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火星の重力下を作り出し、火星のクレーターを再現する実験を成功させた定時制高校科学部。
正直、実験の描写には私の脳はついていけなかったが、何やら凄い思いつきと行動性で、主人公らが実験を進めていっていることは明らかだ。
定時制高校に通う生徒たちはそれぞれ悩みを抱えているし、年齢もバラバラゆえ、世代間で衝突が起きたりもする。互いに歩み寄ろうとしない姿に悲しくなるも、実際の社会もこんな感じだよなと思う。肉体労働者を蔑む人たち、高齢者贔屓だ、若者贔屓だと苦々しく言う人たち。まさに同じ。
しかし、そんな中、定時制高校科学部はスタートし、やがてまとまっていくのだ。
機械製作の技術を持った学生(高齢者)がいて、計算能力が高いディスレクシアの学生がいて、SF大好きで発想力豊かな学生もいて、皆の潤滑剤の様な役割を果たしている学生(40歳主婦)もいる。
いまいち心が読めない教師の藤竹については、クールな印象の反面、熱意を秘めていたことが最後に分かる。子どもの可能性を詰まないことが、大人の役割として大事なことなのだろう。
何か壁にぶち当たったときに、分からないとか不可能と思ってしまうことは、もったいないことなのかもしれない。
自分の可能性を自ら駄目にする人間にはなりたくない。
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自分が理系の出自だったからか、生徒たちの真摯な科学に対する学びの姿勢と探究心、そしてバックグラウンドの違う仲間たちと手を取り合って目標へと進む姿に思わず涙が溢れてしまいました。
物語は定時制高校のお話で、1人の教師が定時制高校に「科学部」を作るお話。定時制高校の生徒たちは年齢も、境遇も学問に対する考え方もバラバラ。そんな生徒たちの知的好奇心を刺激し、定時制高校の生徒たちで、火星を作る「実験」を行うというもの。
なんと言いますか、学校の授業やテストの成績だけでは見ることの出来ない人間の根源的な知への渇望ってすごいなぁと。物事の本質を知ること、知ったことを試して深く理解すること、こういう本質的な学びを教えてくれるような作品だったように感じます。
何よりすごいのが、実際にあったお話に感銘を受けた作者が、それを題材に本作を書いたということですね。定時制とか全日制とか、境遇に関係なく、人は誰しも自身の知的好奇心に従い学ぶことが出来る強さを持っているというメッセージ性が感じられる素敵な作品でした。
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大好きな著者の新作。学びを取り巻く現代の社会問題も盛り込まれているように感じます。それぞれが置かれた環境や抱えている悩みを、誰かの力で直接的に解決することは難しい。けれど、宇宙の神秘で困難ごと包み込み、決して誰も見捨てない。こうした科学者らしい温もりが、私は大好きです。今作も素敵でした。
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実話をもとにした作品のようで、とてもわかりやすく書かれていることが推察できるが、私の理解力の乏しさを実感。
識字障害を「文字がつかまらない」というのはしっくりきた。
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叶えたい夢は?今まで諦めた事は?なりたい自分は?
読み終えた後に自分に問いかけてみると、
やっぱり挑戦したい!!叶えたい!!と強く思える一冊。2024年は新しい事に挑戦する一年にしたかったので、背中を押してくれるのはこれだ!と思いチョイス。
定時制高校の性格も年齢も見た目も全然違う個性豊かな4人の生徒と藤竹先生。みんな何かを抱えながら、高校でもう一度学びたいと思っていた。そして4人で科学部として火星を教室につくる...!?
その時は諦めたことや選択しなかったことでも、生きている限り挑戦することができる。
人生にはたくさんの選択があり、どれを選んでも正解はない。自分で考え、行動し、新たな選択を重ねていくのが人生。藤竹先生の言葉に背中を押された。
一生懸命頑張る事って、とっても疲れるけれどとっても楽しい事。挑戦はいつからでも遅くないよね!!
