紙の本
生き変わり死に変わり
2023/12/08 11:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
輪廻転生をしているのか、環と周という二人の深い縁の連作短編集。
明治時代編
正反対な結婚をした二人
父親ほどの厳めしい男と結婚した周は不幸かと思ったら…
夫の懐の深さに読者も救われた気持ち。
婿を取りお店を継いだ環
「死にました」という夫の冷え冷えとしたまなざしに人間の冷たさが凝縮している気がしてゾッとした。
娘を亡くした母親の嘆きが痛々しい。
この時代の周の役目は夫と共にいること、そして環のことを忘れないことなのだと思う。
戦後編 一番好きなエピソード
闇市の雑多な雰囲気、その中で必死に生きる人々。
コーヒーの香りに心を暖める時間。
お気に入りは人相の悪いヤクザのおじさん
そういうおじさんが環の貝殻節に泣きコーヒーに幸せを覚える。
人間の多面性を目の当たりにした気分に。
位牌でいいから娘に会いたいという周。
親の深い愛情を見た…
昭和中期編
ごく短い間に心を通わせた近所のおばさんと幼子。
命数が残り少ないゆえの純粋な気持ちに切なくなってしまった。
江戸時代
縁の始まりはここなのだろうか。
周の美貌が悪かったのか、添うべき二人が添えなかったのが悪いのか。
愛する女にまともに向き合えなかった夫の歪みはどこか哀れ。
二人が手を取り合えなかったのが辛い。
現代編
思春期の心の揺れ 心の奥に沈めた思い。
親として娘に寄り添う二人。
こうやって生涯を共にする二人。
これで着地するのか、また繰り返していくのかはわからない。
ここまで深い繋がりがあるならまた出会うかもしれない。
きっとそれでいいのだろう。
電子書籍
あのころ
2023/11/30 10:24
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やさし - この投稿者のレビュー一覧を見る
たまたま本屋で新刊! とどっさり積まれているのを見たので、試し読みできて嬉しかったです。全体がどういう構成なのかはわかりませんが、娘が難しい年ごろになって、自分の初恋とかその頃のことを思い出す父、のお話で、空回りや眩しいような気持ち、愛があってじんわり沁みる感じでした。どうしようもないしデリケートなころだよなあっていう。
紙の本
心の機微を描くのが上手です
2024/01/05 18:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みー - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろんな時代の環と周の、時には夫婦であったり、友情であったり、叶わぬ恋であったり、ご近所さんであったりと、それぞれの関係性から生まれるドラマが描かれています。よしなが先生は本当に心の機微を描くのが上手で、例えば子供の虐待に気づくシーンがあるのですが、一コマのハッとした顔がとても印象に残ったり、うまいなぁと思います。
どの話も「環」「周」というタイトルの通り、巡りめぐってまた会おうというのが真ん中にあると思うのですが、なんだか切なさを感じました。
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よしなが先生の作品にハズレなし!
と今回も言い切れる!
長編も短編も、どんな時代背景のものでも、
特殊な設定じゃなくても
心に刺さるんだもの。
作品読むたびに、こんな素晴らしい作品を生み出す方が漫画家でよかった、と思う。
絵柄も好みで、お話も素敵って、実はそう多くはないし、どの話も面白いって更に少ないもの。
本当に稀有な作家さんだと思う。
新連載って…楽しみすぎますぅ。
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面白いに決まってるじゃん。女学生の環と周の話が1番印象的だった。多くは語られなかった環の状況を考えると、切ない。
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どのストーリーもどうしようもなく切なくなって、ほぼ毎回最後は涙を浮かべてしまっていました。
でも、エピローグで本当に救われる思いになりました。
2つの名前が織りなす繫がりに、切なさの中にもなんとも形容しがたい人がもつ力みたいなものを感じました。
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「大奥」「何食べ」シーズン2放送中の秋に「何食べ」最新刊とセットで刊行されたよしながふみ最新作は連作短編。環と周の二人がさまざまな時代のさまざまな関係に転生してはであう物語。巻を措く能わず、読了即再読不可避。初出:「ココハナ」 2023年1月号、3月号、5月号、7月号、9月号、エピローグは描きおろし。
第1話(現代編)
第2話(明治時代編)
第3話(70年代編)
第4話(戦後編)
最終話(江戸時代編)
エピローグ
一話ずつの展開と余韻それぞれに味わい深く(戦後編がいちばん好みかなあ…)、そして一冊通して読んでの余韻もまたいいものだった。
風のうわさにタイトルを聞いたときは小川環樹と西周か、とあれこれ想像してたけどもちろんちがった。
刊行に合わせた著者インタビュー(読了後推奨、読み応えあり)
https://yoi.shueisha.co.jp/culture/read/5842/
来年からは芸能界を舞台にした新連載予定ということで、よしながさんこそどうかおすこやかに。
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よしなが先生の新作!
