平安寿子を初めて読む人におすすめ。その魅力が十二分に伝わります。
2005/03/07 00:20
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投稿者:つきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初平安寿子。多方面からいいという賞賛の声が聞こえてくるので文庫化を機に読んでみました。
評判どおり良かった、というよりこの人すごく上手じゃない!?と驚いてしまった。
文章がうまいので安心して読んでいられるし、またそこに何とも味わい深いキャラクターが多数登場し微苦笑するやらホロリとするやら。それでいて読後感はどれも清々しい。凄〜い幸運、そんなものなくてもほんのささいなことで毎日楽しく過していける。
そんな事を教えてくれる物語が詰まっている。
短編が6編。どの物語にもまっとうに生きてはいるけどちょっと冴えない、そんな人達の人生が溢れている。
近頃はどうも仕事・家庭全てに成功し自身満々やる気満々のポジティブシンキングな生き方が誉めそやされるが、誰もがみんなそんな風にはなれないしそんな人ばかりの社会なんて厚苦しい。
駄目駄目でもいいじゃない、人生もっと大らかに楽しもうよ。そんなメッセージをビシバシ感じさせてくれる物語の数々が新鮮な魅力を放っています。
完成度が高いのは表題作の「素晴らしい一日」だと思うけど個人的にはアドリブ・ナイト」で繰り広げられるドタバタ劇がお気に入り。
訳がわからないまま、とある代役を無理やりまかされてしまった瑠美の眼前で繰り広げられる縁もゆかりもない人達の喜怒哀楽をむき出しにしたやり取りが滑稽で楽しい。
当人にとって大事なことでも第三者の目から見たら滑稽だしピントはずれ。人生なんてそんなもんじゃない? 時にはしゃれのめし、笑いとばすことも必要。そうすれば人より多少は図々しく、でも楽しく毎日を過ごすことができるだろう。
平安寿子、いいじゃない。今後の活躍を大いに期待するぞ。
気軽でユーモアに富んだ語り口
2023/10/02 10:27
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
素晴らしい一日」この作品は、作者平安寿子らしい、気軽でユーモアに富んだ語り口の中に、男女関係や恋愛の機微、気持ちの移り変わりを巧みに描き出した作品である。何と言っても表題作が面白い。典型的なチャラ男である友朗にイライラもさせられたが、ヒロインの明るさ元気に励まされる思いであった。
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表題作は、目立たず小さく小さく生きていれば安定した人生は守られると考えていたのに、それが破綻することによってひらきなおる(?)30前の女性の話。このパターンはありがちだが、不運の嵐でへこんだときに、数年前に男に貸した20万円を返してもらっていないことを思い出して取り返しに行く。しかも男は持ち合わせのお金がないから、一緒に男の知り合いに片っ端から連絡して借金をたのみ、20万円を取り戻す・・・という執念話は受ける。でも借金でもなんでも、久しぶりに何か理由を作って音信不通の人に連絡をとってみるのってスリリングで楽しい。いずれ私もやってみようかな・・・と思ったりして。
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恋人に逃げられ、勤務先は倒産。ドツボにはまった三十歳の幸恵は、昔付き合った男に貸した金を取り立てるところから人生を立て直そうと考えたが…(「素晴らしい一日」)。卓抜なユーモア感覚が絶賛されたオール読物新人賞受賞作を含め、憂きことばかりの人の世を、もがきながら生きる人間像を軽やかに讃える傑作六編。
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引き続き、平さんの本。デビュー作?らしい。短編でした。
グットラック〜の方は、毒がきいててそれがまた面白かったんだけど、これは、ちょっと素直な感じで、デビューしましたって感じ。
にしても、タイトルである最初の短編「すばらしい1日」は、なにがどう素晴らしいのかは、ちょっとよくわからなかったけど、調子のいい友朗のキャラが楽しかった。
この短編の中では、一番最後の「商店街のかぐや姫」は面白かったな。義母さんに惚れて結婚するなんてちょっと面白い。家族に反発してしまって、父親に本当は認められたい主人公の気持ちもすごくよくわかって面白かった。
平さんの本、これからも読みすすめよう
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初めて入った本屋さんで、サイン入り初版本を購入。
文庫とはいえ、ちょっと得した気分。
そして内容もよかった。
物語にどっぷり できれば長く浸かりたいので、めったに短編集は読まない。
が、人物描写が見事で、一気に物語りに入り込め、そしてとても魅力的だった。
ダメ男から魅力を引き出す手腕はピカイチです。
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平さん、初読です。
私と同じアン・タイラーファンということで、
以前から気にはなっていたのですが…。
とりあえず、受賞作から手を出してみた。
結構、好き嫌いに分かれる作品ではないだろうか。
私はどちらかというと、
好きな文体、心地よい雰囲気、だったが。
万人受けではない気がする。
とりあえず、今後も読み進んでいきたいと、思う。
内容は・・・
恋人に逃げられ、勤務先は倒産。
