紙の本
補導委託
2024/01/10 00:08
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
非行少年を預かる「補導委託」を独断で始めた南部鉄器工房の親方。仕事一筋で家庭は後回しにしてきた父の突然の行動に、戸惑いと怒りを覚える息子。嫉妬に似た気持ちを抱えながらも少年を受け入れる事で、少しずつ様々な愛情の種類を知っていくヒューマンドラマ。
大切すぎて、近すぎて、気付けない想い。互いに歩み寄ってるつもりでも、タイミングが合わないまま蟠ってしまった関係が、新しい風が吹く事で徐々に足並みが揃っていく。決まった形のない「愛情」を、誰もが手探りで求めて手繰り寄せる。揺れ動く心模様を繊細に抄った作品。
大人も子供も関係なく、素直な気持ちをさらけ出すシーンがとても印象的だった。400ページと少し長めで、登場人物もイベントも少なく、淡々とした印象があったが、中弛み感もなく綺麗に纏まっていた。
ちょっとした仕草や言葉のひとつが、存在感を放っていた。
紙の本
人生の選択肢は、子が選ぶ
2024/02/19 21:35
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者らしいミステリー小説だと思う。補導委託という司法制度を軸に、親が子にかける思い、子が自らの人生を歩もうとする姿勢、それらが交錯するとき、それを描いている。登場人物たちの心の微妙なすれ違いの理由が、物語の進展とともに、明らかになる。自分で自分の人生を選ぶことができない環境に置かれれば辛い。それを親が子に味わわせたくないと思い、この行き先を決めてしまうことが親には多い。選択肢があることが豊かなことであるのには違いないが、親が子の人生を選んではいけない。子供の応援団ではなく、いつまでも味方であり続けたい。
電子書籍
やや長いかな
2024/05/02 22:26
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この内容ならばもう少し短い構成でも同じ内容が書けたような気がしますけど。この作家さんの筆力ならば。柚月裕子作品では、ちょっと異色な気がしました。人間ドラマで、心理描写が重い小説です。
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はじめて知った
2024/02/04 10:37
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
補導委託っていう制度を初めて知った。
受ける側は相当な覚悟が必要だよね。
親としては、子にはできれば苦労させたくないし、
心配事なく生きていってほしいからなあ。
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不器用で無愛想な南部鉄器の職人の父・孝雄を持つ悟。そんな中、孝雄が少年犯罪の補導委託をやると知り、困惑する…
不器用な父と幼少期からのわだかまりを持ったまま大人になった悟と、保護観察の春斗。家族とは?って言う大きなテーマが考えさせられました。
春斗は何不自由ない暮らしだったけど、親の圧力に耐えられず万引きを繰り返してしまう。
春斗の父も苦労した人だったから、子供にそんな思いをさせたくない気持ちも解るけど、とても高圧的で息苦しい春斗の気持ちもまた解ります。
岩手の南部鉄器の職人一家の元で少しだけ息が出来るようになった春斗と、親のやり取りは苦しかったです。
孝雄も不器用で、悟との距離も複雑だったけど、ラストは泣きそうになりました。一生懸命生きてるって感じが愛おしかったです。
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老舗の南部鉄器の工房に、ある日、軽犯罪を繰り返し保護観察処分中の少年が更生のためにやってくるところから物語は始まる。
心を閉ざす少年と大人たちの距離はなかなか縮まないが、ふとしたことがきっかけで、少年の悩みの原因がわかる。そこから始まる、少年と更生を支援する大人たち、そして少年の両親との確執と再生の物語。題材は地味だが、家族とは、ということを考えさせられる良い作品。
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2024/01/10リクエスト 48
岩手の南部鉄器工房で、補導委託を引き受けた父と息子の悟、そこで暮らす春斗。
恵まれた家庭環境にありながら非行に走った春斗。補導委託先の工房での父と息子の関係、春斗と両親の関係、工房で長年働く健司の家族、アルバイトに現れる八重樫の育った環境、など様々な家族模様が、春斗家族の問題にも、悟と父親の問題にも影響する。