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学校で学べることがいかに恵まれているかを痛切に感じる。そしてその気にさせることの可能性を大いに信じたい。とにかく何かを始めようという気持ちになる素晴らしい作品。
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私自身通っていた学校が定時制のある学校で、物がなくなったり、墨汁を荷物にかけられていたり、事件があったためいい印象を持っていなかったが、この本を読むことでイメージが変わった。
学習障害や、言語の壁、対人関係での心の傷など様々な問題を抱えているのは全日制も定時制も変わらない。本書にある通り、今はSNSの発展に伴い、他人と自分の境目が曖昧になり、「なんでわたしばっかり」と悲嘆的に自分を見てしまうケースは多いだろう。
「自動的にはわからない」作中で教師が生徒に投げかける言葉だ。
ノートをきれいに取ることに一生懸命だが、その知識を実践的に使うことができない生徒は多い。話はちゃんと聞いているのに、私には無理だ。とあきらめるのは早いだろう。個人差はあるだろうが、知識は自分で使って初めて理解だ。これを生徒に理解してもらうのは難しい。
教室といういくらでも失敗できる場所で、学習面でも人間関係でも、たくさん躓いてそのたびに立ち上がるこで「自動的にはわからない」社会での生き方を学ぶことができるのだろう。
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最近ハマっている伊予原さん作品。
今回も科学の不思議が上手く日常と混ざりあってそこから救われたり感動が生まれる素敵なお話。
定時制高校に通う色々な事情を抱えた人達が、新しく赴任してきた藤竹と言う何を考えているか分からない教師が設立した科学部に勧誘され、メンバーが1人ずつ増えていく。メンバーが増えた科学部は最終的に科学コンテストの発表を目指すのだけど、その道のりや最後の藤竹先生の告白等など…
ラストはちょっぴり泣いてしまった。
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Amazonの紹介より
東京・新宿にある都立高校の定時制。
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。
負のスパイラルから抜け出せない21歳の岳人。
子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。
起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。
中学を出てすぐ東京で集団就職した70代の長嶺。
「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、学会で発表することを目標に、「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。
『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、
今年一番熱い青春科学小説!
定時制高校と聴いて思い出すのが、山田洋次監督作品の「学校」です。先生と生徒の掛け合いや幅広い世代ながらも、みんな同志のように泣いたり笑ったりととても感動した作品が印象的でした。
この作品では、特に「科学」を重視し、年齢がバラバラでも、一つの目標にみんなで頑張っていく姿が、青春だなと思わせてくれました。
全7章で、章ごとに一人の生徒に焦点を当てていき、それぞれが抱える苦悩、そしてちょっとした驚きの真相が描かれています。生徒だけでなく、先生の過去も触れられていて、「科学部」全員の背景が明らかになります。
定時制高校ということで、それぞれ様々な事情を抱えている人達が出席しています。生徒や先生を通して、改めて学びの大切さや有難みを感じさせてくれました。
学びたい気持ち、賛同する仲間、時には衝突することも。読んでいて「あー青春だな」とほっこりした気持ちになりました。生徒の頑張りも凄かったですが、みんなをまとめる先生の力量も素晴らしかったです。
やっぱり先生の存在も影響するんだなと思いました。後々明らかになる先生の過去。先生も完璧な存在ではなく、色んな経験を経て、成長していきます。
人それぞれ、得意不得意があります。先生を含めて、いかにして、一つのことを作りあげていくのか。何かのヒントになるような出来事も描かれていて、良かったです。
他にも「科学部」ということと作者が理系を専攻していたということもあり、科学的な知識が豊富に散りばめられています。なかなか文字だけだと頭に入りづらい点はあったのですが、「へぇー」と思わせるような知識がたくさんあって勉強になりました。
ただの「科学部」ではなく、総力を結集して新たなステージへ成長していきます。最終章では、まさかここまでいくとは驚きでしたが、チームとして頑張った結果にジーンとくるものがありました。
伊与原さんの作品は、主に夜が舞台で、幻想的な雰囲気が印象的でしたが、この作品は同じ夜でも、現実的といいましょうか、リアルな空気感が流れていました。
それも青春を感じさせる爽快感が加わって、「熱さ」を感じさせてくれた作品でした。
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「火星の夕焼けは、青いんですよ」
こんなにも希望が持てる結末って、最高です。就寝前に読み終えて、しばらく余韻にひたって眠れなかった。レイリー散乱とミー散乱なんてよく分からなかったけど、「火星の夕焼けは青い」なんて言われたら気になっちゃうでしょ。最高のつかみだった。そこから一気に持っていかれた。各章のタイトルが絶妙。第三章のオポチュニティの轍と第六章の恐竜少年の仮説が好き。読み終えて、「なるほど!」とニヤニヤしたり、唸ったり。火星探査車オポチュニティの話も、ランパート・クレーターなど様々な形のクレーターがある話も全部、興味深かった。思わず検索してしまった。
舞台は東京の新宿にある都立高校の定時制。
両耳に10個ピアスがついてる金髪。教室の最前列に陣取る74歳になる通称「長老」。小太りでよく喋る東南アジア系の通称「ママ」。ずっと保健室で過ごす少女。他にも、事情や問題がある生徒ばかり。
どうしようもない現実は確かにある。でも、「この学校には、何だってある」と言い切り、4月から赴任してきた新しい担任の藤竹が数人の生徒と共に「科学部」を立ち上げる。
年齢も性別も国籍も境遇も考え方も違う、凸凹の部員たち、それぞれの思いで「火星のクレーター」の実験にのめり込んでいく。周りの人間をどんどん巻き込みながら、そして、実験室に火星を作り上げることに成功する。
ここからネタばれあり
「俺に限らず、親を殴るなんて、そう簡単にできるもんじゃないと思うぜ。そんなことをしたらたぶん、相手だけじゃなく、自分まで壊れちまう。自分を守るためにも、代わりに物をぶっ壊すんだよ」
壊してる本人はここまで気づいてないのにね。
「なんでわざわざ定時制を選ぶんですかね」
「単純に、来てえからじゃね?学校に」
なんだかんだ言って、学校に希望を持って通っているんだと。
普段、飄々としている藤竹の秘めていた熱い思いに胸が熱くなった。その思いを部員たちにぶつける前に長嶺に言われた「彼をこれ以上その気にさせて、期待を持たせて、本当にいいのかね?」には、相当の葛藤があったと思う。長嶺の言い分も痛いほど分かる。
佳純が藤竹をかばった「そんなの実験じゃない」と言う言葉にぐっときた。
あと、真耶が怖かった。
あの対処の仕方で良かったのか?
