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千早茜さん著「透明な夜の香り」で調香師に興味を持ったので読んでみた。なんと、この本の紹介が書いてあった!他に「西の魔女が死んだ」も。上質な香りが漂ってくるような文章が大変良かったので、相乗効果でうれしい。
「森林浴」という言葉は、1980年代、当時の林野庁により生み出されたことを知ってびっくり。もっと以前から自然発生的にできた言葉だと思っていた。
都会ほど緑や公園が多いなぁと思っていたが、それは意図的に作られたものだと確信。人工密度が高く高層ビルで空が隠れてしまうような都会だからこそ、樹木や草花、水の流れなどの人に寄り添う自然が必要なのだ。
青森県奥入瀬渓流の散策で、どこからかキャラメルを焦がしたような甘い香りが漂ってきたとのこと。さすが調香師。黄葉したカツラの葉が落ちて発酵し、甘い香りを漂わせるのだ。私も今年初めてその匂いを嗅いだ。その香りを持ち帰ろうとしたが、それは山だけのお楽しみのようで、次の日にはすっかり匂いが消えていた。
非常に鼻が良いとされて犬以上に嗅覚が優れているのはアフリカ象。数十キロメートルも離れた。水源のある場所の匂いを嗅ぎ受けて移動する。すごい。あの長い鼻は伊達ではない。
「プルースト効果」というものがあり、匂いを嗅いだ瞬間に、その記憶と、その時の感情までもが蘇ってくる。匂いほど強烈に記憶と結びつくものは無いのかもしれない。
パフューマーの素質について、嗅覚以上に求められるのは、①香りに対して相当の情熱を持つこと、②楽天的で、どんな場合でもクリエーションを楽しめる、③柔軟な創造性、チャレンジ、精神、忍耐強さ。どんな職業でも、その専門性だけに限らず人間性も大変大事だということがわかる。
気に入っている香水が廃盤になってショックだが、今の自分にぴったりの素敵な香りを見つけたい。