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うおっ、どちゃくそ面白いッッ
先に紹介した、赤信号わたる先生の『全てを筋肉で解決する童話』に負けないレベルの面白さとインパクト!!
世界的に有名な童話の一つである『シンデレラ』のシンデレラをスパダリにするってアイディアが、実に斬新だ・・・・・・いや、ほんと、凄い着眼点。
私自身、『シンデレラ』に納得が行かない、可愛げのない子供だったからなぁ。
確かに、シンデレラは、継母と継姉たちに虐げられる生活を送っちゃいたけど、王子様と結婚できたのは、魔法使いが救いの手を差し伸べてくれたから。
そうなったのは、シンデレラが頑張っていたからって意見もあるけど、たった一夜、自分と踊っただけなのに、求婚してくる王子と結婚して幸せになれるか? それに、そんなシンデレラが王家の一員にいきなりなって幸せになれるのか?運が良かっただけなのに、幸せを掴んだ、と周りから勝手に言われて、チヤホヤされたら、まともな人間だったら、自分が幸せだ、と思えなくなるわ。
だからこそ、『月光条例』のシンデレラのエピソードが響いたし、この作品の、自分の幸せよりも他の幸せを優先して、全力の努力をしてくれ、その上で、自分の心を満足感でいっぱいにするシンデレラの姿にグッと来た。
自分が幸せになるのも、誰かを幸せにするのも簡単じゃないなぁ、としみじみ感じるストーリーが多かったなぁ。
そんなスパダリシンデレラだけじゃないのが、この作品の魅力的な部分だろう。「三匹の豚」や「ヘンゼルとグレーテル」など、どれも新解釈で描かれており、伊達先生のセンスの良さに脱帽した。どれも好きだが、個人的に続きが気になるのは、顔と内面のギャップが大きい狼が登場する『赤ずきんちゃんのヘルパー』だ。どう考えても、狼さんに、赤ずきんちゃんがキュンキュンしてる。
『全てを筋肉で解決する童話』と同じく、ぜひ、(2)を出してほしい。可能なら、日本の昔話もモチーフにしてもらいたい。伊達先生が、『ももたろう』に、どんな新たな解釈を見い出すか、気になってしゃあない。
この台詞を引用に選んだのは、愛に満ちてるなぁ、と感じたので。
恋人時の愛と、夫婦時の愛が、どうしたって変わってしまうのは当然の話。
変わるっつーか、必要なものが違ってくるのかな。
絶対にそうだ、とは言えないけど、少なくとも、夫婦になったからには、腑抜けた旦那を嫁さんが叱り飛ばすのも大切だ。
確かに、世の中、クソみたいな旦那はいる。
だけど、反対に、立派な旦那もいる。
嫁さんからしたら、家に金を入れるために、自分の夢や宝物を捨ててくれる旦那が立派って可能性もある。
けど、夢を本気で追っている旦那の姿に惚れ、結婚するのを決意した女性もいるんじゃなかろうか。
この台詞が正しいのか、そこは未熟な私には判らんけど、少なくとも、こんな風に喝を入れてくれる奥さんがいる旦那は幸せだ、と思いたい。
「あんたはことごとく、大事な事を勘違いするね。それでも、私の夫かい。今更、世の中に迎合するなんて、らしくないね。それは、立派なことでもあるけど、あんたの場��は、きっと、今以上に辛くなるよ。断言してもいい。私の作った大衆向けの靴を、自分と比べんじゃないよ。あれは生活のため、そして、あんたの材料費のために、一生懸命やったんだ。何の才能もない、ただのおっさんの為にここまですると思うかい。あんたの才能は、あんた以上に、私が信じてるんだ。何があっても、私はあんたの味方だったじゃないか。あんたの時間を否定してほしくない。もう少しだけ、頑張りな。必ず、その才能と闘志が実を結ぶ時が来る。あんたの傷だらけの手に、きっと、良い運が宿る。絶対、いい日がくるよ。信じてほしい。私が願ったのは、それだけだった。叶えてくれるのは、あんたしかいないよ」(byリリー)
この台詞も、また、グッと来るものでした。
スパダリのシンデレラって言う物珍しさだけで喋っておらず、伊達先生なら、シンデレラの立場で、このような相談をされたら、どう答えるか、をちゃんと考えているのが伝わってきました。
いや、ほんと、この巻だけで終わってしまうのはもったいない。
もっと、シンデレラのスパダリっぷりを見せてくれぇ。
「誰がどう転ぶか、まだ分からない段階で、お前が身を引くことは本当に後悔しないといえるのか。恋とは、綺麗なものではない。人間の強い本能と欲望だ!だが、その本能が、自分を生かしてくれるともいえよう。ならば、正直に、堂々と、誠意をもって包み隠さないことも大切だ!それから、どうするか、は相手が決める事ではないか!?まして、恋ができるということは、すなわち、瑞々しく人生を謳歌できている証拠!粗末に扱ってはお前も不幸!そして、恋の傷など、結局、通り雨に等しい!恐れることはない。乾けば美しい思い出として残るものだ!きばってこいやァァァァ!!」(byシンデレラ)