絶対、仕返しに来ると思う。怖い。
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感想
知識を諦めない。教育はその姿勢に応えることができるのか。人間の欲求は学校の枠組みからはみ出し躍る。それはやがて遥か遠くの星に触れる。
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それぞれ秘めた事情があって、たまたま同じ定時制高校に通う生徒たちが主人公の物語。
皆どこか負い目を感じて生きてきたが、科学コンテストでの発表を目指す実験に参加することで、自分の役割を見つけ一歩も二歩も成長する。
物語が進むごとに柳田岳人、越川アンジェラ、名取佳純、長嶺省造、丹羽要、と実験参加者が増えるのだが、皆感情移入がし易いキャラだった。
私が通った高校にも定時制があったが、妻も息子も定時制がある高校だった。
とは言え、定時制に通う生徒と接触する機会はなく、「昼間は働いているんだ。たいへんだな。」と思うだけで特に気にしたことはない。
昔から定時制と並んで、通信制もあったが実態は知らない。
今はインターネットが発達しオンラインで授業動画が観れたりするので、自分が高校生の時とは随分変わっているのだろうと思う。
この物語のように他の生徒と一緒に実験したり、スポーツをするなら定時制ですね。
読んでいて、自分も実験に参加したくなりました。
学生時代の"実験→結果考察→実験装置改良→実験"に明け暮れていた日々のことも思い出しました。
私の場合、結局「この方法だと満足な成果は得られない。」というダメな例を幾つか示すことになっただけでしたが、、、
ダメな理由を考えて、どうしたら問題を解決できるかアイデアをひねり出し、何度も試してみるのが楽しかった。
伊与原新さんの小説は、科学の知識が得られるだけでなく科学の楽しさが感じられるのがいい。
これで4作品目になるが、この作品が一番良かったかな。
最後は熱いものが込み上げてきました。
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読み終わるのが惜しくなるような本だった。
出会った人と向き合うこと、一歩踏み出すこと、目標に向かうこと、日常の中で忘れかけていることがたくさんあることに気づいた。
科学部のみんなが眩しくて、羨ましくなる物語。
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ディスクレシアの岳人を中心に、恒例の工場経営者、ハーフの母、保健室登校の女の子、顧問の藤竹。皆それぞれの事情がありながらも、火星クレーターの再現の実験の学会発表を目指す。
登場人物の過去を織り交ぜながら実験の過程を面白く読めます。
3日ぐらい前に高1の子供と『小学生の時に行った科学館の実験って面白いけれど、高校の物理の実験って何やってるかわからんし、結果も、へ、だから?って感じやんね』と、ちょうど話していたところでした。なので、全日制の要が岳人たちの実験に冷笑する気持ちがすごくわかります。物理って大切な学問のわりには難しくて地味ですよね。
宇宙のこと自体は好きな人は多いわりに、専門的に勉強したくても物理や数学が好きでなければその道には進めない残念な分野です。だからと言ってあきらめるのではなく、この本の登場人物たちのように、誰であっても無心になって、それぞれの得意なことをやって、一つのことを成し遂げるって、とてもステキなことだと思いました。
時々でてくるSFの名著の名前は、知ってる~と嬉しくなります。
学ぶことの大切さを再認識しました。藤竹先生の言葉にも元気になれました。
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良かった!学校の良さや夢が溢れている!定時制の高校のことってあまり知られていないけれど興味が湧いたし、科学部も面白そうだと思った。岳人は途中からディスレクシアなんだろうな、と予想がついたし自傷の生徒との関わりとかリアルでついつい読み進めていった。あと、なんとなく池井戸さんの下町ロケットを思い出した。