高校生と一緒にマハティール首相の話を聞きたかったなあ。
2004/04/03 00:40
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投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
半世紀以上前の戦争中、日本では米英を「鬼畜」と呼んでいた。
日本全国の都市に対する無差別爆撃、広島と長崎に対する核攻撃という戦争犯罪行為をみれば「鬼畜」と呼ばれても致し方ないだろう。
連合国の占領下、アメリカは正しく日本は邪悪であったとの喧伝がなされた。
いまだにアメリカの正義に日本は盲従するばかりである。首相が代わると参勤交代よろしくホワイトハウス詣でをする。みっともない。
誰もが政治家を信用せず、利権がらみの政策にうんざりする。
与党だけの仕業かと思っていた秘書給与詐欺も「疑惑のデパート」を追い込んだ輩までもがねこばばしていた。それも党ぐるみで。
日の丸だ君が代だと騒ぐ前に、若者はサッカーの国際試合では歌手の君が代に聴き入り、日の丸の旗を打ち振って日本選手を応援している。代替案はなく、闇雲に反対だけをした日教組の先生方はこれを見てどう思われるか。
本書の序章はマレーシアを訪れた日本の修学旅行生に向けて、当時の首相であったマハティール・モハマド氏が講演したものである。
茶髪やピアスは嫌いだと公言するマハティール氏であるが、茶髪やピアスの高校生に感激と涙を与えたとのこと。欧米ばかりに目が向きがちな日本であるが、マハティール氏は高校生たちにアジアを意識させ、日本人としての自信を植え付けたのではないだろうか。
マハティール氏の話の中で、これは日本にも取り入れたいという制度があった。寝食を共にしての社会奉仕活動である「ナショナル・サービス」というものである。徴兵制の無い日本でも一定期間、青年男女が老人ホームや福祉施設、消防署や病院で奉仕するという社会参加をするのはどうだろうか。
異民族国家のマレーシアでは夫々の民族同士が融合するための制度でもあるそうだが、非常に優れたシステムを考えられたものと感心した。
アメリカのイラク攻撃に対して、日本は同盟国として小泉首相が賛意を表明した。
しかし、悪魔ブッシュの我儘に反対を唱えた国も多かった。どうして、何も考えずに小泉首相はアメリカの侵略戦争に賛成できるのだろうか。
アメリカの攻撃で崩壊したサマワでは、自衛隊が復興支援を行なっている。日本の援助で作った施設をアメリカが壊し、更に日本が建て直す。これからも、こんなことの繰り返しだろうか。
まるで、賽の河原で積み上げた石を鬼が壊しにくるのに似ている。
やはり、アメリカは鬼か。溜息。
マハティール首相からのメッセージ
2004/01/05 17:47
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投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、マレーシアのマハティール前首相からの日本人への熱きメッセージである。
序章の「日本人よ誇りを持て」は、2002年11月にマレーシアを訪れた日本の修学旅行生に対して、マハティール氏が行ったスピーチである。スピーチを聴いて日本の高校生たちは涙を流して感激したという。しかし、この程度のスピーチを聴いて感激して涙するとは……。今の日本社会がいかに祖国の誇りを閑却しているのか、また、教育現場での自虐教育により、日本の中高生が祖国を誇りに思えないでいることの裏返しなのではないのか。
実際、マハティール氏は「今の日本人に欠けているのは自信と愛国心」(P65)だという。そして、「愛国主義的になることは、決して悪いことではありません。愛国主義は国が困難を乗り越える上で大きな助けとなります」(P66)と言っている。当然のことだろう。だからこそ、どこの国でも祖国を誇りに思い愛国心を育てる教育を行っているのである。
さて、本論では日本の経済・貿易から教育問題へと展開される。昨今の日本人の道徳心の欠如については、日本だけでなく世界的な問題であるとした上で、欧米流の考え方と深い関係があるとする指摘は注目される。
