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今をときめく垣谷美雨さんのエッセイ。
思いの外(?)気にしいなところがあったり、そうかとおもえば大胆にズバッと言い切ったり。
そういう多面性が、でも本当に垣谷さんの"生の声"という感じがして、共感出きる部分もとても多くて面白かった。
ノッてる作家さんはやはり違うなと言う感じ。
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エッセイを読んで、フィクション作品の方が面白いな...と思う作家さんに出会ったので、このエッセイも読むかどうか迷った。垣谷美雨さんの作品が大好物だから、読まなきゃよかったになるのが怖くて。
しかししかし、読後は悪くない!!偉そうですみません。
他の方も書いておられたが、毒舌というりチャキチャキというのがしっくり。
はっきりものを言ったかと思いきや、思ったことを口にできなかった話があったり、一人参加ツアーで友達を作るような積極的な面を語ったかと思えば、暗い性格だと言ったり。
普通の庶民の一面が覗けて楽しい。
笑ったのは、昔から歴史に興味が持てないところ。
歴史好きな人に好きな歴史上の人物を聞かれ、北京原人と言うシーンは吹き出しました。
あとは10年後の自分がタイムマシンで今に戻ってきたというくだり。
10年後の自分からすれば、今の自分は若く健康で、ぐちぐち言わずに楽しみなさい的なところ。
これは私も最近やってる。
恥ずかしながら仕事と家事育児と、もって生まれた短気な気質で日々猛烈に苛立っている私。
死の間際で子供たちにもっと優しく接しておけばよかったと思って、特別にやり直しの機会をもらっているんだ!の設定で最近やっております。
垣谷美雨さんも似たような思考をお持ちのようで(違うか?)、大変嬉しい!
この後、懲役病棟読みますよ。楽しみ。
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行きつ戻りつ死ぬまで思案中
垣谷美雨さん
大好きな作家さんのエッセイ
おもしろかった
近くに居たら、仲良くなれそうな、
おなじような感じかたをする。
身近に感じて、
共感できるエッセイでした。
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良妻賢母とは
夫は外で働き妻を家事、育児で社会に出さない迷言
まだまだ女性の権利がない
古きよき日本なのか、やっぱりいつの世も長所短所があり盲目的に昔がいいとはいえない
女同士でも価値観が違うので男女ではもっと相違がある
お互いにコミュニケーションと分担、尊重が大切です
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垣谷美雨さんの小説は読み易いうえに共感できるところもあって好きである。
エッセイは初になるが、コロナ禍でのこともあって振り返ってみるとこんなことあったよなぁと思いだす。
同年代だからこそ、そうそうと頷きながら楽しめた。
リアリティというなかで、読者は自分の都合のいいように解釈して読んでいる。リアリティがないと決めつけるのは、読者が知っていることや想像できる範囲を超えているということだ。そして、自分の考えと一致するところを見つけては共感し、その部分が強く印象に残る。その証拠に、同じ書物を読んでも若いときと中年期では感じることが大きく異なることがある。
これはまるで私のこと?なんて思ってしまった。
服はもう買いません
家具はもう買いません
土産は買わない
これもすごくわかるのだが、なかなか思いきれない。
でも必要以上に家具は増やしたくはない。
自分が価値があると思うものにお金を使う
これはわかるのだが、電子書籍はまだ躊躇している。
年齢と共に本を手当たり次第、ジャンルを問わず大量に読むようになった。数年前から人生の残り時間が少なくなっていることを意識し、知識欲が抑えきれなくなった。少しでも興味を持つと、今すぐ読みたい気持ちが以前より強くなったのである。
死ぬほどつまらないと感じる本にときどき当たってしまうこともあるが、それでも得るところが必ず一つや二つはあるものだ。
にも大いに当て嵌まると思って、もはや私の心の中が見えるのか…と。
おまけに父は古い考えの持ち主で男尊女卑だったし、癇癪持ちで短気だったから苦手だったというところも一緒なのだ。
子どもの頃から田舎の生活がたまらなく退屈だと感じていたのもわかる。
自分を曝け出した痛快なエッセイにわかる部分が多かったことに何故かちょっと楽になった気がする。
あれもこれもと悩みはあれど、行きつ戻りつというのもなるほど頷ける。
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今私は垣谷さんが書いている様なことをぼちぼち思い考え始めているところです。子育て一段落して、ほっと一息ついているところ。でもまだまだ子どものことはいつでも心配で…。
後半にあった自己犠牲の話。私も母親から知らず知らずのうちに小さい時から刷り込まれていた、「女の子だから」「女の幸せは」という呪縛。悩まされて反発しながらも、同じ様にならまいと思いつつ、同じ様に専業主婦していい母親を演じてたかも。でも否定も後悔もしたくないし、子どもがいたことで広がった縁やできた経験は、かけがえのないものにはなってるはず…。
うんうん。わかる〜とうなづきながら読みました。
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短いものは1ページほど、長いものでは数ページになる、71本が詰まった著者初のエッセイ集。2020年中頃から2022年末くらいまで連載されていた文章なので、新しい感じが強い。
中でも面白かったのは、『アベノマスクは捨てました』と『デジタル庁長官の人選がおかしい件』の2本。特に後者は、発足当時からおかしかったことがよく分かる。
それぞれの文章のいちばん最後の一行が、オチになっているようで面白く読んだ。
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垣谷さんの小説は何作か読んで、面白いなと感じていましたが今回は初のエッセイ。
こんなに人の事悪くいうの?
