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冒頭バナナフィッシュ日和と最後テディが好き。
途中の話は馴染めないものもあり日本文学の方が入りやすいのかなと思うなど。
理解できない不思議な感覚、世界に触れたような体験だった。
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ポッドキャスト番組『翻訳文学試食会』に触発され、本屋でジャケ買いした本作。
柴田先生の邦訳は、私が言うまでもなく名人芸。もともと日本語やったんかと思わせるほど。
かなり人気があった作家らしいが、私には良さがよくわからなかった。会話が多く、登場人物の関係性がなかなかつかめないまま、物語が終わってしまう感覚がどの話からも感じられ、楽しむことができなかったのが原因かも。唯一、エスキモーとの戦争前夜だけは、最後のオチにアッと思わされた。
(翻訳文学試食会の)大東さんがいう、”まれ人小説”が、自分に合ってないのかもしれない。
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ちょっと複雑だったりなんか急に終わる話も多いけど全体的に雰囲気が好き。
アメリカ文学のこともサリンジャーのことも全然知らないからこれがアメリカ文学の通常運転なのか本人の作風なのかは分からないけど、ちょっと不思議なかんじがする本でした。
会話や主人公の独白のテンポが好き。どれも良かったけど特に気に入ったのは「エスキモーとの戦争前夜」、「エズメに、愛と悲惨をこめて」、「テディ」かな。
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サリンジャーの九つの短編集。柴田元幸による新訳。
最初に総括しておくと、この短編集はすごい。
まず、この短編集はサリンジャーの代表作である。
ただ、「アメリカ文学史の金字塔」とか「これを読まずしてアメリカ文学は語れない」などの触れ込みにありがちな「ちょっとよくわからないんだけど、でもみんながすごいっていうんだからすごいんだろうし読まないと」というのではない。
面白い。掛け値なく面白い。
次に、九つの短編すべての物語が面白い。
古今あまたある短編集を見渡して、収録されているすべての短編が面白いなんてそうそうない。もちろん物語が面白いかどうかは人によって異なるので、私がすべて面白かったからと言って他の人がそうとは限らない。
それでも少なくとも私にとっては、九つすべてが面白いというのはそれはもうロイヤルストレートフラッシュのようなもので、感激以外のなにものでもない。
最後に、サリンジャーのストーリーテリング。結末に向けての語り口。
すごい。で、何がすごいのかを語りたいのだけれども、私の能力では語れず。
かろうじて貧困な感想を言うとすれば「展開の仕方がおしゃれすぎる」ということに尽きるかと。
全然伝わらないかもしれないけど、これは読んでみたらわかると思う。
柴田訳ということも手伝ってという部分ももちろんある。
でも柴田元幸が素晴らしくしているのはあくまで一文一文であって、その集合体である文章なり物語を素晴らしいものとしてくれているのはもちろん作者であるサリンジャーである。
アメリカ文学好きでも、そうじゃなくても、準古典が得意でなくても、まるで先月出た現代作家の新刊のように楽しめるから、未読なら是非。
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J・D・サリンジャーが唯一残した短編集であり、タイトル通り9つの短編からなる本作は、サリンジャーという作家がいかに人間の心の機微を鋭く描き出すことができるかを示している。
翻訳は英米文学を翻訳させれば超一級の柴田元幸氏であり、本作は別の出版社から2009年に出版された単行本が、河出文庫に再録されたものである。実は当時にも読んでいて、それを忘れてこちらを買ってしまったのだが、10年以上の時を経て読み返しても、当然に新鮮な感動が残った。
本作はやはり1作目に収められた「バナナフィッシュ日和」が、暴力的なまでに物語が断ち切られる瞬間を描いたという点で読み手に一生忘れ得ないインパクトを与える。しかしながら、その他の短編だって、その完成度で言えば全く負けていない。再読する中で個人的には、思春期の少女の移ろいやすい心情を魅力的な登場人物の造形とともに見事に描いた「コネチカットのアンクル・ウィギリー」に感動した。
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野崎孝氏の翻訳が1974年で、こちらは2024年。40年越しだが今読んでも新鮮。正直最初の『バナナフィッシュ日和』はよくわからないのは代わりなかったが、『エズメに、愛と悲惨をこめて』と『テディ』は良かった。