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東日本大震災から七年が経ち、解体作業が行われる仮設住宅の一軒で、町役場職員の遺体が発見された。現場は密室で、明らかに他殺。しかし彼は職務に実直で、恨まれるような人物ではなかったという。捜査を進める蓮田は、やがて決別した幼馴染みたちにたどり着いた。宮城県警シリーズ三作目にして完結のようです。
世間からすると復興が進み過去のものとなりつつある東日本大震災だけれど、その傷の癒えない人たちも多い、というのはなかなか認知されていないでしょうね。新しく家が建ち町ができても、それは前のものと同じではない。新しいものになじめる人ばかりではなく、取り残される人もいるのは当然のこと。誰にとっても幸せな方法というのは本当に難しいことなのだと切なくなりました。
震災で大切なものを失くした人たちの痛みが胸に刺さりますが、逆に何も失わなかった蓮田が負い目を感じ続けるのが苦しいです。決して彼のせいではないし、むしろただの幸運なのに、そのことが苦しみになってしまうとは。そんな中でかつて親しかった友人たちを相手に、彼は真相を掴めるのか。引き込まれて一気読みでした。
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宮城県警シリー三部作のサイン本買いました。サイン本って、有名書店とか古本屋でしか入手したことがなかったが、今回初めて通販で買ってみた。なんと三冊箱入りで来た。なお、本書以外は既に購入している。サイン本って高く売れるのか?一応、46/200 というシリアル番号付きだが、中山七里って都内のいろんな書店でサイン会やっているから、あまり希少価値は無いのかもしれない。
さて内容だが、東日本大震災関連の作品なので、当事者としては複雑な思いで読み進める。後半最後の方では地元の石巻の話も設定として出てくる。昨年、荻浜・桃浦地区に行く機会があったが、まだ湾岸工事中・仮設住宅もあり、震災からだいぶ時間も経っているのにも拘わらず完全に復興しているとは言えない状態である。更に能登半島でも、やる気のない、それどころではない脱税党のお陰で災害復旧は遅々として進まない。遅れれば遅れる程、人間関係の修復なんてできるわけがない、自ずと先送りになってしまう。この様な状況が、本作の様な推理小説にネタを提供してしまう。
今回のどんでん返しは、返し方がかなり強引で、勿論勝負は負けました。そんな中、これもかなりのこじつけだが、貢の将ちゃんへの心意気、親友への信頼がせめてもの救いとなった気がする。明らかなこじつけだが、少しだけ雲の合間に日の光が差し込んだ。
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本音で話さなければ本当の気持ちは伝わらないということを、ラストで痛感した。本音で付き合えば、誤解やすれ違いは生まれない。分かっているができないから悲しいすれ違いが起きてしまうのだろう。
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Kindleで読んだ。
災害公営住宅への移転に伴い解体が進む仮設住宅で見つかった他殺体。発見場所は密室で、被害者は町役場勤務の、仮設住民の担当者だった…。
「宮城県警シリーズ」三部作完結編。
“「災害の後は〈ハネムーン期〉といって被災者同士の連帯感が強まるんだけど、〈幻滅期〉になると立ち直りの個人差が広がるの。その後、仮設住宅の供給が終わって住宅の再建や公営住宅への移転が始まる〈再建期〉になると、経済的支援やコミュニティを失った人の精神的負担が一気に増える」”
自殺者が増えるのはこのタイミングらしい。
知らなかったことばかり。
犯人も密室のトリックも分からなかったけど凶器は合ってた!
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三作目まで面白いシリーズは滅多にない、という経験則が当てはまってしまった感じ。前作までストーリーに味付けをしていた舞台設定が、ただただ辛気臭さを醸し出すだけになってしまった。
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宮城県警シリーズ三部作、『完全密室殺人事件』。
東日本大震災の復興が進む被災地に根ざす人々の間で激しく揺れ動く心情と人間模様を描いたヒューマンミステリー。
仮設住宅からの立ち退きを迫られている被災者たち。
その空き家仮設住宅で起こった密室殺人事件。
先月に初めて中山七里さんの前編作である『境界線』を読んではまったこのシリーズ!
