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知識として、でも流石に原書は読めないのでこちらを。
平安時代の人ってちょっとしたことで泣くし、酷いと恋煩いで死んでしまう。
こちらも景色を見ては泣き、人とお別れしては泣く。
ちょっと違和感があったのは、日記と言いながらも夫や子供たちとのことがほとんど出なかったこと。
源氏物語に憧れていながら、「結婚させられた」とあってもそれには全く触れず、しばらくしてから「子供たち」と出てきたから、あぁやっぱり結婚したのかと納得。
あとがきや解説を読むとストンと落ちた。
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物語を愛し、光源氏に憧れる夢見がちな少女時代から、夫に先立たれた晩年までを記した日記文学。古典は「教養」というイメージが強いためすこし抵抗があったが、本作は非常に読みやすく、江國さんの訳者としての手腕を感じた。少女から大人になるにつれ、夢から醒めるように「物語は所詮絵空事なのだ」と悟る瞬間がなんとも切なかった。
乳母と姉、夫を先に亡くし、一時は遠方の地に出向く父を見送った作者。『更級日記』は、別れの哀しみを詠む歌が多かったように思う。「歌」というのは日常の一場面や想いを切り取った写真のようなものかと思っていたが、この作品を読み、心が大きく揺さぶられた一瞬の「感情」なのだと知った。
江國さんの現代語訳のおかげで、平安時代の人々を少し身近に感じることができた。お気に入りの一冊。
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物語へ憧れて、ぼんやりと生きてしまったと現実の辛さを知る。
でも物語を捨てきれぬまま仏の夢などを見て、お詣りにハマる。
「物語なんて意味ない!でも好き」と揺れるなかで日記を連ねて自分の物語への想いを形に残そうとした様に思えた。
記すことの取捨選択の視点が不思議で素敵でした。
物語が好きで夢中になるのにも共感したのですが
ぼんやり生きてきてしまった。
仕事では若くもないので可愛がられるわけでもなく、ベテランの様に重宝されるわけでもなく都合よく過ごしている。
と嘆くあたり、何だか自分も思い当たります…
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物語への憧憬を軸に人生を書いている…と解説にはあったけど、一読者としては旦那さんやお子さんとのやりとりももっと読みたかったな~
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1300年前の平安時代に書かれた本。光源氏ってどれくらいイケメンなんだろうとか
光源氏みたいな人に山奥に囲われてときどき文とかもらうような暮らしにあこがれるとか。そういうとこに共感と驚き。
江国香織の解説も良い。なにかにつけ涙を流す、夜中まで遊ぶ、パワースポット巡りに精を出す、そんな面白い人たちの話、とのこと。
源氏物語も読むことにした。
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あとがきにも書かれている通り、自分の人生の一代記(作者13歳(数え年)の寛仁4年(1020年)から、52歳頃の康平2年(1059年)までの約40年間が綴られているそう)を書こうとするときのエピソードの取捨選択などが現代の私たちとは違って、面白いなと思った。
とは言え、約1000年前の人が書いたものなのに共感ができる部分も多くて、根本的に人の考えることは昔も今も変わらないのだなと思ったり。
時ならず降る雪かとぞながめまし 花たちばなの香らざりせば (33頁)ー和歌はたった31文字の中に本当に豊かな情感が込められていて、いつも感心してしまう。と同時に、1000年前に生きた人達と時空を超えて繋がるような感覚も持てて、好き。この歌は当時の作者の純粋さが眩しく、愛らしくて、とても気に入った歌。
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高校古典で序盤の一節を学んだ影響で、作者は源氏物語がめちゃくちゃ好きなひと、という印象ばかりだった。しかし実際に読んでみたら、物語に耽っていたことをなんだか悔いているようだったので驚いた。
だが、やはり物語はお好きなようである。訳者あとがきで指摘されていた「旅行中に伝え聞いたお話に文章を多く割いていて、どれほど物語が好きなんだと思った」という指摘は成程で、物語好きな江國さんらしい着眼点だと思った。
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江國香織さんの訳、すごーく読みやすかった!!
