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キム・ジヨン氏のカルテという形で書かれているのは、最初は感情移入できるかな?と思ったが、そもそも感情移入するための小説ではなかった。
自分も経験してきたことがこの形で書かれることで、自分が経験してきたことや当然と思ってきた価値観を客観視でき、違和感を感じるようになる。
違和感、それはすなわち怒りだったのかもしれない。それすら気づかないように構成された社会の中で生きてきた。
今、違和感や怒りは声に出していいことを知った。
その声は相手を叩くものではなく、自身が持つ違和感に声を上げ、互いを尊重し、新たな形を作り上げていくものでなければならない。
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韓国の歴史にも無知だし、韓国ドラマでしか韓国という国を知らなかった私は驚きの連続だった。
なんというか、女性蔑視がひどくてびっくり。
兄や弟を学校に行かせるために働くって何?
なんで女というだけで、そんな言われ方されないといけないの?衝撃だったけど、ちょっと待て。
日本でも程度の差はあれ、同じではないか。
男女平等だとは思わない。
体の作りがそもそも同じではないから何もかも、平等にしろとは思わないけど、もっと女性を一人の人間として考えて、同じ人間なんだと思って欲しいと思ったなぁ。
男性にこそ読んで欲しい本かも。
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冒頭、主人公が夫と幼い娘とともに、秋夕(旧暦の8月15日。里帰りして先祖の墓参りをするのが恒例とのこと。日本のお盆みたいなもの?)夫の実家を訪ねるあたりで、恐怖・嫌悪のような感覚が軽い吐き気のようにやってきた。
里帰りでつらい目にあった経験があるわけではないが、私は父が長男の三世代同居の家に育った。物心ついた頃から周りにあった、女性にのしかかってくるもの、「女性の役割」を果たせるかどうか、その分野で使えるやつなのかどうなのか、で全てが決まってしまい、それ以外の私には何の価値もないような空気が、とにかく怖いのだ。
だから、その辺で話の続きは一旦置いておいて、巻末の解説を読んでみた。それから読み進めた。
主人公キム・ジヨンが物心ついた頃から、子育てに専念するようになり、そして、心に変調をきたすまでのことが淡々と描かれていた。
多くの方が既に書いているとおり、ジヨンの母・オ・ミスク氏の強さ、しなやかさが何とも印象的で、救いのようにも感じられる。
でも、彼女が、身ごもった3人目の子どもが男ではないという理由で、堕胎をする場面は、ただただ悲しく衝撃的だ。そして、その直後に、当時、産児制限政策の下で、性の鑑別と女児の堕胎がおおぴらに行われていたこと、三番目以降の子どもの出席比率は男児が女児の2倍以上だったことに触れられる。あらゆる場面で、この物語はフィクションであっても決して絵空事ではない、と突きつけてくるのが、この作品のすごみだと思う。
ジヨンが直面する女性だからのあれこれは、小さな針のようなもので、夫の実家への里帰りのようにものすごく心当たりのある話も、私はそういう目には運よく会わなかったというのも、あった。ただ、その小さな針が次々に刺さってくる息苦しさは、ずっと前から知っていたように思う。
オ・ミスク氏の話では、ジヨンの姉・キム・ウニョンの進路に意見をいうところも印象的だ。子どもを育てながら働くのに教師以上の職場はないとして地方の教育大学を勧めるのだ。姉にはほかに将来の夢があり、部屋には世界地図が貼られていて、行きたい国にシールが貼ってある。姉に私にはほかに夢がある等と言われた母親は、自分が間違っていた、勉強をがんばりなさいと言う。
私は、女性であることのハンデができるだけ少ない職業の中で、自分にできそうなものを選んだ。やりたいかどうかはほとんど考えなかった。私に20歳前後の娘がいたら、私と同じような考え方で進路を選ぶように言うだろうか。私にできなかったことをしてほしいと願うだろうか。ともあれ、若い頃のその選択の延長線に今の私があって、たまには読みたい本を読んで好き勝手できる生活をしているのだけど。
巻末の解説では女性差別やミソジニーにとどまらず、さらに視点を広げて、マイノリティへの支援とそれを理由とする攻撃や社会の分断についても少しだけ触れられている。私も、マイノリティでありながら、マジョリティでもある。
こういった本が出版され、多くの人に共有されること、それだけでも大切なことと思う。それは始まりにすぎないということを理解したうえでだが。
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かなり前に話題になっていたので文庫化に伴い読みました。読み終わってすぐに#metoo運動を思い出したけどやっぱり意図的な感じではそうか。女性差別をわたしはあまり感じないで生きてこれたけど、それは多分俗にいう世間が求めて来た女性として生きてきたからかもな。。反省。
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女性として生きていることの困難さ、事あるごとに対面してきた不平等への憤り、それらが声高にではなく、まるで何かの報告書のように淡々とつづられている。
私は、私たちは、これら当然のようにされてきた行為や言動をもう甘受することはない。これは、多くの女性にとって決意表を促すものとなるはず。
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読みやすい。
出産できるのが女性だけであるという生物学的事実に加えて、男性のみが兵役の義務を負うという韓国特有の事情を背景にしても、キム・ジヨン氏の人生はあまりにも過酷だ。
