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【『WORLD WAR Z』の鬼才の最新エンタメ】火山噴火で取り残された村で起きた惨劇とは? 闇に葬られた事件が著者の取材から浮かびあがる。偽ドキュメンタリー形式の衝撃作。
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面白かった。
著者の『World War Z』も面白かったがこちらも面白かった。主人公設定としては一人だが、いろいろな媒体から取り寄せて実像を浮かばせるやり方はここでもあった。
サバイバルモノとしては変化球であり、現代的。ネットインフラが遮断し、食料に心許なさを覚えるが、電気や水の心配がひとまずないのが面白い。
また、集まったコミュニティのキャラが風刺的。悪く言えば意識高い系。だからこそ、発案者が崩れるのが象徴的。
主人公のケイトの性格はわからないが、空気が読めて理論的で穏やかな人なんだろうなとうかがえる。ニュートラル。
ダンの変化もトニーやイヴェットの変化も面白い。
哲学者のラインハートは、家庭というか、過去、父親に追随し、手は動かさないが口は出しするキャラとして妹目線で描かれているのが良かった。
あと驚いたのは、ケイトの兄貴がゲイだったこと。さらりと出てくるのが良かった。
モスターは最初名前に慣れなくて、え?モンスター?と誤読したけど、これわざとなのか。街の名前からとったらしいが。念のために備えて行動出来てて良かったし、だからこそ、ケイトの闘争心に火を付けてて良かった。
あんまギスギスしなかったな。リアル。みんなインテリだから、見たいものを見ようとするが、仲間割れを望んでいるわけじゃないというのが良かった。
まあ、なんか、動物を傷つけるなんて!とか、共存や友好関係を夢見てるところは先進国諸国と独裁者国家とのやりとりみたいで面白かった。
タイトルは退化。確かに。文明を捨てて、狩りに行くわけだから。皮肉のきいたタイトルで面白い。
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グリーンループというハイエンドかつハイテクなエココミュニティが火山の噴火により陸の孤島となってしまう、噴火の影響で山奥から降りてきた怪獣に皆殺しにされそうになる住人たちの戦い・・・というのが筋書きです。設定はよくあるのですが、そのぶん住民のキャラクターがいかにも現代であるなと言う感じにアップデートされています。
主人公のケイト・ホランドはノーマルな人間な感じがします、夫のダンは無職でひきこもりぎみな子供っぽい人間です。その他はグリーンループでグリーン革命を起こそうとしているトニーとイヴェットのデュラント夫妻。同棲カップルのカーメンとエフィーにはロギンヒャの養子パロミノがいます。ヴィンセントとボビーのブース夫妻はヴィーガン。アレックス・ラインハートはきなくさい過去をもつ哲学者。最後のモスターは謎の多い彫刻家です。怪物に囲まれた最初はモスター・ケイトとダンが戦うことを選択し、その他の住民は平和的な解決を望みます。この人数分けが物語が進むに連れ変化していくところがこの小説の面白いところです。
どころどころに入っている動物の凶暴性のエピソードが物語をさらに恐ろしくしていきます。チンパンジーが組織をくみ自分たちより弱い猿を食用に捕まえることやピューマがいかにして人を食べるようになったかなどです。そして住民が「やつらは私達を皆殺しにするつもり」「やつらは私達を恐れていない」ことに気づいたときが恐怖の頂点となります。