自作の焼き直しと言われても、やはり面白い
2023/12/20 14:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ことし映画化された「ベネチアの亡霊」の原作/原案ということで新版が出た。
映画とは、舞台も違い、別ものであるが、解説で若竹さんが書いているように、アガサ・クリスティファンなら、どこか既視感がある作品であるように思う。
それでもポワロ、オリヴァーをはじめ、お決まりのキャラクターや、アガサらしさが随所に散りばめられていて、謎解きミステリーとしても、シンプルに面白い。
投稿元:
レビューを見る
8/26-9/3
映画監督兼俳優のケネス・ブラナーによるブラナー版ポアロ映画の第3弾『ベネチアの亡霊』(9/15公開予定)がこの本から着想を得ていると聞き、早速読むことに。実際には映画の原作とまではいかずあくまで「着想を得ている」レベルらしいので、本は本・映画は映画で楽しめるパターンのようだ。
本の内容自体は、若竹七海さんが後書で書いている通り、ある意味「自作の焼き直し」にとどまっており、あっと驚く仕掛けやストーリーの飛躍は正直なかったように思う。それでも、なぜ少女は殺されたのか。パーティーに参加した様々な人物。そしてそれぞれが目にしたもの。病で命を落とした大富豪の女主とその庭師。その村で過去に起きたいくつかの事件と未だ行方のわからない容疑者。などなど読み進めるうちに色々な伏線が集められていき、最後の最後に、そうしたパズルのピース一つ一つがピタッとハマるあの感覚。読了後の爽やかさはさすがはアガサクリスティーといった感じだった。アガサクリスティの作品は、読んだことを後悔する感じがないのが本当に救い。大当たりでなくても、ハズレはしない、そんな感じ。だから毎度毎度読み終わりには、読んでよかったな〜と思わずにはいられないのだ。
それに「ハロウィーン」の独特な世界観はやはり特別だ。かぼちゃや魔女の箒、リンゴやキャンドルなどなど、パーティの様子を想像するだけで心がワクワクする作品だった。
投稿元:
レビューを見る
面白かった。
もともと「作家って本好きな割に図書館とか僻地に作るし、図書館で殺人事件とか起こすよね」と話していたところ知り合いに薦められた本。
これがそもそも殺人事件の前に、大きなバケツにリンゴを浮かべて手を使わずに取る、アップルボビングというゲームをやるのである。いや図書室でやったら本棚が水でビッチャビチャになるわ!
と思っていたら、このビチャビチャが最後まで関わってくるのだから分からない。
またポアロ視点で、外国人差別を逆手に取って捜査するのもびっくりした。
ただ、新規の読者には解説が気になった。本作は新作映画第三弾の原作だそうだが、それにしては地味な作品、過去作でも使われたモチーフ、といわれても困る。
映画は原案的に使われ、全く違う内容になるそうなので、映画ファンもこの際新訳を楽しんではいかがだろうか。
投稿元:
レビューを見る
映画『名探偵ポワロ:ベネチアの亡霊』の予習として読んだ本作。
ポワロの物語にしては(と言ってもそんなにたくさん読んでいるわけではないのだが)、連続殺人事件が起こるわけでもなく(と言いながら犠牲者が3人になっているのだが)地味な作品だったように思う。
丁寧に読み込んでいくと、確かに犯人へと繋がるヒントは散りばめられていたようだが、今一つ腹オチはしない。
大体、犯行に至る犯人の心情は身勝手なものと相場は決まっているのだが、本作の犯人はまさにその典型と言って良いだろう。
その矛先が子どもに向けられたところが何とも後味が悪い・・・
投稿元:
レビューを見る
クリスティのミステリって大抵、キーとなるトリックや引っ掛けがあって、それ以外は大して重要ではないことが多い。
今作で言えば、それは殺人を目撃したのはジョイスでなくミランダであった点だろう。こういう引っ掛けは面白いし好きなんだけど、事件の真相がやや薄く感じてしまう。あと共感できない動機、混乱しやすい過去の複数の事件… すらすら読めるものの、少し流してしまった。ごめんなさい。
