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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
肩身の狭い武家の次男坊・誠二郎。裏隠密に剣の腕を買われ、託されたのは刺客の少女のお供。過酷な任務とは不釣り合いな、のほほんとした二人の、信念と人情の仇討ち道中物語。
不器用なほど誠実な誠二郎に、寝食以外の感情を置いてきた少女が懐き、二人の関係性が少しずつ固まっていく過程がしっとりと心に沁みた。
「悪は悪、善は善」と簡単に線引きして片付けるのではなく、それぞれの思惑がしっかりと描かれていて、とても深みがあって面白かった。「命」を賭すほどの信念が、人を何処へでも誘ってしまうという事に、複雑な感情も揺り起こされた。
道中の和やかさと、目まぐるしい真剣勝負の緊張感との緩急がまた心地よかった。
「梅干しにも優しい」誠二郎も、その優しさに気付く事が出来る清らかな美津も、二人とも眩しかった。
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まだ世間にあまり知られていない作家さんを積極的に読んで新たなお気に入りを発掘する『発掘王への道』
#7の今回は天羽恵さんの『もゆる椿』です
今作は第6回大藪春彦新人賞受賞した天羽恵さんのデビュー作になりってさも自分で見つけてきたみたいに話進めてますけど、ほんとはみんみんの本棚に登録されたのを見て「聞いたことない作家さんだけど、今野敏さんが帯書いてるし先読んだれ」と思って手にしました
横取りです、横取り発掘です
しかし、時には非情にならざるを得ないのです
王を目指すからには当たり前のことです
王って孤独
はい、天羽恵(あまうめぐみ)さんです
一九五八年生まれ。兵庫県出身
『日盛りの蟬』で第6回大藪春彦新人賞を受賞
ちなみに受賞作『日盛りの蝉』のほうは各電子書籍ストアにて無料で配信中とのことです
以下、ご本人のコメント
〜臆病者で怖がりの誠二郎と、怖いもの知らずで勇ましい美津。真逆な二人が、反目し合うのではなく、互いを補い合いながら苦難を乗り越えていきます。そんな二人の危なっかしい道中を、応援しつつ楽しんでいただければ幸いです。〜
うん、面白かった
お美津と誠二郎のキャラが良かった
とくにまさに名は体を現すのとことん誠実な誠二郎が良い
腹の決まった男はかっこええのよ!
そしてあんまり余計なことをせずに二人を中心に据えたまま最後まで走りきったのに好感がもてました
デビュー作で欲張らない
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物語の内容は複雑でもなく、難しくもないものでしたが、穏やかな気持ちになれる内容でした。結末も良かったと思えるもので、他の作品も読みたいと思いました。
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第6回大藪春彦新人賞を受賞した1958年生れの天羽さんの初めての本かしら。いや、面白いやん。お美津と誠二郎、すごく楽しく読めたし、弟の文ちゃんもいいんだよね。最後がいい終わり方。次の作品も読んでみたい
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殺し屋として育てられた美少女お美津は隠し目付の密命で京に向かう。旅のお守り役は旗本の次男坊で部屋住みの誠二郎。このコンビの掛け合いが楽しくてなかなかいい。お美津の背負っている闇の歴史と無念の思いを知るほど感情移入してしまいます。果たして彼女は本懐を遂げることができるのか?二人の仲はどうなるのか?作者の筆運びが上手すぎてページをくる手が止まりません。一気読みでした。痛快エンタメ時代劇です。
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テーマから覚悟していたよりはかなり残酷的な描写は少なく読了後も爽やかな気持ちになれる作品でした。そう思わせるような著者の表現は素晴らしく、お美津の元気な言動は通勤中の荒んだ心を癒やしてくれていました。
著者の次の作品も期待して待ちたいと思います!