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ハルビン みんなのレビュー

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みんなのレビュー2件

みんなの評価5.0

評価内訳

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2 件中 1 件~ 2 件を表示

勝つか、負けるかではなく、自分にとってやらねばならないことがある

2024/06/16 08:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あお - この投稿者のレビュー一覧を見る

1910年、韓国併合。初代韓国統監、伊藤博文。
ハルビン駅。銃撃。
韓国青年、安重根。
これらの言葉はかつて受験のために記憶したが、断片として頭の中で混在しているのみであり、一つの大きな出来事として像を結ばなかった。
安重根が何を思って伊藤を銃撃したのか。小説なのだからそこに書かれていることが完全な事実かどうかは置いておいても、歴史の表面的なことしか知らない身にはとても気になるテーマだった。

本作は、ハルビン駅で安重根と伊藤博文が相見えるその時より数年遡ったところから始まる。伊藤側の動向と、安重根側の動向が交互に描かれ、やがて伊藤はロシア財務長官との会談のためにハルビンへ向かうことになる。一方で安重根は、朝鮮の国権回復の糸口を探るべくウラジオストクに向かう道中、伊藤がハルビンに来るという情報を得る。
伊藤は東京から大連、奉天、長春を経てハルビンまで鉄路で向かう。安重根はウラジオストクからハルビンに向かう。
こうして、交差するはずのなかった二つの道の上を、二つの点が互いにどんどん近づいていく。ハルビンという、言ってみればゼロ地点で両者が邂逅を遂げるまでの緊迫感、臨場感がひしひしと伝わってくる。何が起こるのかはすでに分かっているが、それでも「どうなるの、え、どうなるのこれ」とハラハラさせられ、ページをめくる手が止まらなかった。

人が何かとんでもなく大きなことを遂行する時、我々はその原動力となった心理について考える。
安重根には愛国心があり、排日思想を持っていた、というのは必ずしも間違いではないと思うが、ある意味結果として我々の目にそう映っているだけであり、個人の内面というより深いレベルに落とし込んで考えると、安重根は常に自らの≪居場所≫を探していたのではないか。
内部から腐敗しきって崩れかけ、他国の侵略を許している状態の故国を受け容れるのは心理的に容易ではないと思う。それでも故国を自分から切り離すことはできない。生まれた国は自己のアイデンティティを構成する一要素だ。しかし安重根にとってはそれらがどうにもうまく結びつかなった。地上のどこにも帰属意識を持てないでいた。
また、生まれたばかりの長男の乳臭い匂いから引き出された悲しさは、命と死のサイクルが自然の秩序としてずっと同じように、地上で起きている出来事などまるでどうでもいいような風に回り続けている事実と、実際の地上の様子との乖離から来たのだろうか。それらが相まって、安重根は自らの行く道を定めるべく、その胸中を家族にも、自らに洗礼を施したカトリック教の神父にも、打ち明けることのできないまま孤軍奮闘していたのではないか。
そして銃撃後に神父と獄中で面会した時、安重根は東洋の平和という自らの大義の根底にある深層心理を表出したことで、初めて魂の安息を得ることができたのではないか。大罪を犯した信徒に告解を施した神父は、彼の口からどんな言葉を聴いたのだろう。

帝国主義の嵐が吹き荒れた時代、奪われる側の国には支配に抵抗する者、自分の利益のために強者に迎合する者、時局に興味のない者、搾取し尽くされ立ち上がれない者、様々な人間がいただろう。その中で、大勢を目の前にして個人が身一つで立ち向かうのは普通に考えれば無謀である。
しかし安重根は自分の生き様を諦めなかった。あらゆる方面から活路を見出そうとしては失望し、また光に導かれながら、自らの道を探していた。彼の生は間違いなくきらめいていた。
そのきらめきは、抑圧され、もがき苦しんでも、屈することなく、自らの見つけた光に向かってただ突き進めと、我々に語りかけている。

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2024/05/25 16:09

投稿元:ブクログ

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