どの環と周も良かった!男と女も、友達も、上司と部下も、ご近所さんも、ぜんぶ愛だった。
集英社オンラインに掲載されてる最新インタビューもすごく良かったので、併せて読むのがおすすめ!
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劇的でロマンティック
やたらドラマチック
運命の人
どんなときでも
環さんが周さんを見つけて
やるせなさが漂うけど
現代編で
添い遂げることで
おわるのかな
戦後編で
でてきた根津さんが
人情味あってよかった
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5つの時代、それぞれで輪廻転生を果たす、環と周二人の物語。
環と周は、その時々によって、男と女だったり男同士だったり女同士だったり女と男だったり。
幾度生まれ変わっても邂逅を果たす2つの魂が感動を呼ぶ連作短編集。
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星5つでは足りないぐらいの読み応えとさまざまな感情、感動が味わえる。喜び、哀しさ、好意。
第一話の最後から2ページ目と最終ページへの繋がり、流れ、余韻。
第二話は生きている間ももちろん人生と呼ぶけれど、亡くなった後でも人生は続いているのだなと
思わせてくれる。
第三話はあるアパートの住人たちのかけがえのない日々。日々は続くがその毎日の愛しさ、哀しさ。
そして人が人を想う時の温かさ。
第四話は元上官の人となりが巻き起こす、人々とのあたたかく、可笑しな人間ドラマ。コーヒー一杯がどれだけ人の心をなぐさめるか、というところも共感する。
第五話は第一話から第四話とは違う痛切な哀しさを読後感に感じた。
雑誌掲載時はこれで終わったのだろうか?
読者はどう味わったのだろうか。
エピローグがあり、ホッとした。
そしてまた確認のため第一話から第五話まで読み返した。
やっぱりよしながふみさんはすごい。
「この人と同じ時代に生まれて良かった」と目にするが、本当にこの人と同じ時代に生きている喜び、幸せを感じる。
『愛すべき娘たち』と同じく、大切な一冊になる。
来年からの新連載も楽しみ。
どんな話を、絵を紡いでくれるのだろうか。
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読み始めは、『環』と『周』という名前の人たちが様々な時代に、夫婦や友人、先輩後輩などなど、立場を変えて出てくる短編集かと思った。
が、最終章の最後の最後の一言で全てが覆される。
今まで読んでいた『環』と『周』の物語の意味を知らされる。
また、エピローグが良いし、1話の最後の台詞も感慨深い。
繰り返し読みたい。
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よしながふみさんの本は久しぶりに買った
よしながさんらしいフックが仕掛けられ、
案の定、読みながら揺さぶられる
運命のひと、という、もはや
安売りに出された言葉ではくくれない関係
どの時代においてもめぐりあうふたり
恋愛だけでは語れないもの
いま、わたしのまわりにいる愛おしいひとたちは
そのむかし再会を約束して(しなくとも)
今世にきたひとたちなのか?だといい
そして命を終えた少し先の未来でまた
巡り会えることもあるのかもしれない
最期の日=新しい旅のはじまり
そう捉えたくなるような物語が綴られていた
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素晴らしかった。
大奥、きのう何食べた? などの作品も大変好きだが、そろそろよしなが氏のこういう作品を読みたいと思っていたので、本当に嬉しい。
年末に堪能させていただいた。
こういう作品、がうまく伝わるといいんだけど。
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江戸時代、明治時代、昭和、平成と時代を超えて描かれる「環と周」の物語。
夫婦だったり、女友達だったり、ご近所さんだったり、上官と兵隊だったり、時代と形は違えど、互いに大切な存在である二人の関係。
どの話も哀しくて切なくて優しさに溢れている。「環と周」の因縁が明らかになる最後の江戸時代編では、全ての物語が一つに繋がっていく。
愛する人が亡くなっても残る思い、未来永劫繋がっていく縁の物語は心に温かなものを残してくれました。