偏見が酷くないですか?
というのが正直な感想でした。
残念です。
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初めて読んだ本は、「女たちの避難所」だった。
被災地でのとんでもない裏側を垣間見たような、
とても衝撃的だった!
その時から、ずっとファン!
初のエッセイということで、
さらに、著者の本音に迫るたくさんのことが知れた。
会社員、妻、母、祖母、と、
人生のたくさんの経験が全ての作品の基本になっている。
女性目線で、世の中を、一刀両断にスパッと言い切る文章にいつもながら胸がすっきりする。
「懲役病棟」「News Diet」ぜひ、読みたい。
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面白かった〜!
垣谷美雨さんの小説が好きだ。今までに5冊以上は読んでいる。
そんな垣谷さんのエッセイ、というか地の文を読むのはこれが初めて。
面白い。この人はこういうことを考え、感じているのか〜と、大変面白く読んだ。
そうだ、その人はSEだったのだ、と読みながら思い出す。ロジカルで合理的な考え方に、非常に親近感をもつ。
五輪の無駄遣いに憤る垣谷さん。社会で女性が受けるアンフェアの扱いについて語る垣谷さん。
もうね、首をブンブンと縦に振りながら読んだ。
こういうマトモな大人がいてくれることに、とても安心する。
大変よかった。
垣谷美雨さんのファンはもちろん、リベラルよりな価値観を持つ人に強くおすすめできる一冊。
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いつも前向きに豪快に未来をきり拓くイメージの女子を書く垣谷美雨さんのエッセィ。
豪快に進むかと思いきや、柚木麻子さんのエッセィだったけと読みとまったこともあった。
みんな人との距離感に悩みながら、鬱々としながら暮らしているんだなと感じた。
これからの作品を読むのもすごく楽しみです。
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垣谷さんのエッセイ集。さすが作家さんだけあって視点が鋭い、切込みも。ただ、エッセイってどうしても愚痴っぽくなってしまうのが難しい。
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垣谷美雨「行きつ戻りつ死ぬまで思案中」、2023.4発行、エッセイ集。 納得の箇所: ①時間泥棒; テレビ、パソコン、インターネット、スマートフォン・・・。著者(1959年生まれ)と同世代かそれ以上の人は、ガラケーでネットは自宅のパソコンで見る人が多い。葉書や手紙も。 ②ニュース・ダイエット; ニュースを生活から遮断する。1年の内1ヶ月分時間を無駄にしている。自分がコントロールできない領域のニュースは何の役にも立たない。
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○感想
実は小説家のエッセイを読むのが苦手ということを実感しました。体験談や、世の中の様々なことに対する思想や考察を垣間見ることができるため、生き方や考え方を知ることができ、生身の人間さを感じるからでしょうか。より共感や発見を与えてくれるものですが、既読の垣谷さんの小説イメージを持って読み始めたので、とっつきにくかったです。
読み進めると、講演準備への取り組み方のこだわり方には繊細だな、デパートで菓子折の包装や裾直しを断れないのに、他国の漢字文化への提言をする姿勢や「くたばれルッキズム!のタイトルから見える強気、良くも悪くも真っ直ぐで正直な方だと思いました。好きな歴史上の人物を聞かれ、北京原人と言うシーンでは私も、え?そこ?と思いました。
仕事や子育てで感じたこと、親との関係性、また女性であることの苦労や体調など共感できる話も多くありました。