読んでいて楽しいが、満足できる作品とまではいかなかった。ハロウィンに読もうと思って買ったのでハロウィン感もう少し欲しかったというただの欲張り( ∵ )
投稿元:
レビューを見る
トリックなどの斬新さは無く、動機なども読みやすく、ミステリ初心者にはおすすめできる。
ハロウィンというイベント感が最大のウリであり、それ以外は地味な印象を受ける。
子供が被害に遭うというのも後味が悪い。
投稿元:
レビューを見る
現在公開中の映画『名探偵ポワロ ヴェネチアの幽霊』の原作ということで読みました。
読了後に映画も観ましたが、一致するのは名前ぐらいで、ほぼ別のストーリーが展開されていました。
ケネス・ブラナー監督・主演によるこのポアロシリーズは今作で3作目で、前2作は『オリエント急行殺人事件』『ナイルに死す』を映像化したものです。前2作の原作に比べると、今作は映画の原作として知るまで、その存在を知らずにいたし、どうしても地味な印象が残ります。
それでも傑作と称されることの多い前2作品に比べると、その映像化には求めるところも大きくなるので、その意味で、今作の場合は、作品からのインスピレーションを得たにしろ、自由に展開された映画の方は、個人的に前2作よりも好きだと感じました。
先ほども述べたとおり、原作とは全く別な映画となっているので、しかもかなりホラーよりに作られていることもあって、ミステリー好きの方にとっては好き嫌いのわかれる映画となっているかと思われます。
原作の方は、安定したポアロのミステリーになっていると言えばいいのか、目新しさに欠けたと言えばいいのか微妙な作品でしたが、少なくとも読書スランプに陥っていた僕に、再び本を読もうと思わせてくれるほどには面白かったと申しておきます。
投稿元:
レビューを見る
映画化ということで読んでみた。
めちゃイギリスっぽい話だけど、これがどうヴェネツィアの降霊会の話になるのか?楽しみ♪
最後の手術の相談、というのが結局何だったのかよく分からない。
投稿元:
レビューを見る
パーティーに集まった30人程の各人に事件当時の話をポワロが聞いて回ると言う構成がかなり厳しい。寝不足の時など素晴らしい睡眠薬になるだろう。とまれ、何十年も本棚の肥やしになってたのに、読むキッカケを与えてくれた映画化に感謝。
投稿元:
レビューを見る
パーティー中に少女が殺された。
参加していた作家のオリヴァーがポアロへ事件解決の依頼をするが。
ポワロは物的証拠より関係者と話をし、推理を進めていきます。
過去の事件も絡んでいるのか?
なぜ少女は殺されたのか?
クリスティー女史の王道的なストーリーかな。
投稿元:
レビューを見る
エルキューレ・ポアロが主人公の推理小説。ハロウィンパーティで子供が殺されるが、実は数年前に起こった事件に関連しているのではないかという疑惑から、謎解きが始まる物語。今度公開される映画の原作ということで読み始めたのだが、内容は非常に地味。映画の前作は「ナイルに死す」であり、こちらは実際にエジプトを旅しているような風情があったし、物語の中でも刻々と事件が進行していたが、このハロウィンパーティの方がそれと比べると、ほとんどすべては聞き取り調査などであり、物語の展開は地味。他にもいろいろと作品はあっただろうに、なぜこれを映画化しようとしたのかは不思議。ただアガサクリスティの作品ということで、なんとなく読んでおきたい本ではあった。
投稿元:
レビューを見る
★は3.5というところ。いやはや、クリスティー作品にはこんなテイストもあるのか!とまたもや驚かされてしまいました。
これは10月に読もう、と前から決めていてやっと手に取ったのだけど、会話が多いせいかスラスラ読めてしまい、気付けば1日で読破。そして休日の終わりに「はぁ今作も面白かった」と満足感いっぱいなわけです。当初はドレイク夫人と富豪の老婦人との関係がつかめなくて混乱しましたが、家系図が整理できてからはスッキリ。甥夫婦は別の舘に住んでいたということですね。
