0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
菊池寛が、文藝春秋の始祖というのは知らなかったです。戦後、すぐに、亡くなったとは聞いていましたけど、まだまだ活躍できたのに……。菊池寛の小説は、名作ぞろいといわれていますが、未読の方は、まずこの本から
投稿元:
レビューを見る
【史上最も愛された文豪/社長のすべて】ベストセラー作家にして、文藝春秋の創業者・菊池寛。59年の波乱万丈の人生を全力で面白がることで生き切った男の感動の物語。
投稿元:
レビューを見る
読み終わった後で、出版社見たら文藝春秋。なら、この内容仕方ないが、門井さんに些か失望。菊池寛の肉声“作者(火野葦平)が出征中であるなどは興業価値100%で、近来やや精彩を欠いていた芥川賞の単調を救い得て充分である”などとのたまい、火野さんに芥川賞。さらにペン部隊を組織して中国戦線に送り出し戦争礼賛。それが「戦争嫌いでありながら、その戦争を雑誌のためには積極的に利用した」現実主義者程度の認識で前向き評価。門井さんの軽妙なタッチ好きだけど、あまりにヨイショしすぎ!間違った人物像植え付けてしまう罪は大きい。
投稿元:
レビューを見る
文藝春秋発刊100周年で刊行されたと思われる。「忠直卿行状記」「恩讐の彼方に」「藤十郎の恋」あたりは今読んでも傑作で、本人が自分の冠賞を作るのは流石に厚顔だと思ったか、直木賞になっているがこれが菊池賞でも全然問題ない。
作家としても大家だが、企画力・編集力はそれの上をいくアイデアマン。経営は散々だが。菊池寛と文藝春秋の周辺小説だが、目新しい解釈はなく小説としては凡庸。ただ菊池を知らない人には伝記として読んでもいいかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
文藝春秋社の創始者にして、大人気作家・菊池寛。
その生涯を明治以降の作家や
文春に関わる人びとを網羅して描く
連作短編から成る。
菊池寛と言えば、
少し前、いやもう二十年くらい前か、
「真珠夫人」がドラマ化され、大流行したっけ。
いつの時代も受け入れられる、ストーリーテラー。
ご本人の人生だって、そうとう興味深いエピソードに
満ちあふれている。
近代文学史好きとしては、
「おお、ここにこの人が」とか、
「なるほど、この出来事を、こう使うのか」とか、
意外なところで意外な人物が現われたり、
よく知られたエピソードを別の視点からきりとってみたり・・・
そういう意味では飽きない。
おもしろい。
でも、この人の歴史小説は、なんというか、残らない。
心を揺さぶられないんだなぁ・・・
家康もヴォリーズも、なんかエピソードの羅列というか。
なので、いつも投げてしまう。
読み通さなくてもいいや、だってこの人(出来事)、
一応知っているからさ・・となるのだ。
最後まで読み通せたのは「宮沢賢治の父」と、他数点。
(ほら、記憶にすら残っていない・・・)
賢治の父の場合も、本作と同じ事、
わたしの知っている文学者や事項を、どんな視点で描くのかなと、
気になったから。
歴史の人や事柄をうまく構築して、一つの物語にする、
その力に長けた作家さん。
自分の興味と合えば、おもしろいのだろう。
なので、本作は★4つということで♫
投稿元:
レビューを見る
文藝春秋さんのメルマガで応募して当たった本です。ありがとうございます。
実は菊池寛作品読んだことがありません。
文藝春秋社を立ち上げたことは史実として知っていましたが、今回はじめて物語として読んでいて、文学と戦争について考えさせられました。
菊池寛が戦争に本当は協力なんてしたくなかったのか、ほんまのことはわからへんなーとは思います。
でも、ペン部隊のこととかはドラマで見たことあって、勇んで出掛けた作家を批判的に見るか肯定的に見るかは難しいです。
