Educational Abuse
2023/07/18 21:07
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供を様々な力・暴力により管理支配することが虐待である。教育という美名のもとに、親が子供を支配することを教育虐待と名付け、様々な考察を行っている。親は子供を養育する義務があり、それは子供が大人へと成長する場を提供し、心を安らぐ場所を提供する。義務教育という言葉は、養育者が子供に教育を受けさせる義務であり、子供が教育を受ける義務ではないといわれている。国の政治が、社会の動きを見極めず、教育政策をくるくると変えるがために、親は翻弄され、子供たちに自分たちの正義を押し付け、権力を乱用するのだろう。
「教育」への妄信を破りたい
2023/12/28 18:43
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投稿者:あお - この投稿者のレビュー一覧を見る
教育虐待サバイバーの立場から本書を読んだ。
自分が被虐待児であったという自覚は成人してから徐々に芽生えたように思うが、≪教育虐待≫という言葉を知ったのは、社会人になってしばらくしてから不安障害を発症し、心療内科に通い始めた時だった。
その後、医学部9浪母親殺害事件を取り扱った『母という呪縛 娘という牢獄』(齊藤彩著、講談社)を読み、「これはうちのことを書いているのか」と思うほど状況が酷似している部分が多く、読後しばらく放心していた。
実のところ、自分は虐待を受けていたという事実にどういう感情を持っているのか、あるいは持てばいいのか、よく分かっていない。
本書では憎悪、復讐心を持つ被害者が多いようだが、自分は成人以降に虐待行為が徐々になくなっていったことに安堵したことの方が大きい。それでも、身体的及び心理的に痛めつけられている時、人ではない何かを目の前にしているような恐怖心、理不尽にこちらの自尊心を脅かされていることへのショックは覚えている。
本書を手に取った理由として、一つは加害者の心理というものをもう少し深く知りたいと思ったから。もう一つは、おそらくは自分と同じような人の経験談などを通して、過去の(あるいは現在に至るまで)自分の身に起こっていたことに、何らかの意味づけをしたいと思ったからなのかもしれない。
本書を読んで分かったのは、第一に教育虐待の加害者は皆どこか切迫性が感じられるということだ。個人的要因、環境要因などが複雑に絡み合った結果、強い視野狭窄に陥っているという。
そして、どこまでも利己的。本当にその通りで、まさに自分の親がそうだ。結果として加害者、被害者とも、それぞれに歪んだ認知を持つことになるのだろう。
教育虐待が精神疾患などの二次障害を引き起こすか否かは、被虐待児のレジリエンス(受け流す力)や環境(身近に一人でも大人の理解者がいるか)といった緩衝要因の有無によって変わるという。
また、被虐待児の脳が変化することで言語に関する能力の低下が見られ、そこから強いこだわりや感情コントロールの困難さ、コミュニケーション能力の低下といった発達障害に似た状態が出現し得ること、逆に、発達障害の特性が(加害者、被害者どちらにあっても)教育虐待のトリガーとなり得ることは興味深い。
教育虐待が生まれた背景には日本の高度経済成長期から学歴が重視されるようになったことに始まり、バブル崩壊後の経済不況、少子化による大学全入時代(定員割れを起こしている大学が増えているという意味で、誰もが大学へ行くのが当たり前という意味ではないのが重要)への突入、また広がる格差から全体的に社会不安が強くなっていることがあげられるという。しかし時代がどれだけ変わろうが、その時々で何かと理由をつけられては「それでも学歴は重要」という、半ば強迫観念のような価値観だけが社会全体に残されているように見える。
脳科学的には、人は不安に駆られると「闘争か逃走」モードに入るという。
先行きの見えない社会の中で、親は子を立派に育てないといけないという意識が強くなってきていて、その気持ち自体は必ずしも嘘ではないのかもしれない。しかし実際には親自身が不安で仕方がないのだ。その大きくなっていく不安を、「子どものため」という大義名分を振りかざし、子どもを使って解消しようとしているに過ぎない。これも一種の「闘争」モードなのではないかと思った。
だからと言って、人を傷つけても良いことにはならない。
何のために勉強は必要なのか。
大人も、そして子どもも、一度立ち止まって考えてみても良いと思う。
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文献や個人で取材したことをまとめているだけで、学術的な分析とは言い難い内容。
著者肩書は学者ではなく、作家なのでその辺は納得しているのですが、1章、2章は本当に読み辛い…
一方、5章、6章はよくまとまっていて読みやすいのでここだけ何回か読もうと思います。
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あらゆる親が読むべき一冊と思いました。身体的虐待、心理的虐待、ネグレクトのいずれにも当てはまる可能性がある教育虐待は、こどもの権利を無視する親の許されない行為です。こども基本法が令和5年4月から施行され、こどもの権利が最上位である事が法律で示されて、今後の親や学校の教育及び指導内容の見直しが期待されています。教育虐待を受けている子どもたちに、手を差し伸べられる社会へ近づくことを願っておりますが、本書がその役割を担ってくれる事を期待してます。
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教育虐待というテーマだが、渾身の徹底ルポという感じではなく他の調査をしているときに聞いた話や教育虐待として有名な事件の別の記事を読んであといくつかインタビューをしてさらっとまとめたという印象を受けた。もっと事例を掘り下げた話などを期待していたのでそこは残念。発達障害との関係や虐待の連鎖なども触れられているが、こちらもはっきりした因果関係は述べられておらず、関連があるのではないか、という著者の推測でとどまっている。
いろいろな側面から教育虐待という問題に光をあてようとしているのはわかるが、話が表面的で全体に薄いと思った。(物理的にも薄いが)
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自覚なく虐待している。
子供のためと言いながら、本当は親自身のために。