さらに、経済的・軍事的に大国化している中国について、そして、イスラム社会とイラク戦争についてである。
強大化する中国については比較的楽観的なのに対して、歴史的に欧米に対して根強い不信感を持っていることが理解できる。中国の軍事力に対して楽観的なのは意外な感じがする。だが、我々日本国民はマレーシア前首相の見方をそのまま鵜呑みにすることはできない。
日中間には当面の領土問題として尖閣諸島の領有権問題がある。これは、長年に渡って日本が平穏公然に領有してきた島を、石油資源の可能性が明らかになった途端に、中国が領有権を主張し始めたものである。
さらに、2004年元旦の朝日新聞には、日本近海の海底資源をめぐって日中ロ三国間の深刻な対立になりつつある様子が大きく報じられた。1月5日の読売新聞でも、日本近海で国際条約を公然と無視して活動する中国艦船などが報じられている。将来、軍事力でこれらの島と資源を中国に強奪される虞があるのだ。
マハティール氏は、現在の日本の米国追従姿勢を批判している。一般論としてはそれは正論である。しかしながら、近海の資源をめぐっての中国との関係をみてもわかるとおり、マレーシアと日本とでは地政学的にも歴史的にも周辺国との関係や安全保障などで違いがある。さらに、防衛庁長官が「もしもミサイル攻撃を受けたなら、それを防ぐ手段がなく、敵ミサイル基地を攻撃する能力もない」などと言っている現状では、米国に諫言しようにも腰が引けてしまう。まずは防衛力・攻撃能力を強化し、場合によっては先制攻撃も可能という決意と能力を持つことが重要だろう。
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1981年から22年間「ルックイースト」をスローガンにマレーシアを先進国の一員へと導いた元首相・マハティール。序章は2004年に都立国際高校が修学旅行で訪れた際に彼が話されたスピーチ。彼は日本人以上に日本のことを知っているしこの国の行く末を危惧しているように見受けられる。アジアの国から見た「日本」の記述は新鮮だったし勇気付けられた。盛田昭夫(ソニー)、松下幸之助をとりわけ尊敬するという彼だが、日本人のくせに彼らによる恩恵を感謝する若者はあまりいない。戦後復興の目覚しさを目の当たりにした彼だからこそ今のフリーターやニートが増加の一途をたどる状況に警鐘したいのかも知れない。「フリーターが国を滅ぼす」という題はとても過激だと思ったけど、やっぱりすごく問題なんだと思う。巨大な潜在力を内包している「眠れる獅子」中国。アジアにおいては今度中国・東南アジア・日本という区分で形成されていく.これまで中国にたいしてもそこまで興味があったわけではないけど、13億人という人口と世界の真ん中に位置する地形上の優位性から間違いなく経済大国になるということは当然の帰結。そしてイスラム教を巡る宗教・テロについての彼の考え。2001年9月1日のテロについては私なりにもっと考えをまとめたいんだけど、いろんな考え方があって正直どれが正しいのか分からない。この本にあるようにアフガン侵攻がただアメリカがその権力の見せつけのためにやったテロ撲滅という大義名分のもとの空虚な戦争だったとしたならば本当にアホらしくて笑えちゃう。アメリカ政府に易々と追随する日本政府は如何なものか...。この9.11を契機にアジアの形勢も変化を見せ始めたらしい。
日本は戦争の贖罪意識から解放されるべきだ」と説くものの、旧宗主国には強硬姿勢を窺わせるのでやっぱり外交問題は一触即発のぎりぎりのラインで均衡を保つような難しいものなんだと思った。
日本の戦後史についてもっと知りたいと痛感しました。
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盛田昭夫氏や松下幸之助氏など、戦後の日本人が成し遂げてきたことが、アジアの国々から、こんなにも評価され、感謝されていることを理解し、日本人であることに誇りが持てた。感動した。
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外国にあこがれてませんか?
