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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミノタウロスという怪物を登場させながら、話の本質はそこではなく、人間社会。
市長、議員、秘書、利権をどうやって自分のもとに還流させるか。
自分の描く未来のために、どのような手段を使うか。
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結果から言えば、詰まんなかった。
多分、若い人たちが読めば面白いんだと思うんだけど、このところのこういう小説にイマイチ入り込めない。
SF ではない。ファンタジーでもない。
なんだろうな、SF考証なんてもうないというか、なんだろう、進化し尽くした科学は魔法と見分けがつかないと言ったし、プロセッサだって何も意識せずもはや家電以下の世代では、ルールの理解とか、世界観とかそれを成り立たせるための努力とか、全く意味がないのかもしれない。
ラノベとかRPGとか漫画とかアニメとかで、それっぽくあればあっという間に共通ルールが共有されるようになったのかと思う。
ま、それはそれとして。
そう言うのを抜きにすれば推理物に近いと思うのだけど、根底にワタシルールと後出し開示がある少年ジャンプ的なところがあって、なんじゃあそりゃと。
そう言う筋すら、政治とか、浅い人間関係を描写するための道具でしかない。
人が死ぬのに、極めて軽い本。
一番根本のアリバイを仮定のまま置いて、話が進む。
星二つにならなかったのは、それでも、文章が上手くて、構成自体は悪くないよね、と思ったから。
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Amazonの紹介より
モンスターパニック×不可能犯罪。
近い将来、人類はこの怪物に駆逐されるのか。そんな世界で、不可能犯罪が起こった。
目の前には三メートル超えの怪物、背後には震える少年。好感度を何よりも重視する史上最年少市長・利根川翼は、人生最大のピンチに陥っていた。だが、その危機からの脱出直後、「異様な死体」が発見される――。容疑者の一人になってしまった翼は、自身の疑惑を晴らすために謎解きを始める。『スイッチ 悪意の実験』『時空犯』で話題の新鋭が挑む、渾身の本格ミステリ。
毎回、エキセントリックな設定を仕掛ける潮谷さんの作品。今回は、怪物の出現と不可能犯罪ということで、どんな作品か楽しみでした。
突如世界に現れた怪物。混乱する中で、まさか市議会の中に現れるとは。怪物との攻防戦ならまだしも、まさか殺人事件も発生するとは驚きでした。その他にも色んなエキサイティングな要素が盛り込まれていました。
そもそも市長が最年少だけでなく、つい最近まで政治とは全くかけ離れていたのに、後の秘書にスカウトされるというなんとも有り得ない設定。それならまだしも、有力候補の議員達は色々問題があって、離脱。そして晴れて当選という展開は驚きの連続でした。
読みどころとしては、怪物がいかにして誕生したのか?そして殺人事件の犯人は?といったことが挙げられます。
個人的には、政治と怪物の関係性が水と油のような感覚がありました。この作品内での政治って必要性ある?と思うくらい、読むにつれて重要性がないように感じました。
たしかに政治面でいえば、派閥や最年少の市長目線での周囲の議員との関係性といった要素があって、面白かったのですが、別に怪物に絡まなくても・・と思ってしまいました。
後々、大きく括れば怪物と政治が重要な要素になるのですが、もう少し絡んでも良かったのかなと思いました。
また怪物の存在も、ブレブレな感じがしました。用途によって、弱かったり強かったりと怪物のメカニズムはわかったのですが、なんか都合が良すぎるなと思ってしまいました。それならば、一貫して強い怪物を貫いて欲しかったなと思いました。
もしも怪物が現れたなら?昔の映画などでしたら、みんな怪物を倒すというのがセオリーだったはずですが、今は怪物を利用する人や撲滅する人など昔とは違い、色んな考えを持つ世の中に世界の縮図を見ているようでした。
殺人事件の犯人は意外な人物で面白かったのですが、行き当たりばったり感があって、結局怪物がメインだったのか?それとも不可能犯罪がメインなのか?政治がメインなのか?あやふやな感じがしました。
いつも特殊な設定を仕掛ける潮谷さん。次回はどんな作品なのか気になるところでした。
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ミステリ+モンスターパニックファンタジーになるのかもしれないが、どっちも中途半端な印象を受けた。特にミステリ部分はほんとオマケになっていて、トリックも動機もあまり納得がいかない。
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何コレ?! 怪物とゆるふわキャラが大暴れする荒唐無稽SF×政治社会派ミステリー #ミノタウロス現象
■あらすじ
