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<かへりみちひとりラーメン食ふことをたのしみとして君とわかれき>
<誤植あり。中野駅徒歩十二年。それでいいかもしれないけれど>
などの歌がよく引かれる大松達知さんの第六歌集。
大松さんは中高一貫の男子校に勤務している教師だそうです。
私の小学校六年生の時の担任の先生が、関係ないけど大松先生というサッカーの上手い先生だったので親近感がわきます。
この歌集ではお父様を食道癌で亡くされるところから、コロナ禍での緊急事態宣言。ウクライナ侵攻。加齢など、597首が詠まれています。
他にはコーヒーがかなりお好きで、餃子もお好きらしいのがわかりました。
<咲くためにこれまで生きた菜の花のなるべく咲いてない束を買う>
<ひらがなを読む四歳がゆ・り・か・ご・の・う・た、と読みたり父はすこし泣く>
<このあとの八時間後に父逝くと知らずひとりの餃子を食べた>
<ふたたびを新人教師にならなくていいやすらぎにほんとやすらぐ>
<「短歌って右だと思ってたんだけど、オーマツ、いつからそんなんなった?」>
<画家は言う。しんどいときに絵は描ける、しんどいときの方が絵が良い>
<買ってやることが愛ではないけれど、あしたには来る赤い一輪車>
<デコポンに癒されながらデコポンのひとつさえわれは癒すことなし>
<四十年ものの梅干しすごいなあ、ふうん俺よりだいぶ歳下>
<おばあちゃんでごめんなさね、そういった人のお気持ちいまはだいぶわかる>