復興物語だとも知らずに読み始めました。
進んでいるように見えて被災者の心のケアや人間関係など根の部分ではまだ解決できていないとも言える『復興』ワードなのかなと感じます。
前作の境界線についてはまだ感想を残していないのですが、2冊に共通する感想ですね。
フィクションと言えど実際に起こっていることなのかもしれません、とても辛い気持ちになります。
震災さえなければ、被災さえしていなければ、、。
この言葉に尽きるかもしれないなと。
毎年、3.11とネットで検索すると寄付金に繋がるとか。
私自身は被災者ではありませんが微力でもできる事をしていきたいなと思います。
前作『境界線』がとんでもなく興味深い作品だったのですぐに本屋に直行し買いに行った本作!
色々と細かい部分が雑だなぁと感じる箇所もあったり。
いや、もう監視カメラで確認したらいいやんか、なんでそんな遠回りするん、、みたいなとこも^^;
最後はドタバタッと終わらせたような感じ。笑
最終章らしいし、完結編らしいし、最後がこれかぁと少し残念な感じですね。
シリーズとしては楽しく読ませて頂きました!
『彷徨う者たち』題名がさすがです。
中山七里というお名前からしててっきり女性作家さんだと思っていたのでネット検索でおじ様だったことにビックリ。
また新たな作家さんを知ることができました♪
久しぶりの感想&ブクログにログインしたので、
ゆっくりとブク友さん達の感想を読んでいきます^ ^
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宮城県警シリーズ3作目。
こちらが完結編ということで楽しみにして読んだけど、予想外にあっさりしていて少し拍子抜けした。
密室殺人のトリックも急にタネ明かしされたし、真犯人が判明するのも最後バタバタの中で…という感じだったし。
でも3作を通して震災〜復興にかけての登場人物それぞれの想いは伝わってきて、単なるミステリーとは違った気分で読ませてもらった。
やっぱり1作目の「護られなかった者たちへ」が一番面白かったなぁ。
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「護られなかった者たちへ」「境界線」に続く宮城県警シリーズ第3弾。
被災者、行政、再開発事業の関係者などの思惑が交錯する社会派ヒューマンミステリー。
今回の主人公は、笘篠刑事とコンビを組む若手の蓮田刑事。(1作目の映画では林遣都が演じています)
仮設住宅で見つかった密室殺人の捜査で、蓮田刑事が直面する様々な葛藤が描かれます。
失った者と失わなかった者の間にある境界線。被災しなかった者が感じてしまう負い目、罪悪感、疎外感…
疎遠になっていた幼馴染みとの再会、刑事としての使命と私情。
ミステリー部分は薄めです。
中山七里さんが東日本大震災を背景に書かれた作品は、このシリーズの他に「アポロンの嘲笑」もあります。
生活保護、闇ビジネス、被災者支援と復興、原発など、難しい問題がテーマとなっていて、事件はフィクションだけれど、被災地の状況や人々の心情の描写が秀逸で、いつも圧倒されます。
現実に震災によって人生が一変してしまった人々を思うと、本当に辛いです。
被災地の復興について多くのことを考えさせられて、複雑な気持ちになります。
個人的には1作目の「護られなかった者たちへ」が一番のオススメです。
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読み終わったいまは
各章のタイトルつけかたすごいなあって思った
あっというまに読んだ
失った失ってないで、距離がうまれてしまう関係は
しょうがないかもしれないけどかなしいなあ
あなたにはわかんないって言われたら
それ以上どうしようもない
いや言いたくなるけど 自分は言わないようにしたいと思った
解体と復興、再建と利権、公務と私情、獲得と喪失、援護と庇護