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紙の本
『戦艦大和ノ最期』と対をなす、凄惨な戦闘現場を描いた一書
2024/02/17 22:55
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
書店でたまたま見つけ、『戦艦大和ノ最期』を読んだ評者としては、読み比べてみようと思い、昨日購入して本日読了。一気読みというか、怒涛の二日読みでした。
「直撃弾を受けたというならまだしも、水線下にくった魚雷一本の振動ぐらいで、あっけなく故障するような方位盤を、どうしていままでそのままにしておいたのか。」(142頁)
「自分の着たいものを自由に着られるっていうのが本当の世の中よ」(151頁)
「武蔵はもともとトン数の大きさだけが目的で造られたではなかった。これは大和の場合もそうだが、まだ外国にもその例のない口径四十六サンチ(十八インチ)の主砲九門を搭載するために、ただそれだけの目的のために、その大きさ(満載排水量七万二千八百トン)を必要としたのである。つまり日本の海軍が欲しかったのは、大きな艦ではなく、どこまでも大きな大砲だった。」(204頁)
「いまは死もおれにとってひとつの安らぎだった。おれは死ぬことによって、一刻も早くこの地獄の戦慄を脱したいと思った。」(223頁)
『戦艦大和ノ最期』は美文で、内容的にいかにも将校が書くべき作品であるのに対し、本書は文章は荒削りだが現場の厳しさ・悲惨さが伝わる一冊。両方合わせて一書であると思うこと大。
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