紙の本
三部作の完結編
2024/01/26 12:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画化もされた生活保護制度をテーマにした第一作、復興と闇にスポットを当てた第二作、震災が奪ったものと奪えなかったもの、密室殺人事件と幼馴染みたちとの友情の間で揺れる刑事の葛藤を描いた、社会派ミステリ「宮城県警シリーズ」三部作の完結編。
失ったものの大きさは誰にも量れないのに、良くも悪くも比べてしまう心。震災で何も失わなかった事を後ろめたく感じる気持ちなど、当事者じゃないとわからない複雑な心の機微が伝わってきた。国の制度、復興への想い、結束力が間違った方向に転がる様が非常に痛々しかった。
幼馴染みたちの中で最初から最後まで逆恨みが正当化されたままだったのは、少しモヤモヤが残った。
仮設住宅のイラストがあると、事件現場をイメージし易くなってもっと良いと思った。
一作目から比較すると☆5→4→3
電子書籍
復興がテーマ
2024/02/21 22:02
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
しかし、この事件、おそらくは震災なかったならば起きてないと思いました。なんだかなぁ。やや、スッキリとはしない読後感でした。動機にしても、ネタバレは書けませんが、中山七里作品にしては、…でしたね
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今回も考えさせられました。
仮設住宅を解体したい町役場と、公営住宅へ金額的に入れず残りたい高齢住民。
殺人事件にまで発展してしまった背景には、なんとも言えない状況があったとは、やりきれませんでした。
不幸自慢も言い得て妙で、故郷を離れて仙台市に移り住んだ蓮田刑事と、同郷の幼馴染との確執も微妙な感じでした。
そして、まさかの大どんでん返しで、えー!って声に出してしまいました。ほんの少し歯車が狂ったが為に、未来が大きく変わってしまいやるせない思いでした。
ラスト、ほんの少しだけ希望が持てそうだったのが救いでした。
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東日本大震災の後の宮城県警を舞台にしたシリーズ3作目。
これまでの主役だった刑事が脇にまわり、パートナーの若手が主役(語り手)。
能登半島地震の直後に手に取ったこともあり、震災関係のエピソードには心がいたみました。
密室トリック系かと驚きましたが、それは本筋ではなく。
やはり、震災が無ければ起きなかった事件でした。
友人に対する負い目や、嫉み。一言では表せない感情。甘酸っぱい思い出に出来れば、お互いに煩わしいこともなかったのでしょうが、生傷をえぐるような捜査が、読んでいてしんどかったです。
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定期的に大きな地震がおきている日本で、実際に起きてもおかしくないストーリーだと思いました。
三部作全部読みましたが、読みやすいのに心にグサッと刺さるものがあります。
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生活保護制度を題材に、映画化された第一作『護られなかった者たちへ』、震災からの復興とその闇ビジネスを描いた第二作『境界線』に続く、シリーズ累計50万部突破の「宮城県警シリーズ」最新作。
社会派ヒューマンミステリーの金字塔、ついに最終章へ!
在りし日の友情と恋。立ちはだかる悔恨と贖罪。
選ぶべき自分は刑事か、友か――
災害公営住宅への移転に伴い解体作業が進む仮設住宅の一室で見つかった他殺体。発見場所は出入り口がすべて施錠された完全密室、被害者は町役場の仮設住民の担当者だった。
宮城県警の笘篠誠一郎刑事と蓮田将悟刑事は仮設住民と被害者とのトラブルの可能性を想定し、捜査にあたる。そこで遭遇したのは、蓮田にとって忘れがたい決別した過去に関わる人物だった――。
復興が進む被災地に根ざす人々の間で激しく揺れ動く心情と人間模様を描きながら完全密室トリックの謎に迫る、著者渾身のヒューマンミステリーにして、人気シリーズ三部作、堂々の完結編!