子供が適応すれば一見問題ないように見えるので、発見と支援は難しいのかもしれない。
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石井氏の取材力に脱帽。
親の歪んだ教育観によって子供の人生が狂わされる事実は、親の資質のみに起因しているのではない。
もっと社会的感心が向けられる必要のある問題であると感じた。
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解決策はないが、実態を把握するためには良い
日本にまだない虐待形態だとのこと。この言葉が広がれば良いなとおもう。
書かれている内容は、この本を手に取る人なら見聞きしたことあると思われるが、思考する契機にはなると思う。例示が多く実態例を把握できる
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「教育虐待 子供を壊す「教育熱心」な親たち』
著者 石井光太
ハヤカワ新書
この本はノンフィクションライターである石井光太さんが、虐待の中では比較的見つけにくい教育虐待に関してその実態、歴史、受けた子供の影響、そしてどのように回復していくのかに関して書いている。
教育虐待というのは国が明確に定義しているわけではないので、現状統計のようなものはなく、明確な数は算出できないが、本書では現場の職員の方からの肌感覚で主に3つのパターンがあるとされる。
1つ目は「勉強しろ」とか「なんでできないんだ」と怒って殴る、蹴ると言った暴力をふるパターン
2つ目は親が「学校へ行くな」と言って子供から教育の権利を取り上げるパターン。
3つ目が成績が悪いことを理由に親が子供のことを過度に精神的に追い詰めるパターン
私が面白いと感じたのは教育虐待を受けた子供の脳の変化を解説している所である。以下引用
「子供はいろんな体験を積み重ねながら脳を発達させていくのだが、幼い頃に親から暴言を浴びせかけられると、脳の聴覚野に悪影響が現れることがある。友田の研究によれば、言葉の暴力を受けて育った子供は聴覚野の一部(上側頭回灰白質)が、平均して14,1%肥大化していることが明らかになっている。
(中略)
聴覚野の一部が肥大化すると、脳の中の情報伝達がスムーズにいかなくなってしまう可能性があります。物事を適切に考えたり、理解したり、話したりする家庭で余分な負担がかかって、うまくいかなくなる」
これと関連して、脳の他の組織も傷がつき、社会生活に悪影響が出てくるそうだ。
精神科医の杉山さんはこのような虐待によって発症するものを第4の発達障害と呼んでいる。
教育虐待は今だに国がちゃんとした対策をとっていないないらしいので、なかなか未解明な部分も多いが、この1冊で概要がわかるので、是非とも将来、人の親になる人は手に取るべき。
本の最後らへんにこのように書いてある
「はっきりといえるのは、親に信頼されて自由にさせてもらった人たちは、自分の子供時代を肯定的に捉えるということです。彼らは口をそろえて『親は自分を信頼して好きにやらせてくれた。感謝している』と言います。これは社会的に成功した人も、そうでない人も同じです。」
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子どもへの学習強制。その手段としての虐待。多数の事例でこれでもかと突き付ける。教育熱心と教育虐待は紙一重。子供の自主性を尊重すべし。ただ、放任主義がよいというわけでもない。行き過ぎた競争は好ましくはないが、受験を機に能力を伸ばす子もいる。体罰はよくないが、危険を冒そうとしている将にその時は力づくでも止めねばならぬ。子育ては常にケースバイケース。その時、その子に見合った対応の正解は難しい。「そうだそうだのアクセル」「ちょっと待てよのブレーキ」交互に踏みながら読む。考えるきっかけを与えてくれたことには感謝。
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我が子をナイフで刺殺した事件は衝撃だった。
子どもの成功は親の成功、という狂った価値観や、そもそも成功というのが学歴の入手だとする歪んだ認識は、世の中の風潮やラベリングがもたらしていることも知っておかなくちゃいけない。
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なんとなく書店で見つけて買いました。
日本の教育に隠された虐待の実情を実例ともに筆者の意見として述べられていた。
過度な受験戦争の中で勝てた者はそれから先の人生もうまくいくが負けた者の未来はあまり明るくない。
そんなことを思わされた。
少しでも教育虐待という言葉が広まり親の言いなりになって病んでしまう人が減ることを願いたい。
まだ、教育を受ける立場でこの本を読んだので教育するということはわからないがいつかその立場にたった時にこの本のことを思い出したいと思う。
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医者の子どもが医者になれたら幸せだけど、その影にはこういう不幸な子もいるんだなぁと思った。
信頼できる大人が近くにいることは再生産を食い止めるためにとても大事なこと。
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★★★★
今月1冊目
非常に勉強になった。しかしうちと全く違う親ばかりでたまげた。こうまでして子供に勉強勉強言うやついるんだ。
こう言ってはなんだが我が家は慶應の学長がうちに入って下さいと言われてもいや、遠いし結構ですと言うレベルくらい学歴ブランドに興味がない。
教育の押し付けでなく家庭を安心の空間にすることか。まあ、自発的にってのはホント理想だが、なかなかムズイよね。
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めちゃくちゃ良い本です。子供を育てるならば、必読本だと思います。そうでなくても読むべきです。多分今後何度も読み返してしまうと思います。
教育虐待によって殺される子供の心や、それに対応するためにいかに子供が自分自身を曲げてしまうのか。自分が同じことをされていたらと思うとゾッとする。
子供が自分の意思で決めてないことを強要しても、伸びるわけがありません。自分で考え、自分の意思で決めたことを全うした時に、初めて自信が生まれ、誇りを持ち、自立していきます。子供を育てるならどうするべきか、考えさせられる本でした。