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少しでも広まって欲しい気持ちから長文になりましたが、ご容赦ください。
日本における不法滞在(在留)者は8万人弱と言われ、難民申請が認定された方は数100人程度、在留資格は毎年1,000件ほど取り消されているのが近況のようです。
本作『マイスモールランド』は幼き日に両親と国外逃亡して日本に来た女の子の視点から、日本で生まれた姉弟や在留資格を失った家庭に対する周り人々の心情を絡めた作品となります。
彼女の人生には多くの制約が付きまとい、生まれや育ちに親の身勝手さを恨む感情も心に染みますが、次の一文が私は非常に刺さりました。
「知らなければ、何を言ってもいいの?善意なら人の心を、土足で踏みつけていいの?と叫び出しそうになる。」(p90)
私はしばらく呆然としました。
在留資格に困っている方のみならず、普段から顔を突き合わせている同僚や友人、家族を前に自分が放つ言葉は、本当に相手の支えになっているのだろうか?
そんな少し沈んだ気持ちの中、在留資格を持たない女子高生が保育士を目指すために戦っていることをSNSで知りました。その方は無事に在留資格も保育士になるための専門学校への入学も決まったとのことで、私は彼女の勇ましさに目頭が熱くなりました。
余談ですが、私の小さな夢は定年後に心身健康であれば、子どもたちと関われる仕事に携わりたいと思っています。
子どもを救うNPO法人は多いですが、乏しい年金で暮らす老後を迎えた方々の働くモチベーションと、片親や共働きを含めた苦しい家庭環境の子どもたちの第二の居場所としてマッチするなら、非営利と営利を跨ぐ仕組みがあって良いのでは?と浅はかな考えですが思い描いています。
長くなりましたが、子どもたちの心を土足で踏みつけず、未来の選択肢を奪わせない仕組みを考えたいと強く思わせてくれた一冊でした♪