世界各国で怪奇現象が発生、各所で突然に牛の怪物が出現するようになってしまった。舞台が変わり日本の眉原市では、最年少女性市長である利根川翼が市政の様々な問題に苦慮していた。ある日、翼と議員たちが市議会議場で話し合いを進めていると…
■きっと読みたくなるレビュー
なんじゃこれ、もうこんなミステリーを書けるのは潮谷先生しかいないよ。天才的発想力、この緩さとシビアさの絶妙なバランス感覚、これは凡人には絶対書けない。しかも今回はエンタメ要素もしっかりありますし、唯一無二の作品ですね。
本作でイチ推しなのは、怪物が出現するという設定と、それに対する人間たちの行動が面白過ぎる点。何なんでしょうか、この「ゆるーいゴジラ」は。
人類の危機かもしれないにも関わらず、予算が少なかったり、YouTuberが調子に乗ったり、学者が変人だったりと、まさに現代の世知辛さと他人事な感じがリアルに描写され、とにかく馬鹿馬鹿しい。それなのに、戦闘時の緊迫感や綿密な考察もあって、作品のえぐ味が凄まじいんですよ。
特に後半の怪物に関する研究結果や考察については、何ソレ感が満載なんですが、なかなかどうして納得性も高い。人類未踏の地を切り開くためには、常にリスクを追っていては遅々として進まず、時には破天荒な行動力が必要かもと考えされられました。
また本作は、政治の在り方についても、ゆるふわな感じで綴られています。ただ現実に政治の世界で話し合いがなされていることも、あながち間違っていないでしょう。結局は金や人集めが得意な人だけが暗躍する世界、そんな政治で誰もが幸せな人生を送れるような世の中が作れるんでしょうか。
謎解きとしてもオチがあるし、意味不明な背景やドタバタ劇の中にも手がかりが忍ばせてあるのは流石です。でもわかんねー、常人には理解が追い付かないところが素敵。ミステリーとしてエンタメ爆発してところがいいですね。
■ぜっさん推しポイント
読書は作者と読み手で作り上げられると言いますが、結局私は何を読まされたのか…
例えば人間の成長や悪を憎む正義感のような主張など、まるで感じない。荒唐無稽さと不条理な感覚が押し寄せてくるだけ。もちろんそれが魅力ではあります。
ただ、本作は「変化」というものに対する意思を感じることができました。コロナ禍では世界中で大混乱を招きましたが、この問題に対する各国や人々の対応には特徴がありました。世の中に変化があったとき、実は原因なんてどうでもいいのかもしれない。ひとりひとりが他人事にならないことが重要だし、思いやりって大切だなと胸に刺さりました。
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最初、ホラーだと思いながら、よんでいたらまさかの特殊設定ミステリだった。
でめ、なんか設定は面白かったし、楽しかった。
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世界各国で牛頭人身の怪物が出現。牛頭人身、つまり、いわゆるミノタウロスだ。
その登場の謎と、殺人事件、SF X ミステリーとでも言おうか。その怪現象と現代社会と地方政治の現場を絡めた、ちょっと面白い建付けで始まるストーリー。
対峙するのが、日本の京都府、その南方にあるという眉原市の若き女性市長の利根川翼。こうした、怪物の登場に、行政がいかに対応するかを描くのは、『シン・ゴジラ』でもお馴染みだが、怪物が身の丈3メートルと、ちょっとお手軽なところが、逆に現実味ある(のか?)。
これを、謎の怪物と捉えてもよし、自然災害のひとつと考えるもよし。山の食料不足と暖冬傾向で、昨冬は全国でクマ出没の被害が相次いだことも思い出される。
神話や伝説において「牛」の存在は、洋の東西を問わず描かれてきた。
「日本では牛頭天王がスサノオノミコトと同一視され、祇園信仰の祭神として畏怖されている。ギリシャ神話には、牡牛に姿を変えたゼウスにさらわれた美女エウロパが、広大な大地に流れ着き、その地、ヨーロッパの祖になったという神話が残されている。」
牛を神聖な存在として崇め奉る宗教もある。そして、本作では、あの有名なクノッソス宮殿のミノタウロスを、現世に登場させ、この脅威に現代人が、いかに対応するかを描く。
元バンドマン、ベースをかき鳴らしていたロックな利根川翼は、まだ20代。就任2年目の若さだ。議会でベテラン議員が怪しげな提案、市政を操ろうと跋扈する。その翼を支えるのは、元有力議員の秘書だったが、翼に希望を見出し、市政に打って出るところからサポートする切れ者の私設秘書の羊川葉月。
世界中でミノタウロスが発生しているのに、なぜ京都が舞台か? 怪しげな郷土歴史家の永倉秀華博士が絡み、ギリシャの宮殿に潜む「迷宮」の謎から、ミノタウロス存在の理由を解き明かしていく。
怪物と現代地方都市の行政対応を絡めた設定や、ギリシャ神話をベースにした奇想天外さ、登場人物のキャラ立ちなど、そこそこ飽きのこない設えで、楽しく読めたが、ちょっと、途中から物語の勢いが落ちてくる。