「世間は私を「母親」としてだけ見る。それぞれの個性や能力や将来性などは存在しない。世間が作り上げた「母親」という理想像に押し込まれるのが苦しくてつらかった。」とありました。母親像が変容しているはずなのに、求められる理想像の高いこと。さらに職種の理想像まで掛け合わさると、しんどさが倍増しそうです。働く母親は、自分が望む仕事もしくは必要とする仕事と、自分が思い描く理想の母親像との間でのバランスを取ろうともがくのでより負荷(例えば「母親×教師」「母親×小児科医」「母親×介護士」「母親×調理師」など。)が増えています。本来なら父親像ももっと描かれるべきでしょうが、そこは深掘りされずで、物足りなさも感じました。
「あなたは何度人生をやり直したところで大差ありません」では、「後悔とは自惚れである」という言葉にどきっとしましたし、振り返る分だけ時間と精神の浪費になるという考え方もそうですが、「底なし沼」に引っ張られないよう、嬉しかったことを思い出し、自分なりに精一杯頑張ったからこそ今日があるのだと言い聞かせて、自らを励ますように過ごそうと思えました。ある意味、心の保ち方を教わったような気がします。
妄想でタイムマシンに乗ってみると、未来の自分はこうだろうと想像しやすい年齢になっています。少なくとも、大人として理性や常識を保ちつつも、今を楽しむ心意気、例えば自分の心に従って快不快の判断で生きていく、(コンマリさんでいうときめき)、そういった選択が大事ですね。生活環境の違いで話が合わないことは多いでしょうから、友だち百人は無理だなと改めて思いました。
人間関係の根源として親との関係性です。大きな存在だった親が、未熟な一人の人間にすぎず、『精いっぱい』の生き方をしていたんだと気づくと、自分の中の怒りもうまく消化し、前向きに笑い話に変換することができます。人によってその気づきのタイミング異なるでしょうし、その機会が無い人もいるのかもしれません。
ロルフ・ドベリ氏のいう「自分がコントロールできる領域」と、「自分にはコントロールできない領域」のある世界で生きぬくためには、自然災害などどうしようもない理不尽な状況が起きうるのですから、自分にできる小さな領域の中で人生を楽しむこと、努力���て生きいく姿勢が大事だと思いました。そのために自らの心がはっきり決まるまでは動かないこと、固定観念は心の中に深く沁み込んでいることを忘れないこと、何が差別語なのか、不快語なのかは、人によって捉え方が違うということを忘れてはいけないと思いました。
作者のいう壮大な「暇つぶし」の人生では、暇をつぶせないと深みにはまり困ったことになるようで、私達はやはり死ぬまで思案し続けるしかなさそうですね。
最後に、例としてあげられる内容が唐突すぎたのと(執筆中には新鮮な時事ネタなのかなと思いつつ)少し極論かなと感じたこともありました。小説の作品の方が大好きなのでエッセイは☆が少なくなってしまいました。
++++++++++++++++++++++++
<気になった文章>
○p.35 小説というのは著者の経験や性格が如実に反映される。だがそれだけではなかった。書き手だけでなく、読み手の性格や考え方も色濃く浮かび上がってくるのだ。
読者は自分の都合のいいように解釈して読んでいる。リアリティがないと決めつけるのは、読者が知っていることや想像できる範囲を超えているということだ。そして、自分の考えと一致するところを見つけては共感し、その部分が強く印象に残る。その証拠に、同じ書物を読んでも若いときと中年期では感じることが大きく異なることがある。
○p.70 「漫画を通して、道徳や友情や努力して生きることなどたくさんのことを学べるからです」(小学4年)
○p.79 昨今、帰属意識が薄くなるのは大学生に限ったことではない。(以下略)
最近の人間関係は、一期一会を中心構成されるようになったと何かで読んだ。
○p81友だちは百人もいらない
年齢とともに孤独に強くなり、孤独を愛するようになり、一人の時間を楽しむようになった。一人でいる時間が寂しいどころか嬉しくてたまらない。