最後にきっちり話が回収されるが、裁判所での場面、突然に悟の父親である孝雄が、西沼耕太の話を始めるところは、ねじ込んだ感じで、何とも違和感を感じた。
けれど読みやすい文章のためページが進む。
今までの刑事や暴力団をテーマにしたものから、今回の家族系に軸足を移すのかな…
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更生のために非行少年を預かる補導委託の物語。
少し前に読んだ、いとうみくさんの「夜空にひらく」に設定が似ていた。
こちらは南部鉄器工房が舞台。何かしらの問題を抱えている少年と職人気質な親方という組合せは、それだけで更生のきっかけを与えてくれそう。
親方の孝雄と息子の悟、少年春斗と父親の達也。それぞれの父子から、親子関係で大切はものは何なのかを考えさせられた。
「親は応援者ではなく、子供の一番の味方であるべき」という悟の言葉は妙に納得。肝に銘じておきます。
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メチャクチャ良かったです。
"補導委託"と言う馴染みのない制度とヒューマンドラマ、そして少年の闇の謎を上手く組み合わせて極上のフィクションに仕上げるその筆力。さすがでした。
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補導委託-問題を起こし家庭裁判所に送られてきた少年を一定期間預かる制度
この補導委託を突然 引受た南部鉄器職人の孝雄と仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の行動に戸惑う息子の悟
納得いかぬまま工房で少年と共に働き、同じ屋根の下で暮らしていくうちに・・・
柚月裕子先生の違う一面を堪能できる秀逸の作品でした。
不器用な父と子
近くにいるからこそ、家族だからこそ、伝わらない想いと過去があり、良かれと思ってしている事が、重荷になったり、期待に応えられず苦しんだり・・・
幸せな人生ってなんだろう?
恵まれた人生と充実した人生って同じものではないんじゃないのかも?
でも生きていくためには?
いろいろ考えてしまいましたが、ラストは涙を流し爽やかな読後感を味わうことが出来ました。
ご存知の事と思いますが・・・
この作品は、ミステリーではありません。
落涙の家族小説です。(笑)
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今まで読んだことない作家さん。多くの作品を出されいて、レビューは★5が50%付近。あらすじに興味がわいたし、2018年本屋大賞2位ということで、相性合う作家さんか確かめたくなった
#風に立つ
#柚月裕子
24/1/10出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/41QCbPA
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感想
親の気持ち。子供に伝わることはないのかもしれない。だけどそれでいい。思いを継いでもらうことはそれだけで重荷。だからさわやかに。
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星3つにしてしまってますが、小数点をつけれるとしたら星3.5という感じ。自分の中で星4つに近い、良作でした。補導委託という少年更生の仕組みと、南部鉄器の職人の気質、そして親子や家族のあり方などを上手く絡めて一つの物語に昇華させているのが秀逸だった。若干、設定がおあつらえ向きすぎる感は否めなかったのと、終盤で父の過去が明らかになる際、その過去がこういう物語によくある感じの、予定調和的だったのが残念ではあったけど、総じて楽しく読めました!
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盛岡市にある南部鉄器の工房が舞台。親子の話だが、40代の息子が親に大事にされてなかったとか言ってるのが、40にもなってまだそんなこと言ってんのかよと白ける。
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世の中であまり知られてない職業、役割、立場の人への解像度が本当に高くて毎度感心させられる
(実態を知らずに解像度なんて書くのは気が引けるが)
自分以外の人の気持ちはどうやったって100%理解することはできない
それは家族であっても
だからこそもちろんわかり合おうとすることも大事だが、「ここはわかるけど、ここは私にはわからない」というように線を引くことも大事に思えた
全部理解しようとするのはある種の傲慢にも見えてしまうこともあるだろうから