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巻末の松田青子の解説が秀逸。
私も「魔女」だったんだ笑
自分の中に嘘を持つ。物語を詰めていく。それが「形」となるところは、映画になりそう。
リアルに考えると会社のシステムはどうなんだ、とか、言い出したらキリがないが、これはそんな小説ではないのでいいのだ。
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タイトル、空芯手帳??なんか料理系??いや違うのやな。帯付きの文庫本。帯には、でかでかと、
職場にキレて偽装妊娠。
とある。さらに、
理不尽な雑用、セクハラ、女だから演じるろくでもない役回り。、、、ままならない現実を破壊するのは、私だけの赤ちゃん?
とありしかもニューヨーク公共図書館、ニューヨークタイムズの2022年オススメ本と。
手に取るしかない。帯買い。なんとなく、津村記久子さんぽいプロットだな、戦争空爆ジェノサイドなんやかやと現実がもはや現実的ではない世の中なので、小説で細やかな身近な現実世界に浸ろうかと、パレスチナ支援ガザ攻撃虐殺やめろデモの後入った本屋で購入した。
とても描写が細かく繊細で感受性に富む。同じような街に住む私。ここまで情景情況をわかるわかるでもこの作家さん八木詠美さんにしかかけない言葉での描写。ここちよく、もあり、不安でもある。
会社での、女子雑用あるある、抜け出せない蟻地獄みたいになってるやつ。
会社の人悪人は居なそうだけど、女としても人としても共感できる人はいない。異彩を放つ東中野さんも微妙。
とにかく面白い。膝を打つような面白さほぞを噛むような苛立ち。
妊娠しちゃえば、人間関係も見える風景もこんなに変わる。自分が見る風景も変わる。女だけど自分でコントローラーをにぎることができるという発見。
逃走でもないし、なんなんだろうこの不思議な解放感。そしてところどころに現実。
後半の、幸せそうな結婚生活の中のそれぞれの妊婦たち。夜の路上でも子守。瀧波ユカリさんの、無痛恋愛にも通じる、真夜中の静寂を破る、世の中の男子たちの無頓着無意識の悪をののしる声。子どもを揺らし続ける影。
街でみかける本物の妊婦の熱量
不妊治療をして諦めた会社では男子だけどおそらく妻に寄り添えるような男妊婦となった柴田さんに寄り添えるような男なのでバカにされていたる東中野さんの持てなかった子ども未来の社会に生まれ落ちる子どもへの熱量
幼い頃の、庭園の魔女
エアロビを踊り込むお茶仲間にならなかった妊婦の熱量
告知受胎してしまった聖母マリアへの問いかけ、勝手妊娠した自分への問いかけの熱量
空芯が、リボンがくるくる巻かれてできあがっていく有無を言わさぬ冷たさの熱量。
妊婦の変わらぬ負荷痛み
それよりももっと人の力で特に男の思慮で変えられるはずの社会が与える痛み、家父長制男尊女卑小さい時から刷り込まれる性別による役割分担その期待値、、、、、
柴田さんは空芯の体で、空人を育て、空芯の体で制度に、世の中に、自分にチャレンジしていくのだな。
と思うとなんか、自分の重たい体にはなんか詰まってるのかと疑わしく、息を全身から吐き出したくなる。
独特の形容の感覚と、聖母マリアさんが出産した地をしっかりとパレスチナ 、と、パレスチナで、と書かれているところなど、ディテールが重要な作品らしくディテールに強い意志とメッセージを感じ取る。
作者の八木詠美さんのこのような作品、���常を逸脱せずそこに居て宣戦布告するチャレンジも合わせてなんか力強く、しなやかだと思った。
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作中では女性社員の役割とされている、郵便物の仕分けやコピー用紙の補充などの“名前のない仕事”。私の職場では当番制になっていて、女性という理由でその役割を求められることはない。
ただし、飲み会の席になると話は変わる。誰かのコップが空いたとき、わざわざ「若い女性に注いでもらった方が美味しいでしょう」などと声を張り上げる旧式な人間がいまだに生息しているのだ。
そんな時は「慣れていないので注ぎ方がわからないんですー」と言ってドボドボと泡を立てながら注いで差し上げるのだが、“お酒を注げ、食べ物を取り分けろ”という視線は、密やかに、でも確実に若手女性に向けられる。
仕事中には男女平等に扱うように注意していても、飲み会での振る舞いが本音なのだろうと思う。
そんな旧式人間が集う職場で、“妊娠”することで一矢報いる柴田さん。
最初はその嘘を面白がりながら応援するが、次第に一体どこでバレるのかと心配になってくる。
中盤では雪と孤独の中で、“誰かと家族になるとは、互いの存在を担保して忘れ合わないような環境を作ることなのかもしれない”と考える柴田さんに共感しつつ、終盤は決意の強さがちょっと怖くなってくるけど、、ラストは爽やか!
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社会からのくだらない要請に抵抗する手段はいくつあってもいいなと思った。
マタニティビクスでフェスの大トリくらいブチ上がる場面が最高。
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「職場にキレて偽装妊娠。」
帯に惹かれて購入。
訳がわからない内に物語が進んで、気付いたら先が気になりすぎて入り込んでた。
その中でも淡々と続く日常。
目に映る風景の描き方、文章は、正直最近よく見るなぁというのが感想。よく見かける言葉達の羅列〜とか思ってしまって、その若手新人感がどうしても刺さらなかったけど、後半で巻き返してきた。
進むにつれて、ホラー?というか、世にも奇妙な物語感。なるほど、こうしてきたか、って感じ。
知ってる感情はあった、そこの言語化は嬉しかった。
もう少し感情部分が多くあればもっと好みだったと思う。
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不思議な本でした。妊娠は嘘なのに、途中で妊婦健診や胎動の件があり、「あれ?実は妊娠してるの?」と思いきや…!?
職場での女性ならではの仕事には共感できるけれど、バレた時のリスクを考えると私には真似できないなと思いました。