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歌人であり、新聞記者として科学分野に取材した経験を持つ松村由利子さんが著者
(1960年福岡県生まれ)
科学にまつわる『短歌』約300首の魅力を紹介した本
猫丸さんの本棚で気になり図書館で
お取り寄せしました
ありがとうございます!
科学と文学、短歌…
それは何か対極のもののように、
とらえがち…
しかし日々新たな技術が開発されている現代を表現しようとするなら科学的なものも、短歌に自然に入り込み馴染んでいる
日常に潜む不思議、また瞬間的な美などをとらえて、感動する心ーそれを「センス・オブ・ワンダー」と言い換えて「センス・オブ・ワンダー」を求めて…
というテーマ!
科学と短歌に共通するセンス・オブ・ワンダーについて、短歌という定型詩の
奥深さをそして、
詩ごころ(驚く心)を感じられるし
それぞれの短歌に寄せた著者の解説もあるので
読んだだけでは理解しにくい短歌の読み解きとしても、科学の知識としても触れられているので興味深く知ることができて、わかりやすく嬉しい
〈その中のいくつかです…〉
○ビックバンの頃の素粒子 含みいる
われの手なりや葉書持ちおり (大滝 和子)
○バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ
生まれてバンザイ (俵 万智)
○読みなほす本のヒロイン若きまま 年ふりつもり
花眼の我居り (涌井 ひろみ)
○日々生まれ替わる私の細胞のどこがあなたを
愛してゐるのか (片岡 絢)
○神様がお創りになつたデオキシリボ核酸 しまふ
器なるわれ (尾崎 朗子)
○もっともっと動けばいいよ母譲りの
ミトコンドリアは せっかちである (笹本 碧)
○蝶の化石ジュラ紀にありと いふきけば
木漏れ日ゆれて 今日がふくらむ (馬場あき子)
○植物のしずかなる逆襲として 人を侵せる
花粉と果実 (久山 倫代)
○秋の雲「ふわ」と数えるようにする 一ふわニふわ
三ふわの雲 (吉川 宏志)
○日本列島スルメのごとく反りてくる 温暖化しるき
春のさかりを (志垣 澄幸)
○また更に望遠鏡が進化したと 奥の掃除を
始める宇宙 (武藤 義哉)
○火星移住推進協会があると語りぬ
君の唇 (大滝 和子)
○いかように人誇るとも 一枚の花びらをさへ
創るあたはず (田宮 朋子)
○あらたまの春のいのちのふきのたうより
Cs(セシウム)が検出さるる (本田 一弘)
○赤ちゃんの産声世界共通で 同じ周波数に
この世ふるはす (土屋 千鶴子)