紙の本
西洋史に疎い私には最上の教科書
2023/07/01 22:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「少女」とはもちろんジャンヌダルクのこと、彼女はどうやってオルレアンを解放したのか、普通の農家の娘が英雄になり、そして魔女として処刑されたのか、西洋史に疎い私には最上の教科書だった
投稿元:
レビューを見る
地位もコネクションもなく、
政治とも上流階級とも無関係な
17歳の小柄な農民の娘が、
なぜ最前線で兵を率い、
オルレアンを開放することができたのでしょう?
13歳のころ神の声を聴いて、
その5年後に戦場に赴いて勝利をおさめ、
19歳になったころ母国に見捨てられて、
イギリスで異端審問にかけられた末、
異端者として火炙りに。
ジャンヌが歴史の表舞台で活躍したのはわずか2年。
その波乱にとんだ2年の間に、
彼女はフランスを救い、
ヨーロッパの歴史を動かしたのです。
きっと彼女はある種の天才だったに違いありません。
人を惹きつける才能があり、
機知に富み、
身体能力も優れていたのでしょう。
そして当時の文化や民衆意識にも、
ぴったりあてはまったようです。
百年戦争の終結後には復権裁判が開かれ、
1456年には無罪を宣告され、
1920年になってローマ教皇により列聖され、
聖人のひとりとなりました。
結局は政治や宗教上の権力争いの犠牲になり、
短かくはありましたが、
実にドラマチックな生涯でした。
残酷な最期でしたが、
常に神とともにあると信じていた彼女は、
炎に包まれながらも幸せだったと思いたいです。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
投稿元:
レビューを見る
現代でも有名人が
ある発言や行動で
急にバッシングの対象に
なる事がある
ある人達には
尊敬の対象ではあっても
ある人達からは
うとましい存在であったり
またある人達からは
利用価値があるから
支持しているだけであったり
また社会の潮流であったものが
そうでなくなったかと思えば
また違う角度から
アイコン的存在になったり...
色々思考をあたえてくれる一冊
投稿元:
レビューを見る
中学生のころ、デュマの『ダルタニャン物語』にどハマりして、そこからフランス史に興味を抱いた。ジャンヌ・ダルクの奇跡を知ったのは、その頃だった。それから、専門書、一般書、漫画に小説、映画…多様なジャンルでジャンヌの物語に触れてきた。多くの人が私と同じような経験をしていることと思う。
本書はフィクションで描かれたジャンヌに飽き足りなくなって、ジャンヌの実像に迫りたいという方にとっては格好の一冊である。図版も多く、巻頭カラーの静謐なジャンヌ立像は想像をかき立てる。10代の少女がなぜ、と思わずにいられない。
一方で、ここからさらに深めたいという方にとっては、巻末の引用・参考文献が少なく、物足りないかもしれない。
それにしても、このシリーズ、なかなかおもしろそう。
投稿元:
レビューを見る
・ジャンヌを研究する歴史家が今でも多いのは、今日の社会が彼女に対する一種の帰依心を抱いているからでしょう。なぜこんなに魅力を感じるのでしょうか。
それは、救国の乙女というようなことではなく、民衆の一人、田舎娘が決然と行動しそのその場で即座に、奇跡のように歴史を動かし転換させて、驚くべき人間の可能性を開示してくれるから、ではないでしょうか。