紙の本
川上ワールド
2023/10/30 09:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えんぴつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「三度目の恋」は、昔の章 昔昔の章 今の章と続く。
まず、高丘さんと出会う。高丘さん・・・おや、高岳親王が出てくるの?渋沢龍彦かい?・・・とインスピレーションががはたらいた。案の定だった。
吉原遊女あり、薬子あり、在原業平あり・・・川上ワールド全開である。
川上弘美は、楽しんでいる。伊勢物語の世界に、己を重ねて。なんだか得体のしれないナーちゃんを一方の軸として自在に揺れる。
ゆらりゆらりと三度目の恋を求める今の章。その後に来るのは未来の章ですか。
待ちましょう、続編を。
これはひとつのお伽噺です。
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感想
愛はいつでも尊いのか。相手を尊び自らを削る。自分たちだけの物語。そんな甘い幻想は溶けて無くなる。誰もが経験し遺伝子をついでいく。
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稀代のモテ男・生矢と結婚した梨子は、夢のなかで吉原の遊女や平安の女房に生まれ変わり……。『伊勢物語』をモチーフに紡ぐ、千年の恋の物語。〈解説〉千早 茜
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一途な恋、嫉妬、愛する形、うつりゆく気持ち、消えない想い…。
伊勢物語をモチーフに現代、江戸、平安を渡り歩く中で描かれる女性の心を、自分は正確に理解できるわけではない。
ただ、どんな事よりも強く心をとらえて離さない恋なのに、脆さ、儚さをとても感じる。
だからこそ人を想う自身の気持ちを大切にしたい。
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いちずに?ほんに、まことにか?へ、くそ、かずら、ばいのりちい、えいわがらくさあい?だらだらしやくねつわおん、ていおんやけどにごちゆういを、なんにつけ、やけだけしおんちやんどくさい、へりくだう、くだらけた、くらい、くおにはーにちいどくさい?へくだまだまだしだらく、ないがらなきなきのばいおん?
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これはハードカバーで借りて読んだけど、文庫版になったのでいそいそと買ってきた。河出書房の池澤夏樹=個人編集・日本文学全集で「伊勢物語」の新訳を手がけた経験もあってのこの小説だったのだろうか。
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莉子がナーちゃん好きすぎて、
ナーちゃんの女関係に最後はショックを受け…
でも、魔法で本気の恋愛や憧れ?を経て、
莉子の考え?意識?が成長するいい作品。
伊勢物語アレンジがわかりやすく、
スラスラ読めた。
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感情は自らの中から生まれ出てくるものなのに、
とらえどころがなく、扱いづらいものです。
人間ってそんなものに振りまわされて
生きているのですね。
感情って実は、
自分のものじゃなくて
本能なのかもって気がします。
本作は伊勢物語をモチーフに書かれたものです。
専業主婦である主人公の女性は、
現生と夢で見る時代を同時に生きています。
夢の中で主人公は
江戸時代の吉原遊郭の花魁であったり、
平安時代の姫に仕える女房であったりしますが、
毎夜のように見る夢の中の暮らしがとてもリアルで、
それぞれの時代にどっぷり浸かって生きながら、
同時に現代女性の意識で考えたりもします。
もちろん眠りから覚めれば、
いまの時代を生きるごく普通の女性です。
時代によって価値観や道徳観、
倫理観は随分変わるものですが、
この作品ではそれらを
現代の視点で肯定したり、
否定したりすることをしていません。
主人公が生きた江戸や平安の時代の風俗風習、
その時ともに生きた人たちの姿を通して、
人間の営みの本質が描かれています。
読み終えるのが惜しくなるような本に
ときおり出会うことがありますが、
本書がまさにそれで、
一気に読み進めるのではなく、
できるだけ間をあけて、
ゆっくり読ませていただきました。
歴史や古文の授業が
いまひとつ面白くなかった理由が
わかったような気がします。
歴史の授業では
それぞれの時代に起こった出来事、
古文の授業では
古典文法や古文解釈を教わるばかりで、
その時代に生きた人たちに
スポットがあたっていませんでした。
歴史は人によって築かれるものなのに。
その時代を生きた人物を深堀すれば、
歴史や古文も
もっと興味を持って学べたかもしれません。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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読む手を止められない。
でも、噛み締めて読みたい…!
年間100冊以上読む私が「一気読みするのは勿体ない…!」と躊躇するのは初めての体験でした。
と、同時にこれはどんな答えを見出せばいいのか…今でも少し戸惑います。
すっごくカロリーが高い作品であることは間違いないです。
本来「愛しい」という気持ち、「愛」というものは、もしかしたら心苦しいものなのかもしれない。
幸せを運ばないのかもしれない。
けれども、人は「愛」を心に抱くことを辞められず、傷つき、悲しみながら生きていく。
「愛の形」は時代によって変わるけれども、「愛しい」「愛する」という気持ちの本質は変わらず、悲しいものなのかもしれないと思うようになりました。
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伊勢物語を理解していれば、
もっと楽しめただろうと思いつつ。
最近の長編は特に、
後半部のぎゅいんと動く、
まさに動く描写のスピンがすごくて、
どうやってこれを生み出すのだろうかと、
川上弘美の内界を考えてしまう。
表紙が大好きなjunaidaであるのも素敵。