それは、このミノタウロスが、そんなに強くないことが分かってくるから。いや、もとより、アメリカの警官が拳銃で退治できたりと、それほど強くはないのだが、永倉博士によって種明かしされる、とある条件を備えた人間の言うことを聞いてしまうという、なんとも締まりのないオチ。うーん・・・。
何故そんな謎の生物が、この地球に存在するのか。宇宙人説など、遠い銀河から、我らがホモ・サピエンスの進化と成長を見守る存在がいるのかもしれないという可能性は示唆されるが、そこは明らかにされない。う~ん、それも、ちょっと尻切れトンボ・・・。
でも、若き市長のキャラと、「シン・ゴジラ」的な味付けで、最後までサクサクと読めました。
これは、誰かが映像化の権利を買い取って、さらに構想を膨らませて、まったく別のオチのお話にしても面白そう。市議会での殺人事件の顛末で終わらせてしまうには、もったいない、ミノタウロス登場の謎だった。
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特殊設定でもSF感強めなものは苦手なのですが、この作品は論理的にすっと入っていけるものなので大丈夫でした。
ライトな陰謀論や、元ベーシストの市長のキャラもそこはかとないユーモアセンスも好みでした。
(重たくて後味の悪いイヤミス系を読みすぎてるかも)
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世界各地に人を襲う怪物が突如として現れるようになるが、その怪物は『案外弱い』ため、人類滅亡の危機とまでは至っていない、という独特な設定のお話。実際にもしそうなったら人々はどう対応するか、社会はどう変わるか、という思考実験は面白い。主人公の性格がさっぱりしていて小気味良い。
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楽しかった。ちょうどこんな小説が読みたい気分だった。
田舎のとある場所に同時に2体現れたミノタウロスのうち、1体は着ぐるみを着た市議会議員。
怪物と一緒に駆除された彼はどうしてそんなことになってしまったのかというミステリー。
地方政治が絡み、陰謀論や都市伝説の要素も出てきて、事態はやがて世界規模に。
市長が弾くベースが武器になるのかと思ったら違った。
テンポよくゲームのような面白さだった。
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警官が怪物系ユーチューバーに転身する世界。市長は右手に刺叉とベースで戦闘態勢。牛頭怪物を駆除したはずが,中身は議員。市長は容疑者に。迷宮は怪物を閉込める場所でなく,発生装置なのが斬新で面白い。
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半人半獣で牛頭の怪物が世界中に突如出現。しかし怪物は案外弱く、人類の脅威にはならなかったwそこから幕を開けるミステリー。怪物出現の謎を追う話ではあるのだが、小さな田舎町の市長が市議会の与野党と対立したり共同戦線を張ったりというやけに辛気臭い設定が面白い。怪物と遭遇して生き残った人が大人気YouTuberになって視聴者を扇動するという描写もめちゃくちゃ現実にあり得そうw
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タイトルに惹かれて図書館で衝動借り。
ミノタウロスの強さの設定が微妙なのが面白かったです。
あと主人公が女性市長というのも良かったです。84Pの民主主義についての考えや、142Pの政治家がイレギュラーな行動に走ってしまう見解を語っているシーンが印象的でした。
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突如として牛頭の怪物が世界中に現れるという事象が発生した。現れる場所も時刻も全く予想はできず、何もないところから現れる怪物に人々は怯え、そのための対策を練るようになる。そんな中、眉原市の市議会議場に怪物が出現した。人的被害を出すことなく怪物は駆除されたかに思えたが……なんとも奇妙な事象を描いたミステリです。
あまりにとんでもない設定なのですが、殺人事件における謎解きの部分はかなり真っ当です。そして謎の怪物が現れるメカニズム等に関しても、ある程度の論理が構築されている特殊設定ミステリでした。だけどこんなのを考えつくとはなかなかにとんでもない……。
主人公である利根川市長のキャラクターが良いです。若くして政治経験もほぼなく、有能な秘書を頼りに市長の座を得た彼女ですが、人間としてとっても魅力的。飄々としていていい意味でまったく政治家らしくない彼女なのだけれど、ある意味政治家たちは彼女を見習うべきかもね。
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迷宮を作ると現れる牛の怪物、ミノタウロス。京都の小さな市眉原市長の翼のなかなか真面目な仕事ぶりとミノタウロス現象の融合で世界的な怪物の脅威が高まってまたスッと収まる。ノリの良いちょっとおふざけ小説だが、政治に対しての意気込みは評価されていいと思う。