日本人である事をまずほこりに思ってください。
これを読むと日本人の見方が変わりますよ。
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ルック・イースト、ジャパンに習え。日本がロールモデルとして、アジア各国に注目されていること、これは常に意識しながら、その見本たるよう頑張らなければならない。日本人ほど自虐的な国民はいないと言われるが、クヨクヨしないで自信持たなきゃいけないことを実感。日本人はどうなったら満足する日が来るのだろうか?そういえば何年後にこうなりましょう!っていう元気な議論ってなされていない気がする。何年後にはこうなります、という話は多いけど。(たいてい悲惨な結末ばかり。。)
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2011/1/26読了。
国家として独立すること。国力の差や歴史に囚われず、必要であれば大国や国際世論と対峙することをも厭わない。先を見据えて自国に合った政策を実行していく。
日本の政治の力不足を再認識。民族を超えるための愛国心教育や英語教育、固定相場制導入などの大胆な政策を知れば、今の自民と民主のマニフェストの差異なんて誤差の範囲に思えてくる。その中で良し悪しを判断している自分の頭がどれだけ凝り固まっているのか恐ろしくなった。
日本から多くを学び、自国の発展につなげたマハティールだからこそ憂う日本の現況はどうにかならないものか。日本の文化を見直し、それに合致する政策,道筋を示せる政治家の出現を期待せずにはいられない。
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[ 内容 ]
日本は、いつまでアメリカの言いなりになり続けるのか。
なぜ欧米の価値観に振り回され、古きよき心と習慣を捨ててしまうのか。
一体、いつまで謝罪外交を続けるのか。
そして、若者は何を目指せばいいのか―。
日本人には、先人の勤勉な血が流れている。
自信を取り戻し、アジアのため世界のためにリーダーシップを発揮してほしい。
マレーシアの哲人宰相が辞任を機に贈る、叱咤激励のメッセージ。
[ 目次 ]
序章 日本人よ誇りを持て
第1章 ルック・イースト―日本への憧れ
第2章 教育こそ国の柱
第3章 中国に怯えるな
第4章 日本人こそイスラム世界を理解できる
第5章 富める者の責任
解説 アジアの哲人宰相
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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自国に対する誇りを持つことって、自分らしく生きる上で大切なことだと思っています。
日本に対する悲観論に飽き飽きした頃に読んで、刺激を受けた本。
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マレーシア、マハティール元首相からのメッセージ。
冒頭文がかなり熱くて素敵。勇気をもらえる。
<メモ>
・軍国主義はよくないが、愛国主義は悪いことでない。愛国主義は困難を乗り越えるために助けになる。
・イスラム教は非イスラム教に対して「あなたに平和が訪れますように(アッサラーム・アライクム)」と挨拶する。なぜなら砂漠地帯に平和はほとんど訪れたことがなかったから。平和は彼らにとって最も大事なことだった。
・挨拶には人々の願いが込められているもの。中国では「もう食事はしましたか」という挨拶が買わされる。これは過去飢えで国が苦しんでいた時代が長かったから。
・世界で 対立やレジスタンスが起きたりしているのは、異なる宗教間であっても、基本的には土地の没収や政治的抑圧に原因があるもの。
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マレーシアの元首相そして現在首相に返り咲いたマハティール氏が、日本を元気付けてくれる本。
マレーシアはルックイースト政策により日本を目標として国策を進めてきたが、当の日本が迷走している中で、日本は欧米の真似ではなく、日本らしさを推し進めるべきと叱咤激励する。
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訳者が学生時代に教師に盲従して国歌斉唱の際に起立しなかったり、歌わなかったことも度々あった、と書いてありびっくり。左思想の人じゃん。
よくマハティール氏のルック・イースト思想を訳そうという気になったこと。インタビューや演説原稿を基にした訳者がまとめた英文原稿の方はマハティール氏が一語一語直したそうなので、訳者の思想バイアスはかかっていないとは思うが、英語原文やインタビューそのものや演説そのものを載せてくれた方が良かったと思う。本書には原典は一切書いていない。
2018年、マレーシアの首相にマハティール氏が再度選ばれた。マレーシアを牽引した氏の思想に触れる事は意義があると思う。
盛田昭夫氏の本を読み、盛田氏や松下幸之助氏を尊敬するという。日本はまずマレーシアの人すら読んでいる盛田氏の本を読んでいるのか?を自問すべきだね。そういえば、日本電機産業が次々と中国企業へ身売りされる中、ソニーとパナソニックは独立を維持している。やはりこの二社は起業精神がしっかりしているということだろうか?