……ってことで、確かに読んでる最中はページを捲る手が止まらないって感じの先を詠みたい感満載なんだけど、むーむむむ?ワタクシ的には、ええ〜っ?こんな終わり方??と、気持ちが彷徨っちゃてるんですけど?(^◇^;)
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震災復興シリーズ第三弾。
震災により、運命に翻弄される幼馴染4人組の話。最後の最後で、護るひとの気持ちに気づかされる。
能登の震災後というタイムリーなこともあり、震災復興とは何かと深く考えさせられる。合掌。
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宮城県警シリーズは没頭できるけど疲れる。
震災で失ったものは多いのに、今もなお取り戻せていない。
仙台に住んでいた時、職場の人に「現状を知ってほしいから」と被災地を案内してもらったことがある。
本当に何も無くて、すごく動揺してしまった。
この作品を読んでいる間もその情景を思い浮かべて、やるせない気持ちになっていた。
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「宮城県警シリーズ」三部作の完結編。
災害公営住宅の移転に伴い解体作業が進む仮説住宅の一室で見つかった他殺体。
被害者は町役場勤務の仮説住民の担当者。
笘篠刑事と蓮田刑事が、捜査にあたるがそこで遭遇したのは蓮田にとっては忘れがたい人物。
蓮田が高校時代に新聞社に勤めていた父のスクープの一件で、決別するかたちとなった旧友たちがこの事件に関わっているのか…。
蘇ってくる在りし日の友情と恋心。
立ちはだかる悔恨と贖罪。
刑事としての職を全うした先に見えてきたもの。
エピローグの沙羅の言葉…
「知歌はあのおじいちゃんを護ろうとした。旦那は知歌を護ろうとした。わたしは森見家を護ろうとした。皆が皆、震災で大事なものを失ったから、いまあるものを手放すまいとして一生懸命だった。将ちゃんは何を護ろうたしたの」
「知歌を護ろうとしたのは、将ちゃんが知歌を好きだったから。たった一人親友と呼べる人間が想いを寄せた相手だから護ろうとしたのよ。」
このシリーズは心情と人間模様を描いたヒューマンミステリーだが、完結編となると寂しい。
こういう深く心の奥に染み込む物語は、続いてほしいと思う。
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「護られなかった者たちへ」(映画も良かった)「境界線」に続く震災後の人間模様を描く宮城県警シリーズ3作目。犯人は中途でわかってしまいプロットは然程でもないが、それは些末なことで、復興の現実と友情が確り描かれた骨太な作品で読み応えあった。
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東北大震災から7年後。空き家となった仮設住宅で一人の役場職員が殺された。復興が進む被災地で利権が絡み合う。巨大化し乱立するNPO法人の闇。震災で家族を失うことのなかった一人の刑事が抱える後ろめたさ。あれほどの大震災の中では、助かったことすら贖罪の対象なのだろうか。友情路線に舵を切った作品なので少し薄い感じがした。
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東北震災後、仮設住宅で殺人事件。仮設住宅はまもなく解体。殆どの住人は新しい住宅へ。
被害者は住人を説得する係の公務員。
半グレNPO 地元議員と建設会社を捜査する刑事
幼馴染の議員秘書が容疑者となり逮捕
アリバイを偽っていたが証拠がない
取り調べ中にケアマネの元カノがきて犯人は自分
元カノは真犯人を庇っていた。犯人は仮設住宅から出れない老人。公務員と口論になりカッとなり殺してしまった。議員秘書の元カレに相談
高校から地元を離れて震災で家族を失っていない刑事。父親の建設会社が倒産しそうになり、政治家の娘と結婚して婿いり。
幼馴染が元カノを庇ってのは刑事がケアマネを好きだったからだと議員秘書の妻から言われる
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宮城県警シリーズ第三弾。
東日本大震災からの復興下での事件を描くシリーズですが、今回は密室トリックが本格派ミステリーっぽいと思ったものの、最後の動機は災害復興故と思うと胸が痛みます。
特に、1月の能登半島地震が発生したばかりなので、その復興に目が行ってしまいますが、東北の復興もまだ途半ばなんですよね。
三部作完結とありましたが、これでこのシリーズ終わるのでしょうか?
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震災関連死の話は心が苦しくなるので避けてきました。今回も読み進めていくとが・・・1/3ほどしか読むことが出来ませんでした。。社会はミステリーの難しいところです。
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『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く第三弾にて完結編。
今作は笘篠とペアを組む蓮田将悟を主人公に置いたヒューマンミステリー。
始まりは仮設住宅で発見された他殺体。
被害者は南三陸町役場勤務、仮設住民の担当者・掛川勇児。
密室で起きた殺人事件の謎を紐解きながら、被災地復興の裏側や、未だ心が彷徨い続けている被災者の心情を並行して描く。
当事者にならない限り、被災者の真の苦しみを理解する事は難しい。
衣食住やガワだけを整えてもそれが被災者にとっての救いにはならない事を実感する。
風化させない事の重要性を心に強く刻んだ。