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柚月裕子さんの作品
『風に立つ』
柚月さんの作品だと知り手に取りました。
こんなに感動する作品だと思いませんでした。 父親に大切に育てられてないと思っていた息子の悟は『補導委託』を通して少しずつ打ち解けていきます。
登場人物たちの語りがどれもジーンと心にきました。
「苦労はしても後悔のない人生を送りなさい。」
「辛い思いをしたあなただからこそ、誰かのためにできることがきっとある」
南部鉄器についてやチャグチャグ馬コなんかも…初めて知りました。
終わりかたも私好みでウルっとしました。出会えてよかった一冊です。
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2024.4.30
補導委託というものを初めて知った。
たとえ親子であっても人の気持ちってなかなか伝わらない。親が子を思い、子が応えようとする、矢印はお互いを向いているのにすれ違ってしまうこともあるんだよなぁ。
“人生で一番辛いのは孤独ではないか、と悟は思っている。お金があっても、親しい人がいても、どこまでも自分に寄り添ってくれる人間がいなければ、心は満たされない。逆に、環境が整っていなくても、自分のことを心から支えてくれる者がいれば、どのような問題にも立ち向かっていけるのではないか。”
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最後は涙しながら読んでました。
少年の溺れてるみたいに息が苦しい感覚を私も体験したことがあるのでとても感情移入しました。
すれ違いの中、両者の気持ちを理解出来てもまだ若い私の解釈は8割程度なのかなと。
あともう2割は自分自身がもう少し歳を重ねて親世代になった時、また読んだらより深まる気がします。
温かい物語でした!
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柚月裕子さんの作品は、結構読ませていただいたが、この本はちょっと残念な気がした。
薄くありきたりな展開で、最後まで盛り上がりに欠けた。
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補導委託(問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度)の引受を突然申し出た父。
何も話を聞いていなかった息子悟は、戸惑い、納得がいかないまま少年を迎え入れることに。
しかし少年と同じ職場で暮らすうちに、悟の気持ちにも変化が。
家族だからこそ、近い存在だからこそ、届かない想いと語られない過去。
盛岡を舞台に、親子の関係、家族とは何かを考えさせる作品です。
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非行少年と聞くと、オラオラのイキった子というイメージがあったけれど、上手くガス抜きができずに追い詰められてしまう子もいるんだなと思った。
家族について考えさせられるし、かといって重すぎずなんだか心あったまる場面も多くてよかった。
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宮沢賢治は苦手だ。温暖な気候の土地で育ったせいか岩手の厳しさがわからない。銀河鉄道の世界もわからない。
その岩手の風土が感じられる中、少年の成長と自身の親子関係を考え直す作品。強くあるためには、なにがあっても味方でいる人が必要だ。自分もこの人は!という人の味方でいたい、何があったとしても。
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南部鉄器の職人である父は、仕事一筋で家族思いとは到底言えない昔気質の堅物だと思っていた。
その父が突然、補導委託の引き受け先になると言う。
母は亡くなり、妹は結婚して出て行ってから父との二人暮らしで、そこに問題のある少年を受け入れることが納得できない悟に有無を言わさぬまま、少年春斗が来る。
工房で一緒に働く健司は、若い子が来ること事態が嬉しい様子で、手取り足取り面倒をみる。
あまり喋らず、表情も乏しい春斗が、アルバイトの八重樫が来たときに己を爆発させたことがあったが、やがて落ち着きを取り戻す。
春斗と工房で働き、一緒に暮らすことによって見えてきたものは…。
悟にとっては父の存在が大きく影響していたように思う。
自分にとっては、無関心であった父なのに春斗には笑顔を見せ、寄り添っている。
嫉妬ではないが、何がそうさせたのかがわからないと戸惑っているように思えた。
父が昔話をしたことで、悟にはわかったのではないだろうか。
とても不器用な親子だけれど、その間にひとり少年が入ったことで見えてくるものがあった。
家族だからこそ、近くにいすぎたからこそ伝わらなかったものがあったということに気づいた。
幸せな人生とはなんだろう。
恵まれた人生と充実した人生は違う。
与えられたものと自分が望んで生きる道とは得る価値が違ってくるだろう。
自分の目でしっかりと選んでその道を目指してほしいと願う。
