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サービスレベル目標の概要や組織への導入などについて書かれていて、SLO, SLI がどういった考え方のものなのかが分かる。
概念的な説明が大半を占めている。実装や運用の例であったり、詳しい計算式などは実用に足るほどは書かれていない。文章量の割には得られる情報は多くなく、詳しくは他の書籍をあたるのがいいと思われる。
本書は17章3部構成になっている。
第Ⅰ部 SLOの開発
第Ⅱ部 SLOの実装
第Ⅲ部 SLOの文化
それぞれの部のタイトルは似ているが、内容もはっきりした区別がない。本書のはじめにには「すべての章を読むことを心からおすすめします」と書かれている。これは各章の内容と目的が明確に分かれていないことに起因して、本書の主張の全体を把握するためには全体を読む必要があるような構成になっているからだろう。
SLO についての計算観点の説明は 9章 SLIとSLOの確率と統計 のみである。ベイズ推定や分布についての説明があり、付録にも計算式の証明が書かれているものの、9 章の最後にもあるように詳しく学ぶためには他の書籍を参照する必要がある。
SLO を組織へどのように導入するかという説明については、必要な技術力を矮小化し、気持ちの問題に帰着させている箇所があり、これには同意できない。
> 読むことができ、数を数えることができ、単純な計画を作成して守ることができれば、誰にでもできることなのです。
本書で概要をつかんだ後に他の書籍で実践的な知識をつけるのがいいのだろうと思うが、本書は分量が多くテーマが分散しているので人を選ぶだろう。