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『とびこえよ、その囲いを』新水社(2006)の文庫化 https://calil.jp/book/4883850935
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名著。
確立されたリベラルをさらにリベラルに。
学生の人生に関与する教育。
模索がありのままに書かれていることに驚きと尊敬の念を禁じ得ない。
フェミニズムと階級の問題を抉っている。
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#評価の背景
黒人、労働者階級の女性がスタンフォード大学で開講されたばかりの女性学の講座を担当した経験からの著作。
本書がアメリカで刊行されたのは1994年、30年前のこと。時を超え、そして国も違う私に問いかけてくるものは多い。
#本から受け取ったメッセージ
私は、自称フェミニストで、性差別や人権に対しては敏感な方ではあるけれども、私の中にも偏見があり、行動に影響を与えている。
人をひとくくりにして何かが語られるときは常に批判的に問いかけなくてはならない、もちろん自分自身にも。
ジェンダーの本は沢山読んだけれども、ベル・フックスさんの本は初めてだった。
教育論なので、途中で関心と集中力がキレて斜め読みになったけれど、「自分が正しいと思っていること」はあくまで私が見えている景色からのことで、狭いんだと自覚させられた。
#心に残った文章(抜粋)
P20 刺激的な学びを創造するためには(略)わたしたちがお互いに関心を持ち合うこと、相手の声に耳を傾け合うこと、他社の存在を認め合うことと、深く関わり合っている。
P79 古い思考や認識の方法を捨てて、ものごとへの新しいアプローチを学ぶとき、そこには大なり小なり、痛みが伴う。
P81 多文化主義の立場に身をおくと、教育に携わる者は、知識がこれまでどんなに狭い枠組みのなかで教えられたり学ばれたりしてきたかを、いやでも自覚せざるをえなくなる。
P100 黒人女性は性差別も人種差別も「どちらも〈込み〉で引き受けちゃった」人たちなのだ。
P203 学者が黒人の経験について語っている場合、たいていそれは、実のところ黒人男性の経験だけを取り上げた話なのだった。(略)「女たち」が語られるときは、白人女性の経験が普遍化されてて、それが全女性の経験を代表するものとなる、(略)
#Action
関与の教育へコミットし続け、そしてその責任を引き受けた彼女はすばらしい教育者だったのだろうと思う。
私は「学びと経験は裏切らない」という言葉を信じて、女性に学びの場を提供する仕事に関わっている。私も彼女の姿勢を見習いたい。