ワタシは絶対に戦争反対の立場は崩してほしくないけど、あの戦争中にそういうことを言うことが出来なくなっていたことがほんまに恐いです。
菊池寛以外にたくさん作家のひとたちが出てきてたのも面白かった。
石井桃子さんに興味を持ちました。
でもこの作品のほんまの意図はわかりませんがワタシは戦争反対についてめっちゃ考えさせられました。
投稿元:
レビューを見る
さすが門井慶喜、主人公が立っています。
明治生まれで人気作を数多く書き上げつつも、新人作家の発表の場を作るべく出版会社も立ち上げた人物とは、初めて知りました。
夏目漱石、芥川龍之介、直木三十五、川端康成、小林秀雄など著名な作家、批評家が名を連ね、まるで人物交流記の様な内容でもあります。
軍の独走に反発しながらも時流に逆らえず、尻馬に乗った様な紙面を作り、その機運を煽ることにつながる活動に手を染めてしまう記述を読み、いかに戦時下の時流に逆らうことが難しいのか考えさせられました。
一緒に仕事をすることが楽しいからまた文藝春秋に戻って欲しいと言われる段は、主人公の人物像を良く表しています。
本当に特異な作家だったのだと思います。
投稿元:
レビューを見る
文藝春秋を創刊し、文藝春秋社を興して社長となった文豪・菊池寛の伝記小説。
恥ずかしながら菊池寛の名前は知っていても作品を読んだことはないし、文藝春秋との絡みも知らなかった。芥川龍之介や直木三十五との交流、それが縁で芥川賞・直木賞を創設したこともぼんやりとしか知らなかった。なかなかに破天荒な人物だったようだが、ユーモラスに描かれていて好感がもてた。
気になったのは、「海外小説を原文で読んで要約を書く」「その要約をもとにして自分の小説のストーリーをこしらえた」という箇所。えっ、盗作ってこと?
また「もう六十一なんだから」という記述はなんだろう? 59歳で亡くなったはずだが?
投稿元:
レビューを見る
軽快で心地好い読後感。菊池寛の人生を辿った物語だが、同時に出版社・文藝春秋の成り立ちが解る。この本を介して菊池寛や芥川龍之介、直木三十五たちに逢えた気がした。
投稿元:
レビューを見る
教科書に掲載されることはないだろうけど、
文学史に多大な影響を与えた菊池寛。
実際のところ、どんな人か知らないのに、
こんな人だったんだろうと思わせる人物の描き方、
さすがの一言。
一気に読めた。
投稿元:
レビューを見る
文藝春秋をつくった男、菊池寛。文豪であった彼が何故出版社をつくったのかが分かるのが本書。100年の記念の年に歴史小説として文豪小説としても上手い書き手の門井慶喜さんが紐解いていく。時系列とともに短編形式で進行していき、芥川賞、直木賞をつくった理由や戦争の中で揺れ動く心をつぶさに描いていく。魅力ある男として菊池が描かれているのが印象的。当時の文豪はかくもこうだったのかと思われるが豪快で直線的。周りを巻き込みながらグイグイ進む。まさに土台は人望かに思える。
投稿元:
レビューを見る
公教育で識字率が上がり電灯の発明で夜に余暇時間が生まれた時代。書き手を集めて雑誌を創り、文学賞に亡き友人の名を冠し…。
登場する文豪たちが生の人間として生き生きと感じられて面白かった。
投稿元:
レビューを見る
特に何か凄い事件が起こるわけではないのに、日本の近代文学史が描かれているせいか、非常にワクワクして面白かったです。
明治21年生まれの菊池寛が作家になり『真珠婦人』をヒットさせ文藝春秋社という会社を立ち上げ、雑誌『文藝春秋』を創る話です。
1話目の寛と寛(ひろしとかん)には芥川龍之介が登場します。芥川龍之介は『鼻』が認められ、文壇でどんどん名をあげていくのに対し菊池は『真珠婦人』までヒットがありません。
大正12年に菊池は『文藝春秋』を創刊します。
そして芥川は神経を病み自殺。
菊池寛の本名はひろしと読みますが、芥川は自分の長男に比呂志(ひろし)という名前をつけていました。
2話目は貧乏神
直木三十五の話です。
横光利一、川端康成などとともに直木三十五も登場します。