○p82タイムマシンに乗れた私
時間だけは平等だと聞いたことがある。世の中には莫大な富や名声を得る人がいるが、そんなやり手の彼ら彼女らでさえも、どう工夫しても、どんなに努力しても、どれだけお金を払っても時間だけは増やせない。
○p.84あなたは何度人生をやり直したところで大差ありません
後悔とは自惚れである
この文章を見たとき、一瞬息が止まった。もう開き直るしか道は残されていないと思った。
無理やりにでも前だけを向いて生きるしかない。過去には戻れないが、そのことに普段は気づかない。過去を振り返って反省することで、今後を良い方向へ持っていければいいが、私は少しも改善できないので、振り返る分だけ時間と精神の浪費になる。(中略)「底なし沼」に引っ張られないよう、嬉しかったことを思い出したり、自分なりに精一杯頑張ったからこそ今日があるのだと言い聞かせて、自らを励ますようにしようと思う。(中略)予想が大きくはずれる可能性もあるが、未来のことは分からないから、楽しく安全な未来をイメージした方が現在の自分の心が和む。
○p.91人生とは「まとめて楽しむ」という類のものではない」つまり、「いつやるか? 今でしょ!」と、林修先生の言う通りであり、「今」の連続が人生である」
○p.101 昨今、差別的表現を排除しようとする傾向はどんどん強まっているが、何を差別だと感じるかは人それぞれだ。
○p.105 何が差別語なのか、不快語なのかは、人によって捉え方が違う。だから自分なりの配慮をしていくしかない。古来からの和語が消えていくのは気になるが、言葉は時代によって変わっていくものだし、人を傷つけるくらいなら言葉が消えた方がました。
○p.107 時間と泥棒が増えた
○p.111調べたいテーマがあるときは、ネットで検索するより本を読む方がいい。何人もの手によって内容が整理され、何度も推敲されて、文章が練られているし、詳細に記載してあることが多いから、結局は手っ取り早い。
○p.114 のんびり過ごすにもコツがいる
老人には「キョウヨウとキョウイクが必要」 「今日、用がある」と「今日、行くところがある」
○p.121 じっくり考えることができるから、自分の本心を探ることができるし、適切な言葉を選べる。
○p.124 人に相談するのは金輪際やめようと心に誓った。自分で右か左か決められないときは、じっとしているのが正解なのだ。つまり、自らの心がはっきり決まるまでは動かないのがいちばんだ。
○p.127
世界は二つの領域に分かれると彼(ロルフ・ドベリ氏)は言う。一つは「自分がコントロールできる領域」で、もう一つは「自分にはコントロールできない領域」だと。後者について心配したところで、何の役にも立たないしバカげていると。
そして、世の中の物事の大部分は後者に属している。だから私たちは、自分にできる小さな領域の中で努力して生きましょう。
○p.130
人生の勝ち組とはこんな人 彼(ロルフ・ドベリ氏)が言うには、常に楽しい気分でいる人間が勝ち組なのだと言う。気分よくいるためには、劣等感を抱いてしまう境遇に身を置かないこと
○p.134 多忙な人は人を傷つけている
「生活環境の違いで話が合わないことはとても多い。
例えば、裕福か金欠か、既婚か未婚か、子どもがいるかいないか、老親の介護をしているかどうかなど、色々ある。
だが、それ以上に、多忙か暇かでも生活環境を共有出来ない。
○p140
固定観念とは、こうも人々の心の中に深く沁み込んでいる。
「今まで私も、既婚か未婚か子どもありかなしかなどの属性をどこでもいつでも遠慮無く尋ねられ、私のことをよく知りもしないうちから、それらの属性でどういう人間かを決めつけられてきた」
○p.145 挑戦か安定化
人にアドバイスをするのは空恐ろしいことだと思う。(中略)
そのうえ、この世の中には、アドバイスを乞うてもいないのに、助言したがる人が多いときている。.
