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土地柄でどうしても英国怪談と比較されそうだが、ときとして民話を思わせる、濃厚な土着性はあの手の洗練とは一線を画すもの。むしろロシア怪談あたりに近い手触りですかね。白眉の「カーミラ」もそういえば吸血鬼も本場はあちらだよな、とそんなことを思わせる。古典新訳と言うことで、レア作に拘らず、よく知られた作を集めてあるのも高評価。
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ナイス!光文社古典新訳文庫!
というわけで、光文社古典新訳文庫最新刊の『カーミラ』でございます
何がナイスなのか?
『カーミラ』読みたいな〜
ちょうど光文社で出してくんないかな〜って思ってた矢先に、なにこれ願い通じちゃったじゃん恐っ!の発刊だったからです
最近日米で同じコンセプトの物語、つまり青崎有吾さんの『アンデッドガール・マーダーファルス 』とシオドラ・ゴスの『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』という両シリーズを読んでまして、どちらにも女吸血鬼として有名な「カーミラ」が登場するんですが、前者は敵の中心人物で後者は主人公たちを強力にバックアップする味方なんですよ
もう、こんがらがって、こんがらがってw
でね、原作はどんなんだったのかなー
できれば光文社古典新訳文庫で読みたいな〜なんて考えてたところだったんですよね
もしかしたら、自分と同じような考えの人が結構いて、市場リサーチの結果だったのかな?なんて思ったりして
で、実際に読んでみて
うん、「カーミラ」の人となりは全く書いてないので分からんかった!w
というか、レ・ファニュの短編全てがなんというか、表現というか文章としてのゴシック感がすごいのは分かった
神秘的でものすごいゆったりと流れる時間を感じさせて、静かに迫ってくる怖さみたいなんはあるんだけど
物語として平坦すぎて退屈で、うーんまさに古典
南條竹則さんの訳も意識的に古めかしくしてるんだと思うんだけど新訳っぽくないのでこちらもちょっと残念
そんな感じだったので読むのに時間かかった
やっぱり古典は当たり外れが大きいな〜とあらためて感じたけど、なんしか勉強になったな
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「緑茶」と「カーミラ」は随分前に読んだことがあるが、細部は覚えていなかったので、ほとんど初読のようにして読むことができた。
「緑茶」は、読み終えてもスッキリしない。 ”あいつ” は一体何だったのか。なぜ現れたのだろうか?
「カーミラ」が何者かは早めに見当がつくが、今回読んでみて思ったこと。「あなたはわたしのもの。わたしのものにしてみせる。あなたとわたしは永久に一つ。」というカーミラのローラに対する言葉があるが、この言葉を字義通りに取れば愛の台詞そのものだ。このほかにもローラへ向けるカーミラの視線、態度など、本作には同性愛的な表現がたくさんあることに、改めて気付かされた。
本作には怪奇幽霊譚計6編が収録されていて、かなり恐怖味を感じるものからユーモラスなものまであり、楽しく読める。