現代社会における分断が淡々とリアルに描かれていて、フェミニズムだけにとどまらない、弱者の生き辛さが言語化されている様は圧巻だと思う。
この手の本は、本来読んで欲しい層には読まれないもんだと思ってたので、ここまで売れて、話題になったことが、女性としては素直に嬉しいです。
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できるだけ多くの人に一度は読んでほしい。何を感じるかはその人次第だが、社会における男女の生き方についてなにかしらの気付きを与えてくれるはず。
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男尊女卑が根強く残った社会に翻弄される女性の話。
すっきりした解決策が見出せず、結局は女性に負担がかかってしまうところも日本社会も同じだと思いました。
制度だけでなく、国民の価値観がアップデートされなければ変わらない問題。世代間の価値観の違いも大きく、根深い問題だと思います。
果たして、世代交代しても解決する問題なのか。考え続けなければいけない問題だと思います。
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グロい……ショックな描写がいっぱいあって陰鬱な気分になる……けど、実際に起こってることなんだよな
韓国ってこんなに極端だったのか、意外だ
一括りに男尊女卑と言うのも違う、、
時代が違えば産まれてくることも許されない性別なんだって怖くなったし、当時優秀だった女性はどんなに歯がゆかったんだろうなって思う
自分が出産する時にこれを読んだらどういう感想になるのか気になる
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韓国で起きていることなのに、日本のことを語っていることのようにも思える箇所が多々あった。客観性を持って近代社会を振り返れる作品でした。
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今までの自分の傍若無人ぶりを反省。妻に対しても、子どもに対しても。これから、少しづつ、出来ることは取り組んでいきたい。心にグサッと刺さる本。フェミニズムだけではなく、人としての生き方を考えさせられる。
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キム・ジヨンの人生をやたら解像度高く追うことで当たり前に生きていて、おそらくは違和感を感じつつも見逃していた女性差別がこれでもかってくらい知らしめられる。(韓国の話だけど少し日本と似ているところがある)
本としては導入少し入りづらいけどわりとすらすらよめた。
個人的には結構かたよってるなーとか、ちょっと説教くさいなとか思う部分はありつつも、知らないことも知れて読めてよかったな、という読後感。
女性である自分自身も、こういうことあったな、というトラウマ的なものが思い出される。こういう本がベストラーになることが韓国や世の中を知ることにつながった。(女だったら墮胎するという価値観には驚いた。)
男性がよむべきなのかも。
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94年日本生まれの私は、就職時に明らかに性別を理由に苦労したり、仕事上で身体を触られたりなどの明らかなセクハラはなく、まだ出産経験はないが産休育休などの制度もあり、産後育児をしながら職場復帰している女性もそれなりにいるという、比較的恵まれた環境にいるのだと思う。
だがそんな私でも、この物語を読んで、男性ばかりの部署内で自分が疎外されていたのだということがわかった。営業成績1位を取っても、理不尽なクレームに引っかかっても、私は彼らの【仲間】にはしてもらえなかった。同じく他部署の女性の後輩が苦しんでいるのを見て、彼女の部署の人はなぜ誰も助けようとしないのだろう?私と違って彼女の部署には彼女の同期の男性も何人かいるのに(私の部署には同期はいない)どうして思いやりの言葉一つ掛けないのだろうと思っていたが、男女の間にある認識の違いからこういうことが起こっているのだと理解した。
表面上での男女差別はなくなりつつあるが、情緒面ではまだまだ差別はなくなっていないのが現実だ。
文庫版訳者あとがきに『フェミニズムの高まりの中で、小説が啓蒙的な役割を果たすとは、日本ではあまり想像できることではない』とあったが、日本でも小説や映画を娯楽として楽しむだけでなく、自分や世の中について考えるきっかけとし、一人一人がより良い世界をつくるために行動できるようになってほしいと思った。
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勉強になった。韓国は儒教が強い国なので、日本より家父長制が強いが、日本も決して対岸の火事ではない。我が身と照らし合わせて、先人達のおかげで女性差別はかなり改善されてきていると感じると同時に、今後の世代のために声を上げ続けなければならないと感じた。
読みやすくて夢中で読んだ。カルテの体裁をとっていて、小説としての仕掛けもおもしろかった。
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女性だから受けてきた不平等や理不尽に浴びせられる誹謗中傷にふれた作品。今の日本でも少なからずあるかもって思うこともちらほら。出産に関しては女性にしか出来ないけど、子育てに関しては一緒にできるよね。「手伝う」てなんですか。あなたの子でもあるでしょと共感止まらず100イイね押したくなった。けど日本では女性の方が親権について裁判では有利だったり、情状酌量も認められやすかったりで刑期も短かったりするわけで。男女平等って難しいね。