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マレーシアの首相として1981年から23年間、「ルック・イースト」(東方の日本に倣え)を唱えて国を率いた親日家のリーダー、マハティール・モハマド氏による「日本を元気にする処方箋」。2003年の引退を前に「アメリカのいいなり」となっている日本に贈った叱咤激励のメッセージには、「国を愛する」ことへの熱い想いが込められている。医師としても活躍した経歴を持つマハティール氏が「内科医的な手法」で祖国を再生させたように、かつて手本とした友好国である日本の復活を熱望して書いた一冊。92歳という高齢にも関わらず、現政権に異議を唱えて2018年に再び首相に返り咲いた親日家がかつて日本に送ったエールは今でも鳴りやまず、本書はそのまま今の日本人のための教科書とされるべきもの。
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マレーシアの宰相マハティール氏のスピーチや主張をまとめたもの。
2003年の出版だけあって、その後の激動した世界情勢においては通用しない箇所もいくつか散見される。
中国はアジアの脅威にはならない、北朝鮮は核を持たない、持ったとしてはすぐに処理できる、等々。
90歳を超えて中国による脅威から再び宰相の地位に返り咲いた今、その主張は明らかに変わっている。
それでも一貫しているのは、日本を信じてくれていること。
日本の政治についてきついことも書いてあるけれど、今は状況も変わっている。手を取り合って難局を打開したいところ。
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〈要約〉
日本は自信を取り戻し世界に向けてリーダーシップを発揮してほしい。欧米方式の不平等な利益分配は、貧しさによる争いを引き起こす。地球を1つの共同体として考え、公平に利益を生むようにするべきだ。それができるのは経済規模と富があり、世界水準の技術力を持っている日本だけなのだ。
※140字前後で要約しているため、内容が抽象的になっています。
〈感想〉
どんな本か。
例えば、あくまで例えるなら。
僕のお爺ちゃんが昔、会社の社長をやっていて、著者はお爺ちゃんの会社に世話になっていた取引先会社の現社長さんである「マハ爺ちゃん」だとする。
マハ爺ちゃんは必死に努力して、会社を大きくしていった。
僕のじいちゃんとマハ爺ちゃんは家族ぐるみのお付き合いをしていた関係で、僕も小さな頃からマハ爺ちゃんに可愛がられていた。
僕も大人になり、家業とは別な会社に就職。
社会人を10数年経験し、改めて自分の人生を振り返り始める。
今の仕事を続けていいのか、本当は何がしたいのか、何が不安なのか、何が不満なのか、僕はこれからどこへ行くのか。
そんな時に、十数年間ぶりにマハ爺ちゃんと飲みに行くことに。
立派な会社の社長であるマハ爺ちゃんとの2人きりの食事。
こちらはといえば、なんとなく心が定まらず、霞みがかった焦りに苛まれた僕。
お酒を進めながら、とりとめのない世間話の中で、仕事の話になる。
マハ爺ちゃん「どうなんだ、仕事の方は。」
僕「うーん、いや、実は。最近いろいろ悩んじゃっててさ。迷子中なんだよね。こんな感じでさ・・・」
一通り話を聞いてくれた上で、
マハ爺ちゃん「なるほどな。いいか、お前な?おれが若い頃は、お前の爺ちゃんにこんなことを教えてもらって、そのおかげでおれは今こうして1つの会社を経営しててだな、お前にもお前の爺ちゃんの血が流れてるんだよ。うだうだ考えてる暇があったら、まず行動してみろよ。」
と言われ、改めて自分のことを見つめ直す。
そんな本です。例えるなら。
昔お手本としてお世話になった日本の、現在の若者に向けたメッセージとして金言が並びます。
国を経営しているお爺ちゃんからのメッセージなので、当然小言が多い。家族を大事にしろ、国を大事にしろ、茶髪、ピアスなんてもっての外だ、アジアよりも欧米が優れてるだと?ふざけんな!そんな堅苦しく、反骨精神満載な言葉が散りばめられていますが、私達日本人に対しての愛情と、将来に対する期待を持って発破をかけてくれる。
頑固なだけではなく、きちんと話を聞いてくれた上で真剣に言葉を投げかけてくれる、そんな愛すべきお爺ちゃんが書いてくれた本です。
(不敬な表現ですみません)
2003年初版の本のため、書かれている国際情勢(特に中国や北朝鮮について)は2019年1月現在と乖離している点はあります。
ただ、行動力と不屈の精神を以って長い間一国のトップを務めた(現在は返り咲いていますが)1人の人間の言葉には計��知れない重みがある。
私達が暮らしている現代は、欧米文化が中心であり、メディアで目にする海外のニュースも欧米式の考え方というフィルターを通した情報を真実として受け止めるという土壌の上に成り立っています。
その思考回路が偏ったものであることを、アジアの視点、イスラムの視点、国のトップの視点からの批判を読むことで気付かせてくれました。
ただ、中国・北朝鮮に対する見込みの甘さや、欧米に対して批判のみであり公平になりきれていない点など、そこに偏りを感じます。
また、貧困からのテロなどの問題解決の方法を地球税(マハティール氏の例えなのでしょうが)による富の分配などでまとめていることから、即実現できる対処法ではなく理想論に近く、それを日本に求める理由も根拠としては抽象的なものでした。
この点から⭐️をマイナス1しています。
ただ、国のトップは理想を語るべきだと思いますし、地政学や経済学の参考書でもないので、この点についてはほとんど気になりません。
何よりも、熱意を以って世の中のことを教えてくれ、お説教してくださるマハティール氏に感謝することができる一冊です。
良書だと思います。