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我が家には、数十年前に盛岡で購入した南部鉄器のつりがね型風鈴があり、今も変わらず、高く澄んで残響の長い洗練された音で涼を運んでくれます。さすが「残したい日本の音百選」(これは水沢駅の南部風鈴)です。本作は、この風鈴がますます愛おしくなるような物語でした。
また、先日の柚月さんのエッセイに続いて新作の本書を読むことができ、岩手の風土や柚月さんの作風を中心に、内容の理解が深まった気がします。
南部鉄器工房の親方・孝雄(72歳)は、頑固、寡黙、不器用‥と、絵に描いたような昔気質の男。同じ工房で働く息子の悟(38歳)は、父とぎくしゃくした関係です。
そんな父が、補導委託(試験観察)で非行少年・春斗(16歳)を相談なしで預かることに‥。
本作は、こんな父と息子、そして預かった少年の親子関係の内面に迫る、濃密な物語でした。
2組の親の過去、主人公と少年の心の揺れを丁寧に描き、周囲の支えと未来への希望を温かく見つめる柚月さんの眼差しが伺えました。
親方の孝雄にとって少年を預かることは、亡き妻や息子への「贖罪」というよりは、自分自身の家族との関わり方への「問い直し」だったのかな、と思えました。
結果的に主人公も少年も、親子関係の縛りを乗り越え、分かり合えたことが何よりです。親子関係、幸せについて深く考えさせてくれる秀作でした。
読後の余韻に浸っていると、心の原風景に南部風鈴の涼やかな音が聞こえたように感じました。
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南部鉄器の小さな工房を営んでいる父と息子。ある日父が「補導委託」の受け入れ先となることを決めた。少年犯罪を通し家族の在り方を描いていく。一言一言が否応なく心に沁みこんでくる。親はいつでも子供が心配で子供の生きたいようにと願いながら、自分の気持ちを押し付けてしまうこともあるし、それは生活に余裕がある故かもしれない。日本自体が貧しくて誰もが何かの犠牲になっていた古い時代、生きることで精一杯で子供のことを構う余裕もなかっただろう。時代は変わり、悩みも変わっていくけれど、人の心の根底は変わらずにありたい。
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問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度――補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄と戸惑う悟。岩手・盛岡の南部鉄器工房を舞台にした、再生の物語。
ハードボイルド系著者の新たな境地って感じで、とても良かった。
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補導委託についての物語。
舞台は岩手南部地方、非行少年の行動理由や父親の過去などのミステリー部分はありますが、家庭小説と銘打っているように、著者には珍しい不器用な家族たちの人間ドラマでした。
ちょっと三浦しをんテイストな感じもしました。
補導委託とチャグチャグ馬コを知れたことは勉強になりました。
著者の家族が東日本大震災で亡くなっているそうなので、故郷の岩手を舞台にして希望のある物語にしたかったのではないでしょうか。
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補導委託、知らなかった。ハードル高いだろうなぁ。子どもに苦労させたくないという親の愛情とそれに応えたいけど、縛られず自由に生きたい子どものすれ違い。永遠のテーマ。「物事には風というものがある。人生にはいろんな風が吹く。いい風に乗ったと思ったら一転して嵐のような風に見舞われ転落したりする。それが世の理だから致し方ない。それに立ち向かうにはどんな風にも動じない強さが必要」「人なんてどんなに話し合ったって百パーセントわかりあえることなんてない。何が善で何が悪かを決められないように、人もこいつはこんなやつだなんて決めつけられない。いろんな価値観、感情、事情で生きてるから」「一方から見て丸いもんでも、別なとこから見れば四角いもんだ。相手をこうだと決めつけないで仲良くやろうや」「幸せな人生ってなんだろ。恵まれた人生と充実した人生って同じじゃないかも」含蓄ある言葉の数々。柚月さんだから最初はミステリー展開だと、用心して読んでいたが、ナント心温まるお話だった。
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もっと波瀾万丈あるかと思ったが、少年がいい奴すぎてハッピーエンド。法廷での一人語りはうまくできすぎ。でもラストはそれなりに感動もあり
、もしかすると続編も?という期待すら。
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南部鉄器の職人である父孝雄と息子である悟の物語。無愛想で偏屈の孝雄が補導委託で家裁送致された少年春斗を引き受ける。ぶつかり合いやふれあいの中で登場人物それぞれのこれまでの人生が明らかになり....。親の思い、子の心を考えさせられる。親は子の応援団ではなく味方であり続けたい。