○p.160 老いをきっかけに人生を大転換させる
○p.186 エッセイ文化とプライバシー
日本で売れるエッセイ 前提条件で有名人とわかりやす不幸
顔も本名もわからない匿名性を保ったままなのに、多くの人々から共感を集め、支持されている。数奇な運命でもなし、淡々と私生活を綴ってるだけだ。だが、平凡だからこそ身近に感じられるのだし、匿名だからこそ書ける赤裸々な想いが、共感だけでなく希望や勇気を与えてくれる。
○p.188
だが、自分が行きやすくなるためには、過去のつらい記憶を書き換えることが必要な場合もある。子ども時代の思い出は自分���作った記憶にすぎないという味方もあるし、思い違いだったり、知らない間に修正していたりする。
今生きている現在の自分が最も大切だし、少しでも楽に息が吸える状況にしたい。過去に対するこだわりや執着を胸の奥の方にしまい込んで、明日からは割り切って生きているのがいいと思う。
他人のプライベートを知りたいと思うのは、下品で次元が低いことなのだろうか。そこを知ってこそ共感し、そして「我がふり直せ」と考えてタメになると思うのだが。
○p.191 作品そのもので勝負しないでいいんだろうか。背景を説明しなければ理解できない俳句なんて価値があるんだろうか。
○p.疲れ果て、子供たちを理不尽に叱った日々
心にも体力にも余裕のあるお母さん
○p.225 人生を振り返ってみたとき、みんなそれぞれに後悔がある。
だが、時間的余裕があり、子育て期にしっかりと子どもと向き合った人は、男女ともに人生そのものに後悔が少ないと何かで読んだ。
○p.227一度母になったら死ぬまで母でアル。
母親になれば「自分の人生の主役は自分である」という当たり前のことを剥奪される。
この世の中に、「母親」という役割ほど大変でつらいものはない。母親というのは、どこまでも忍耐強く寛容であり、子どものためには喜んで自己を犠牲にし、いつでも笑顔で迎え入れるなどといったイメージがある。それらは社会が作り上げた理想像に過ぎないのに、そうでなければ母親失格という烙印を押される。
母なる大地、母なる海などという言葉が示す通り、母とは包容力そのものであり、神聖なイメージがつきまとう。
母たるもの、こうでなければならないという理想を押しつけられ、子供に何かあれば、そのすべての責任を負わされる。毒母、鬼母という言葉はあるが、毒父、鬼父という言葉はあまり聞かない。こういった風潮の中、全てを放り出してどこか遠くへ行ってしまいたいと思ったことのない母親なんているのだろうか。
そして、一度母になったら死ぬまで母である。
たとえ自分の夫が真のフェミニストで優しい人間だとしても、女は一歩外に出ると百人の敵が待ち構えている。つくづくそう思い知らされる日々だった。(中略)
世間は私を「母親」としてだけ見る。それぞれの個性や能力や将来性などは存在しない。世間が作り上げた「母親」という理想像に押し込まれるのが苦しくてつらかった。
○p.245 楽しい思い出を掘り起こして楽になろう
自分の親に対して「あんなこと言われた」「言ってくれなかった」「どこにも遊びにつれていってくれなかった」「買ってもらえなかった」「助けてくれなかった」「大切に飼っていた猫を勝手に捨てられた」などと昔を思い出しては悲しい気持ちになったり憤ったりする人は多いだろう。
○p.248 だが、ある年齢を過ぎたあたりから、親を赦す瞬間がふっと訪れる。
特段のきっかけがあったわけでもなく、ある日突然、親も未熟な一人の人間にすぎなかったことに気づく。すると、それまで親に対して抱いていた思い、―親なんだから子供を大切にするのは当然だ、愛情を注いで当然だ、自分を犠牲にして子供を救うのは当然だ、子供が望むことをしてくれて当然だーが間違っていたことに思い至る。
(中略)
人��親になったところで、相変わらず人間関係でストレスを溜め、仕事で悩み、おカネで悩み、日々迷走する。人の親になったからといって、いきなり悟りが開けるわけでもない。
○p.254 親も自分も赦そう
子供を愛せない瞬間があるとすれば、親自身が心身を病みそうなほど、経済的または体力的または精神的な崖っぷちに立っているときだと思う。
こうやってひとつひとつ思い出していくことで親を赦し、親に対する自分の心ない言葉や行動をも私は自分で赦すことにした。そして、自分が親になってから子供に対するひどい言葉や行いも、赦されていいのではないかと考えるようになった。
親は誰しもその時々で『精いっぱい』だったのだ。
○p.256エッセイという怪物は小説とは似て非なるもので、性格や能力にもよると思うが、すくなくとも私にとっては小説の何倍も大変な精神労働だった。
○p.258 暇ができると、よせばいいのについつい自分の心の奥をのぞき込んでみたりする。過去を振り返ることで後悔に打ちひしがれ、悩んだところで取り返しがつくわけでもないのに、いつまでもくよくよする。(中略)若い頃より傷つきやすくなっているから手に負えない。歳を取るごとに傷ついた経験が積み重なって行き、相手の表情や言葉から本心を読み取ろうとするのが習い性となった。すると自分の発言が相手を傷つけていないか不安になる。だから人と話した後は疲労が滲む。(中略)
どうやら私の人生というのは壮大な暇つぶしであって、暇をつぶせないと困ったことになるらしい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
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垣谷作品は愛読書の作家さんの1人
初のエッセイという事で楽しみにしてました。
同じような年代なので共感する部分が多々ありました…
子育ては後悔ばかりで思い出したら落ち込むばかり…でも残りの人生楽しまないでどうする❗️って気持ちになりました。