紙の本
様々な「心の病気」を取り上げた、アンソロジー式インタビュー誌です。
2024/02/02 15:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
医療ジャーナリストの著者が、心の病気を専門とする医師の皆さんにより良い治療の仕方についてインタビューしに行き、それを新書1冊にまとめたアンソロジー式書籍です。
各章、専門医の大ゴマ写真と経歴を掲載したものを1頁使って紹介し、著者が実際に取材に行った様子と専門医のコメントが文章になっているつくりです。全7章、発達障害や統合失調症など、様々な「心の病気」が取り上げられています。
どの専門医の方々も人間味に溢れたコメントをしていて、読んでいて気分良かったです。多くの方々に読んでいただきたい1冊です。
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【目次】
第1章 依存症「ヒトは生きるために依存する」
松本俊彦さん(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長)
第2章 発達障害「精神疾患の見方が根底から変わる」
原田剛志さん(パークサイドこころの発達クリニック院長)
第3章 統合失調症「開かれた対話の劇的効果」
斎藤 環さん(筑波大学医学医療系社会精神保健学教授)
第4章 うつ病・不安症 「砂粒を真珠に変える力」
大野 裕さん(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター顧問)
第5章 ひきこもり「病的から新たなライフスタイルへ」
加藤隆弘さん(九州大学大学院医学研究院精神病態医学准教授)
第6章 自殺「なぜ自ら死を選ぶのか」
張賢徳さん(日本自殺予防学会理事長/六番町メンタルクリニック院長)
第7章 入院医療「新時代を切り拓く民間病院」
堀川公平さん(のぞえ総合心療病院理事長・院長)
渡邉博幸さん(千葉大学社会精神保健教育研究センター特任教授)
コラム:
「ようこそ外来」とハームリダクション
成瀬暢也さん(埼玉県立精神医療センター副病院長/埼玉医科大学病院臨床中毒科客員教授)
グレーゾーンとリワーク
秋山剛さん(世界精神保健連盟理事長)
精神疾患の在宅支援(ACT)
高木俊介さん(たかぎクリニック院長/オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン共同代表)
認知行動療法の最終進化系CT-R
アーロン・ベックさん(認知行動療法の創始者)
トラウマを理解し,支える訪問看護
田邉友也さん(訪問看護ステーションいしずえ代表)
面接時間を延ばす
樋口輝彦さん(国立精神・神経医療研究センター名誉理事長/日本うつ病センター名誉理事長)
野村総一郎さん(六番町メンタルクリニック名誉院長)
グリーンホスピタル
和気隆三さん(新生会病院名誉院長)
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新聞広告だったか何だったか、本書の刊行を知る。錚々たる精神科医たちをはじめ、精神医療に携わる面々への取材をもとにまとめられたものらしい。なによこれ、こんなん絶対読まないわけにいかないじゃないの!と、早速手にした。
いやーよかった。
どの章も、精神医療の現場を、こうであればいいのに、と願っていた私の思いをそれぞれの医師が汲んでくれたような内容ばかり。
こんなふうにサポートをしたかったとつくづく思った。
今の仕事の臨床でも役に立つような具体的な記述も多く、また自分のいつもの取り組みを肯定されたような気持ちにもなり、本当に読んでよかった。
久留米ののぞえの丘病院の件では、当時齋藤院長が都立松沢病院で取り組んだ改革も思い出し、ああいいな、やっぱりこういうのいいな、こうであるべきだなと改めて思った次第。
そうしてやっぱり思ったのは、対話の力。きちんと話を聞くこと、一緒に考えること、人対人として関係をつくること、そこに行き着くなあ、と。時間をかけて、話し、関係をつくることに勝るメンタルの治療はないよ。
今ひとつ納得できないことを挙げるとすれば、本を手に取ってもらうための付け方なのかもしれないけれど、タイトルはこれがベストなのか?ってこと。本書を表すには、別にふさわしいタイトルがある気がするけど。
あと、本の帯に「心の不調を感じた時に最初に読む本」とあるけれど、これはむしろ、本人よりその家族や周囲の人が読むべきでは。
そして以下は思いっきり蛇足。
本書に登場した著名な精神科医が、以前(かなり前)私が勤務していた会社の上司のご家族。精神科医をされているのは知っていたし、著名な方なので、今までにお顔を拝見する機会があっても良さそうなものだったが残念ながらその機会がなく。今回初めて拝見。あ、似てる!やっぱ似てるわ〜。しみじみ。ってのも変だけど。ある懐かしささえ感じるわ。
そしてそして、著者の別の著作も読みたいと思っていろいろ確認したら『なぜ、日本の精神医療は暴走するのか』は一年くらいまえに既読だった。私が付けた評価は⭐︎三つ。うーん、どんな内容だったかなあ…。
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こころの病を治療するのは日本では今まで薬の投与に偏重いていたが、オープンダイアログ(メディカル、コメディカル家族との対話を通じて)に進むとしている。
msdical cure or treatment ではなくCAREである。日本の精神病院のベッド数は世界でも抜きんでて平均在院日数もとびぬけている。
ちょっと筆者前のめりすぎないかな。気になった。
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心のケアの問題は単純には言いづらい。多様な要因からなっている部分もあり、何が正しいか何が間違いかというのは一概に言い難い。我が国のメンタルケアは国際基準としては圧倒的に遅れているのは事実であり、政策を早急に変えていくことは必要ではある。本書はその現状をジャーナリストとして、熱い思いで伝えるものであるが、少し感情的になっている部分は否めないのが少し残念であった。
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筆者の決めつけが多い・思想の押し付けがましい刺激的な文体が気になったが、内容は参考になる点もあった。
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思ってた内容と違ったので…
自殺したいなと心が弱った時に、疎外感とお荷物感を抱くのは納得だった。
他にも、本音を言えない・人を信用出来ない・自分を大切に出来ないなどの、共通した特徴がある依存症患者の部分も納得だった。
とりあえず何かや誰かと比べることなく、このままでいいんだとジャッジフリーでいることを心掛けようと思う。