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2024年3月読了。
「守礼の光」は、1959〜72年の間に「米軍の心理作戦部隊」が発行した一般大衆向けプロパガンダ紙だ。
つまり、沖縄=琉球の支配者である米軍が考える「あらまほしき琉球」を、「未だに恵まれない環境にある琉球民に示す」という広告宣撫紙ということだ。
本書はその「守礼の光」を今の時代に読み返すことで当時の「支配者」が琉球をどのように見ていたのか、どういう方向性で運営しようとしていたのか、その一端をグラビア写真で示すという内容である。
プロパガンダ紙なので当然に「清く、正しく、美しく、(アメリカにとって)あらまほしき姿」を、当時の沖縄(琉球)社会の諸層から切り取ってこれでもかと提示してくる。当時の珍しい風物として眺めることも本書の一つの楽しみ方かもしれないが、背景にあるアメリカ軍政府の世界情勢とリンクした諸施策との関連付けて写真を一枚ずつ眺めると色々な見方をすることができる。
最も象徴的な一枚は40ページのキャラウェイ高等弁務官と西原町のじゅうみんの交流の様子を捉えた一枚。「強権」を以て知られたキャラウェイも、この一枚だけを切り取って見てみれば「親しく現地住民と交流遊ばされる物分かりのよいアメリカ紳士」に見えなくもない。写真、もしくはプロパガンダの怖さを端的に示す一枚と言えそうだ。
なお、現物は沖縄県立図書館、沖縄県公文書館、国立国会図書館で読むことができるとのこと。