覧を見る
16歳の素直の分身体として産まれた模造品のナオが初恋で、空虚な器が満たされる物語。
自分が二人いれば、面倒な事も楽に乗り越えられると夢想した事があるだろうか?
もう一人の己を便利な身代わりとして使えたなら。しかし、もう一人の自分だって自我があるし恋もする。
砂上の楼閣のように波に浚われたら、跡形も無く消える記憶。
それでも、素直の為に何かしたいと願うナオが、真田との秘密の交流で初めて手にした恋心。
模造品の空っぽな自分でも。
この恋心は嘘偽りの無い本物だと信じるのだ。
投稿元:
レビューを見る
美しい比喩表現の下で語られる、瑞々しい青春物語。 レプリカが、自身のアイデンティティに思い悩む様子が精緻に綴られた、心温まる物語でした。 また、ナオとアキの、動物園や夏祭りでの交流などが、透明感のある丁寧な分筆で綴られており、彼らの心温まる交流が目の前に浮かぶようで、良かったです。 ただ、正直に言うと、ロボットの意識の話の変形にしか見えない割に、レプリカ周りの設定が詰まっていないように見えるのが気になります。また、シナリオ展開も普通といった所で、大賞作品としてはもう一捻り欲しかった所です。
投稿元:
レビューを見る
電撃大賞作品。
読んでみたいなと思ったきっかけは、本の絵柄が凄く好きだったのと、小学館文庫大賞の『わたしはあなたの涙になりたい』の作者、四季先生(金賞受賞)をおさえて大賞をとったというのでどんな作品なのか気になって。
ちなみに、去年感動した四季先生をおさえて大賞なんて許さん!じゃなくて、四季先生の受賞作の文章、めちゃめちゃ綺麗な文章だったなと思っていたので、あの文章書く人が金賞取った中で更に上の賞をとったというのでどんな作品よ?と期待を込めての気になってっていう意味です。
正直、はじめの100ページくらいは、私の好きな展開の話ではなくて、陰鬱で「うわぁ~、これしんどいかもなぁ」なんて思っていました。
文章が入り込みやすすぎて、序盤が私が好きな展開じゃない分、余計にしんどくて。
ところが、100ページ程度読んだあとにくるアオハル感が素敵で、途中、ヒロインである、レプリカのナオの感情に引きつられて泣いてしまったり、嬉しくなったりで、私のいろんな感情をナオによって揺さぶられました。
いや、全く大したJKですよ、ナオさん。
ある意味ボーイミーツガールならぬガールミーツボーイな話ですが、実は、自分とは何者なのか?と悩む若者に対して、
「自分が何者かなんてわかるはずないのだから、そんなことで悩んでないで、全力でいまを生きて楽しんでみろ」
そんなメッセージも聞こえてくるような気がする、そんなアオハル小説です。
投稿元:
レビューを見る
ホントに最初から最後までキュンとする話でした。途中にあるイラストがまた可愛くて物語をまた美しくしてるような感じがして、感情移入も凄く出来ましたし、沢山の優しさがあって心が温かくなる作品です。レプリカだって、恋をする。というタイトルが本当によく合ってます!
投稿元:
レビューを見る
まず設定で惹き付けられるし、展開もベタなシーンも予想外の妙もあるし、それを一気に読ませる瑞々しくも鋭利な文体が心地よい。さすが電撃大賞を受賞した作品だなと感じました。
投稿元:
レビューを見る
可愛いお話しでした。
突っ込みどころはたくさんありましたが、もし自分にレプリカがいたら?自分がレプリカだったら?
想像の膨らむ1冊でした。
中高生に良さそうです。
投稿元:
レビューを見る
いや、面白かった。
これは設定の勝利だよなあ
そして僕の好きなタイプのお話だ。
初めて恋する高揚感と相手へのドキドキする想いはもちろんそれだけで良いのだけど、さらにこの設定だかこその叶わない願いの不安と苦しさ、何者でもない自分への、自分ではどうすることもできないことへの激情がとても良かった。
特にラストの激情とそれに対する彼の一言は、うん、カッコいい。
途中2回驚かされる展開があって、予想外の方向にお話が進んで、読みながらこのお話はどんな結末を迎えるのかと不安に思っていたのだけど、望む通りの結末でほっと胸を撫で下ろした。
て言うか、後輩ちゃん最強では?
だから彼女の小説タイトルはダブルだったんだとか、そうかその小説が今読んでるお話かとか妄想してしまった。
電撃文庫小説大賞に相応しい青春物語だった
投稿元:
レビューを見る
ドッペルゲンガー的存在のナオ。オリジナルが不調な時に代わりに学校に生活をしていました。
ニセモノとして目立たないようにしている中、クラスメイトの一人が気になり、見てほしいと思うようになってしまいました。
めちゃくちゃ面白い。
恋愛の揺れ動きが本作の設定だからこそより強く描かれているし、その文章も流れるように、けれど確かにあるような感情を描いていて、めちゃくちゃ良かったです。
そしてニセモノが最後まで、ちゃんとオリジナルとは異なる存在として描かれていくのもすごく好きでした。自身の存在への疑問、恐ろしさ。恋愛との兼ね合いもとても好きです。
投稿元:
レビューを見る
個人的には素直が好き。すごく人間くさい。レプリカの方が素直だから怖くなるところ、めんどくさいところを押し付けるところ。それでもなおに居なくならなくて良かったというところはうるっとくる。これからが気になるね。
りっちゃんが素直となおを見分けてるところも良かった。小学校からの仲という伏線を回収したね。
本筋の「恋をする」ところだと、動物園で初めてだと言うところやとにかく予定を入れようとするところは可愛いし、レプリカゆえの想いだよね。良かった。
後味がいい物語だった。
投稿元:
レビューを見る
電撃小説大賞受賞作品。ライトノベル新人賞の作品は単巻できりよく纏まっているものが多いので結構好き。普段ラブコメとか恋愛小説はあまり読まないけど、忘れた時にふと読んでみると、優しい気持ちになれる。レプリカの主人公が贈るちょっと不思議な日常はとても引き込まれるし、何気ない日常の大切さを再認識させてくれるストーリー・キャラクターはすばらしかったです。一番気に入った登場人物はりっちゃん。重要な役回りを担うだけでなく、ほっこりするシーンも多くて素敵でした。
投稿元:
レビューを見る
静岡書店大賞映像化したい文庫部門受賞作。ずしんと胸に重たいものが残る。ハッピーエンドっぽく爽やかに終わっているけど、結局何をどうすることができるのか…?と思わずにはいられない。