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単純に警察ミステリーかなと思い手をつけたのだが。物語が進むにつれ段々とこの作品の正体に気がついていき。圧倒的な読み易さとスピード感で結末迄進んでしまう。
シリアスとユーモアのバランスもよく(個人的にはもっと重くても良かったが)世界観が魅力的だ。
この設定においてどの様に物語を結ぶのかは疑問だったが、最後はきちんと大団円を迎えた様だ。
主人公を明確にしていない事も魅力の一つで、刑事である武脇が男性を殺害してしまったと通報してきた中西雪美の取調べに駆り出されるところから話は進行していくが、武脇が来る前の強面の捜査官では引き出せなかった供述を武脇が徐々に引き出していく訳だが、中西は供述の中で女性の声が聞こえると話始め、武脇を混乱させる。
一方でとある未解決事件と被害者の友人であった寺田真由の視点から話が語られ、彼女が雑誌記者になり親友の未解決事件を取材する様子も描かれていく。刑事武脇の視点、記者である真由の視点を中心に雪美の視点も混ざりながら物語は進んでいく。
そして、とある部分からこの作品の印象は一変してしまう。巻末背表紙に二つの事件を繋げる「他界した一人の女性」の意味を理解した事で世界が更に開かれて、全く違った作品になってしまった。
それぞれ登場人物達も毒があったり、チャーミングだったり。土堂さんについては衝撃的な事実を後半で明かされたり。とても癖のある人物が多い。それぞれの関わり方も面白く、ちょっとした伏線みたいなものが随所に散りばめられている。読者として「言葉」「言霊」についての概念は魅力的な設定だし、とある人物が同じ様な捉え方をしている事にユーモアを感じてしまった。(何故彼が笑)
終章でその後の話が語られるのだが、とある登場人物の結末については疑問が残る結果だ。物語の登場人物達にはハッピーエンドにしろバッドエンドにしろそれぞれ相応しい結末があると思うのだが、とある人物の結末には余り納得が出来なかった。もう少し謎解き要素が有れば更に深い物語になっていただろうと思った。ユーモアの使い方で少し重厚感が削がれてしまった。
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最初は普通のミステリーかなと思いきや、中盤でストーリーをガラッと変えられた。
180°まではいかなくても、120°は回されて、「おいおい、こんな話なんかよ」と引き込まれていく。
色々な人の目線で解説されてる感じで非常に読みやすかったし、読み応えもあった。
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えっと、タイトルは聞こえてないけれど、ゴリゴリ聞こえているのだね。
残念ながらこっちは必死に祈っても聞こえないのね。
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過去と現在が繋がる瞬間にワクワクした。そして、想定外のストーリーが待ち受けていてどうオチがつくのかと思ったが、納得の終わり方でよかった。
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警視庁本部所属の竹脇元は、上司からイレギュラーながら高井戸署での取り調べを命じられる。
被疑者は、傷害致死容疑の週刊誌編集者中西雪実。彼女は、「声が、聞こえるんです」と、供述を始める。
一方で、モノローグ的な「私」視点で綴られるのは、過去の話の様。
「私」とは誰なのか、現代の事件とどのように関連するのか、戸惑いながら読み続けることになる。
やがて、ある頁でそれが明らかになり、思わずそれまでの頁を読み返すことになった。
著者の巧みな仕掛けとミスリードに唸らざるを得ない。
一般的な警察小説に「言霊」を組み合わせ、特異なミステリーとなっている。
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ジェットコースターのような小説でした。
あぁ青春だなぁとホワホワした気持ちで読んでいるうちに、カタカタと高いところに持っていかれ、次の1行でガタンと落とされる。
そんな風に、スピード感があるということではなく、ゆっくりゆっくり、噛み締めるように物語を楽しませてくれていたかと思うと、急降下で一気に物語に引き込まれる、それを何度も味わえました。
そういった実験的な構造を持ちながらも物語はしっかりと誉田哲也さんクオリティ。
物語としても読書体験としてもおすすめです。