直木三十五の本名は植村宗一ですが、筆名の由来を初めて知りました。
直木は働き過ぎて、結核から脊椎カリエス、脳膜炎を併発して亡くなります。
この2話で、今、毎年二回必ず話題になる文学賞、芥川賞、直木賞の創設の意図がよくわかりました。
第3話会社のカネでは、社内で起きた横領事件。
第4話ペン部隊では満州事変。
第5話文藝春秋では会社の立て直しの様子が描かれます。
明治から昭和初期の文化人の名前がたくさん出てくるので(夏目漱石、柳田國男、小林秀雄、石井桃子、向田邦子他多数)その頃の文学がお好きな方には面白く読める本だと思います。
菊池寛には『真珠婦人』のヒットはありましたが、文化人というより会社人間として成功した人だったのだと思いました。
菊池寛の死因は、接待などでの暴飲暴食による狭心症でした。
投稿元:
レビューを見る
門井さんの読みやすい文体で、菊池寛という人が破天荒に生きている感じで描かれていました。
こんな風に会社が出来上がってくるんだな~と、興味深く思いました。
ちょっと独りよがりでワンマン的な、ものすごいエネルギーのある人で、それが周りの人をも動かすチカラとなっているのかなとも感じました。
有名な作家さんの名前がたくさん出てきますが、歴史上の人物のように現実味がなかったのが、さらに歴史を感じました。
投稿元:
レビューを見る
柚木麻子さん作『ついでにジェントルメン』の一章に「Come Come KAN!!」があった。文芸春秋社のサロンで、主人公の新人女性作家がそりの合わない担当編集者と打ち合わせをしていて、菊池寛の銅像が突如話しだすという奇想天外な展開で始まっている。文藝春秋社を菊池寛が興したと初めて知った。菊池寛と云えば、随分前に昼ドラでドロドロとした愛憎劇『真珠婦人』をやってて菊池寛の原作だとわかり、それまで持っていた『父帰る』のイメージが裏返ったのを思い出した。いつか彼の作品を読んでみたくなった。
タイミングよく、門井慶喜さんによる本作が今春に出版されていて、まずは菊池寛さんの経歴を知ることにしようと思い立って読み始める。
芥川龍之介や直木三十五、川端康成などのそうそうたる小説家が登場する中に、彼の助手として石井桃子さんが出てきて、そしてその流れで向田邦子も登場するのが意外で興味深い。菊池さんは同時代に活躍した所謂文豪たちと異なっていたのは、小説を書くだけでなく『文藝春秋』を創刊する経営者としてのノウハウや度量があった。実業家として手腕をふるう一方で、小説家であることもあきらめなかった菊池寛。何かの本で読んだ蔦屋重三郎が浮かんだ。蔦重は、自身もそれなりに描いていたが自分に才能がないと見切りをつけ、才ある人たちの作品を売り出す側に回った人だった。蔦重と比較するのは間違いかもしれないが、彼は二足の草鞋を選ばずに、貸本・小売を手掛ける本屋「耕書堂」を開業。『文芸春秋』が引き継がれているように、江戸時代に創業した蔦屋重三郎に由来するとも云われているのを現在に残している。名高いカルチュア・コンビニエンス・クラブが手掛ける、レンタルや書籍販売などを行う複合量販店チェーン「TSUTAYA」がそうらしい。
菊池寛は結婚相手には資産家の娘と結婚することを考え、金持ちの妻を娶る。高松藩の旧・藩士奥村家出身の奥村包子(かねこ)と結婚し、妻側からの莫大な援助を得ている。さすがだ。経営者としての意識が強まったことで、学友に対する扱いが無意識のうちに疎かになってしまった。大きかったのは(本書によると寛さんの思うところではなかったらしいが)戦争を進める政府に迎合して、結果的にペン舞台を繰り出す素地を作ってしまった。終戦後GHQから、菊池寛は日本の「侵略戦争」に文藝春秋が指導的立場をとったというのが理由で、公職追放になった。その間「大映」の社長に就任し、国策映画作りにも奮迅していたのだから止むを得ない。
菊池寛は思う存分、時代を駆け抜けた日本人離れした人に思える。