ドツボにはまった三十歳の幸恵は、
昔付き合った男に貸した金を取り立てるところから
人生を立て直そうと考えたが…(「素晴らしい一日」)。
卓抜なユーモア感覚が絶賛された
オール読物新人賞受賞作を含め、
憂きことばかりの人の世を、
もがきながら生きる人間像を軽やかに讃える傑作六編。
(「BOOK」データベースより)
著者が、あとがきで述べているように
本書は“大人のコメディー”だ。
確かに読中はなかなか幸せな気分になったし、
クスクス笑えた。
でも、読了後、本を閉じた途端に…
あまり内容が残らない感じ(苦笑)。
21世紀のお聖さんは、正に彼女ですね。
異論はありません。(^0^ヘュ−オッホホ♪
さて、次作に何を選んだらいいのか・・・
全く分からない。著者多作だし・・・
うむむ、どうしよう。
「オススメ求む!」 m(_ _)m
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主人公が昔付き合った男性から借金の返済をせまり、一緒にいろんな人に会いに行く。ふつうの人はこんなにお金でつながってないとは思うけど。
でもいるのかなこんな人。
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著者のあとがきが面白い。
「 生きていくのは楽じゃない。世の中イヤなヤツばっかりだし、夢や希望は北極星みたいに遠くで光っているだけ。
わたしは七歳のときから、そう思っていた。・・・」そんな作者が繰り広げる短編集。
それぞれの話の主人公が女性なので、登場人物に共感するのは、女性が多いであろうという感じは受けるが、男性諸君にも読んでいただきたい作品である。女性心理と登場する相対する男性を味わっていただきたい。
この作品は、人生のどん底にありながら、そこからささやかな幸福を見出せる・・・そんな気がしてくる作品である。私としては、表題作に出てくる登場人物、友朗の<最高にハッピー>な笑顔が自然に出来たら、これからの人生、ささやかだけれども、何か素晴らしい出来事が起きるような、そんな気がしてくるのである。
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映画「素晴らしい一日」を観てから読んだので、映画と違ってゲスと言うか俗世臭丸出しと言うか、突拍子もない設定の割りに中身はリアルでビックリした。
世の中ドラマの様にそううまい事いかないんだけどそれなりに楽しくやれますよ、安心して気楽に生きましょう。
そんな肩肘張らないメッセージを読んだ気がした。
気のせいかもしれないが。
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表題の“素晴らしい1日”は、結構お金に執着してしまう自分自身だけど、世の中お金よりもっと大事な何かがあると思わせてくれた。
そして、読み終わった後の何とも言えないほのぼのとした感じ。
とても幸せな気分。
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友達から貸してもらいました。イ・ユンギ監督による映画がとてもよかったようで。
個人的には、最後に収録されている「商店街のかぐや姫」が一番好き。
あとがきを読んだら、作者は田辺聖子を愛読しているようで、成程、「仕方ないなぁ」と苦笑してしまうような登場人物たちの描き方には、近いものがあるかも。
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短編集
タイトルより「素晴らしい一日」のみ読了。
韓国映画の原作とのこと。
それ観たさに読んでみた。
★★★★☆よりの★★★
きっと、韓国映画ならこれをうまいこと1本の作品に仕上げているだろうなあ。と、読んでいてイメージわいた。納得。
ちなみにもう1篇、これまた韓国映画の原作が入っているが、
時間の関係で今回は未読。
またの機会に。
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ようやくたどりついたデビュー作。
でもこれから読み始めていたとしたら、平さんの魅力に気づけたかどうか。
表題作を始め、すべての作品にその後の作品の原型が見える。そしてこの短篇集がいちばん田辺聖子さんの影響を感じられると思う。
「素晴らしい一日」や「アドリブ・ナイト」はかなりぶっ飛んだ設定だと思うのだが、そういうことを一切感じさせず、先を読みたくなる文体やリズム感がある。
描写が非常に具体的で、それを読むだけでもたくさんのことがわかるようになっている書き方は、読むのはとても楽なんだけど、書くのは難しい。
平さんは稀代のストーリーテラーなんだな。
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この本が新刊で出た時に初めて読んだときは、正直あんまり印象に残らなかった。期待したのに面白くなかったな、と感じた気もする。ところが最近また急に読みたくなって手にとったら、なぜこれが面白くなかったな、と感じたんだ私は!と当時の自分をなじりたい。
とにかくほとんど出てくるのは駄目な男ばかり。チャラチャラしてだらしない。よくいる、こんな駄目な男。だいたい小説なんかじゃ脇役。しかも痛い目みる。
ところがこの作品だと、なぜか主人公の女たちを癒してくれたり救ってくれたりする。
憎むべき要素をこれでもかと出して嫌な奴にしたてられているのに、ふとした信念のようなものが見えて、彼らが眩しく見える。
駄目な奴に、だらしない奴。私のまわりにもいる。
でも、そんな奴らも実は捨てたもんじゃないかも。
自分のフィルターがちょっと変わる物語。