平安時代中期に書かれたもので、夫の死を悲しんで書いたとされる回想録。
作者は菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)
時代的に源氏物語のが先?だから、源氏物語から読んだら良かったかな。
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池澤夏樹=個人編集・日本文学全集からの文庫化(古典新訳コレクション)、買うのは3冊目。これで刊行記念プレゼントキャンペーン(特性ブックポーチ)に応募できる。これも「伊勢物語」ともどもかなり前にハードカバーで借りて読んだけど、やっぱり手元にあればうれしい一冊なのでありがたい。文庫版あとがきと書き下ろしの解題(原岡文子)がついた。
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日記なのでつまらないかも。でも今読まないと時期を逸してしまうと思ったので完読出来なくてもいいやという気持ちで読むことにする。
期待をいい意味で裏切られた。。飾り気のない文章に現代でも意味が分かる言葉に変換してあり、
和歌の訳も分かりやすくてあっという間に読了。でも
分からないのは日記だから日常生活を書くはずなのに感じた事や自分がいかに怠惰だったか、信心深くない事、源氏物語に熱中し部屋に閉じこもっていたとか、両親が過保護に育てたことがよくわかる日記でした。
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歌に込められた想い。深いなあ。家集のようになっているのか。物語への憧れと現実のギャップが鮮やかにイメージできる。
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読みやすい訳だった。日記というよりは、源氏物語に憧れた箱入り娘が、晩年に生涯を振り返って書いた随筆という感じだ。頻繁に和歌が入るのが平安時代らしい。
当時はやっぱり父親や夫が出世するか、高貴な人物の後ろ盾を得るのが多くの女性の望みだったのかな。こういう感覚は時代の違いを感じるところ。でも共感できるところもたくさんあった。なにより当時の暮らしが垣間見えて面白い。64ページの和歌のやり取りなんかは、今でいうナンパみたいなもの?
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自然の描写の美しいこと。ほんとうにこれ同じ日本?と思うほど。平安は古代なのでまだ神話の時代が続いているようなロマンティックさがある。
人と人との確執にだけ特化した源氏物語より更級日記のほうが好きかも。
人はでてくるけれど名前はでてこなくて、他人はさらっと扱われつつも、
旅には時間がかかり、病気などで簡単に人が亡くなってしまう時代なので、心の底から別れを悲しんだり、再会を喜んだり。
何もかも欲しいって無理なんですよね。
生きることが切実であった代わりに、美しい自然に触れられる時代であったというか。
今は死なない方法はたくさんあるけれど、無くしてしまったものもたくさんある気がする。
そして神仏に帰依するなんて言いつつ、現世利益を求め過ぎで笑ってしまいました。ゆるいな!
お金持ちになって子供を贅沢に育てられますように。なんて。
うた恋いでも異母兄弟の結婚はオッケーだったとあって衝撃だったのですが、倫理観が根底から違う。
親の苗字が菅原さんなので、藤原氏が幅を利かせた宮中で負けていった貴族の一族なのかと思うと、父親が転勤族なのも頷ける。
転勤族なので旅をたくさんして、美しい景色に出会い、京に籠っているだけのお姫様より楽しそう。
神仏参りの帰りに泊めてもらった家が盗賊の家だった、のところも好きです。大冒険。
血なまぐさいものばかり、こわごわ読んでいたので、個人的生活を中心にしたものにしよう、と思い日記を読みました。日付をつけた日記ではなく、自分の人生の振り返りだったけど。素敵な感性。作る歌も好き。この人の一生は幸せだったと思う。
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神仏参り、自然。
歌に詳しければ尚一層楽しめたと思う。
物語から歌の訳、最後に歌がある。
悲しい、淋しい、残念、たまらない、耐えられない、うっとうしい、やるせない等々、人の心がはるか昔から変わらない様を感じた。どちらかと言うとつらい感情の方が多い。