紙の本
キリスト教の幅の広さ
2023/07/07 17:59
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投稿者:和田呂宋兵衛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて気付くのは、キリスト教という宗教の、予想以上の幅の広さです。
特定の教会に所属していないが、キリスト教について真剣に知りたいという筆者の取材姿勢があってこそ、
様々な教会・信者の素晴らしい活動だけでなく、教会のドロドロとした面や、
信仰を続ける上での苦しみまで掘り下げることができたのでしょう。
筆者は、一部で流行しているカルト的な教会にも行ったそうですが、
それらの教会についての記述は注意深く排除されています。
まえがきの映画「シークレット・サンシャイン」のエピソードが印象に残りました。
三浦綾子の小説「ちいろば先生」に出てくる榎本保郎に教えを受けた人が複数登場したことも、
亡くなって半世紀近く経つのに、彼の影響力の大きさを感じました。
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烏兎の庭 第七部 6.25.23
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto07/diary/d2306.html#0625
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著者が6年にわたり日本各地の教会を訪問して聞いてきた質問、神をどうして信じたのか、自然災害や戦争などの不幸が起こる中でどうして神を信じ続けることが出来るのか、どうして牧師・神父になったのか、など多くのインタビューイーの言葉の数々。東日本大震災、LGBT問題、ウクライナ侵略戦争、コロナウイルス禍など、最近起こった信仰を考えさせられる問題にもしっかりと向かい合った人々の姿である。語り手約120人は実に広範囲、カトリック、正教会、聖公会、救世軍、無教会主義の集会、日本キリスト教団のリベラルな教会、ホーリネス、バプテストなどの福音主義教会、ペンテコステ系教会、戦後宣教師により開拓された教会…。場所も北海道、東北、東京、小笠原、神戸、鳥取、福岡、長崎、五島、鹿児島、奄美、沖縄など日本各地。そしてブラジル・韓国など外国出身者、在日など。年齢も90歳代から若者まで。信仰的な話もあれば、信仰的とは全く言い難い不信に満ちた話も。それが日本のキリスト教界の生々しい実情をそのまま表しているような迫力である。「証し」は教会では多く使う言葉であるが、私にとっては普段の教会では知ることが出来ない、様々な人たちの正直な言葉(証しとは言えない言葉)を聞いて、キリスト教会の知らない面が多く分かり、驚きでもある貴重な体験になった。14章が回心、洗礼、家族、献身、開拓、奉仕、社会、差別、政治、戦争、運命,赦し、真理、復活、現在というテーマで区切られており、キリスト者を取り巻くテーマを示し、興味深く読めるようになっている。最後の「現在」は著者自身のキリスト教理解が示されている。そして著者は神戸市灘区の教会付属幼稚園に通っていたことが明かされ、この問題意識の背景が分かったように思う。
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別の本でこの本の存在を知り、図書館で予約、順番が回ってきて取りに行った瞬間「えっ、こんなに分厚いの⁈」と驚いた。結局、一回の貸出期間では読みきれず、改めて予約をして二度目の貸し出しで読了した。
ボリュームはあるが、一人一人生身の人間の声や生き方に圧倒された。特に戦争や震災を体験した人たちの証言は、一市民の生の体験談として、歴史的にも価値あるものだと感じた。
日本のキリスト教の宣教は難しいとよく聞く。しかし、どのような苦難の中でもこの信仰に拠って立つ人々が確かにいる。そして神様は決してこの人たちを見捨てることはないのだ。