さて今作では子供が犠牲になってしまうということで、これまでにない緊張感と胸の痛みを感じました。もともと子供好きではない私からしても、さすがにこれは……。
重要な舞台である〈石切り場庭園〉のイメージが難しかったので、これはスーシェ版ポワロに期待したいところ。ナルキッソスのごとく美しい男をどなたが演じるのかも見ものです。
読む方にとっては後味の悪い内容かもしれませんが、個人的にはこれはこれで好き、な作品でした。なにより、『エッジウェア卿の死』もそうですが、自分の信念(と呼んでいいのか)に迷いのない犯人は、読者としてはたいへん印象的ですよね〜。
投稿元:
レビューを見る
何気におそらく初クリスティ。
10月だ!ハロウィンって書いてるの読も!と買ったんだけど。読みやすすぎて1日で読んだ。
途中で犯人わかった!と思ったけど半分しかわかってなかったし全体の読み甘すぎた…と最後の怒涛のネタ明かしパートで眼白黒させた。
ミステリー全然読まないマンなので、これが…ミステリー…という気持ちで読み終えた。
解説に書かれてたけどきっとクリスティ好きな人からしたら既視感もあって微妙なのかなとも思うけど。自分は新鮮に読めてよかった。
他のも気が向いたら読む。
投稿元:
レビューを見る
今年公開された映画『名探偵ポワロ ベネチアの亡霊』の原作というが、全っ然違う!映画を観た後で読んだが、小説の方が断然面白かった。映画はもちろんベネチアで、ハロウィンの不気味さのようなものを強調して作られていて、小説ではイギリス国内で、美しい庭園が出てきたりして、ハロウィンは事件が起こったのがその日だったにすぎない。被害者となった少女が、殺人現場を見たことがあると話していたことから、そのせいで殺されたのかもしれない。それが本当のことなのか、本当だとしたら、いつ誰が誰を?過去のことも同時に解明していく王道ミステリー。
投稿元:
レビューを見る
少し前に映画を観て、原作はどんな感じだろうと思い拝見。内容が違いすぎて呆然としました…。ですが、別物と思って読むと、複数の事件と人が重なったとても面白い作品でした。特に子供に対する自分の印象は少々変わったかもしれません。
また、映画のポアロとは違い、悲壮な感じが無く、登場人物もミステリアスでクールな人が多く、時々コミカルなので実に読みやすかったです。
自分はミステリ小説をあまり読んだ事が無いのですが、子供が犠牲になる、という所と、子供と言えども虚言や脅迫など中々アクの強い子達が登場してきて強烈でした。まさに「教育とは聖なる領域」。教える事、学び続ける事で人格が形成されていくのかと改めて思います。ただ、今となってはこの話をポアロとしているのが、犯人という所がなかなかパンチの効いた皮肉に思います。マクベス夫人についてとても興味が出てきました。
子供は親に全てを話すとは限らない。その通りかもと思うのですが、大人は親には話すと思い込んでしまう事が多いと思いました。何が起きているのか、恐怖が感じ取れない。とても難しい事ですが、注意して見たり話したりしないといけないなと思います。
また、犯人や被害者の発言がミスリードである事。
特に被害者を周囲の人達が非難する為、読み手としては同情してしまい、嘘が本当だったと信じてあげたくなるという。本当に巧妙な罠でした。
そして、犯人では無いのに疑ってしまった登場人物達に何となく申し訳ない気持ちになるという。
自分は探偵には向いていなと学びました。
それにしても、残酷な結末です。親が友達を殺して、更には自分も殺されそうになって、そして勝手に自殺されたという。せめて他人であって欲しかったです。とりあえず洗脳が解けると思いたいです。
今回原作オリヴァーに会えて良かったです。映画では心が腐っているのかな?と思わせる人物でしたので、変わった人ではあるけど、ポアロの友人で心の底からホッとしました。
他、この本の中で未だ気になる事と言えば、オリガの居場所を当てた魔女は本当に魔女なのではないだろうかという所です。ハロウィンらしい演出でした。